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GUIDE / SHISUI-PLUG

止水プラグとは?下水の逆流の仕組みと、逆流防止弁・止水板・排水ポンプとの使い分け

大雨のときトイレや浴室から下水があふれる仕組み、空気で膨らませる型・機械式・逆流防止弁の違い、背圧の考え方、止水板・吸水土のう・排水ポンプとの使い分けを、東京都下水道局や自治体の資料、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月9日更新

この記事の答え

止水プラグは、排水管や下水管の中・管口に入れて水を止める栓です。工事や点検のあいだ一時的に止めるなら、空気で膨らませる型か機械式。大雨のときの下水の逆流にずっと備えるなら、管やますに付けておく逆流防止弁です。逆流防止弁は完全には水を止めず、閉じているあいだは宅内の水も流せないので、止水板・水のう・排水ポンプと組み合わせて考えます。

止水プラグとは

止水プラグは、排水管や下水管の中、または管の口に入れて、水の流れを止める栓です。止め方は大きく2つあります。

  1. 空気で膨らませる型:ゴムの袋をしぼんだまま管に入れ、ポンプで空気を入れて膨らませ、管の内側に押し付けて止めます。
  2. 機械式(締めて広げる):ゴムを板ではさみ、ねじやボルトを締めて外へ広げ、管の内側に密着させます。

どちらも、管の清掃・調査・補修のあいだ、一時的に水を止めるための道具です。ホーシンは止水ボールと止水プラグを「一時的に使用するもの⁠」⁠とし、長期の使用は避けるよう案内しています(ホーシン よくある質問)⁠。

大雨のときの逆流に備えて付けたままにしておくのは、管やますの中に付ける逆流防止弁です。片方向だけ開く弁(フラップ)が、下流の水位が上がると閉じます。比較ページでは、この3つを並べています。

大雨のとき、下水が逆流する仕組み

建物の排水は、宅地の排水管から公共ますを通って、道路の下の下水道管へ流れます。ふだんは高いほうから低いほうへ流れるだけですが、大雨で下水道管が満水になると、流れが逆になります。

東京都下水道局は、豪雨で短時間に大量の雨水が下水道管に流れ込むと管内の水位が上がり、下水が宅地内の排水管を通って逆流し、半地下のトイレやお風呂などの衛生器具から噴き出すおそれがあると説明しています(東京都下水道局「地下室・半地下家屋の浸水対策のお願い」)⁠。北九州市も、下水管が満水になるとトイレや風呂場、洗濯機の排水口から水が吹き出ることがあるとしています(北九州市上下水道局)⁠。

あふれやすいのは、道路や下水道管の水面より低い位置にある排水口です。半地下や地下の部屋、周りより低い土地の建物では、とくに注意が要ります。福岡市は、周辺の地盤より低い土地では、地盤や建物を上げたり、ポンプ設備を設けたりする検討を求めています(福岡市「排水設備計画の際の注意点」)⁠。

都市に降った雨が川などへ排水しきれずに起きる浸水を、国土交通省は「内水氾濫⁠」⁠と呼び、下水道の整備に、内水ハザードマップなどのソフト対策と住民の自助を組み合わせて対策を進めるとしています(国土交通省「下水道による浸水対策」)⁠。

3つ⁠の止め方の違い

比べる点 空気で膨らませる型 機械式 逆流防止弁
止め方 空気で膨らませて押し付ける ねじ・ボルトでゴムを広げる 片方向だけ開く弁が閉じる
使う期間 作業のあいだだけ 作業のあいだだけ 付けたまま
要る道具 フットポンプ・コンプレッサー 手で締める(製品によりボルト) 接着・取付工具(製品による)
合う管の幅 1本で幅がある 型式ごとにせまい 型式ごとにほぼ1つの管径
掲載した製品の例 ホーシン 止水ボール 鬼頭忠兵衛商店 KMQ型、ホーシン 止水プラグN型 アロン化成・クボタケミックス・関西化工・中部美化企業など

空気で膨らませる型は、ホーシンの止水ボール ロングタイプのように、使用管径70〜2,400mmまでそろう製品があります。機械式は道具がいらず手早く付けられますが、ホーシンの止水プラグN型でも、PLUG-100A⁠は管の内径99〜112mmというように、1つ⁠の型式で合う管の幅がせまくなります。

背圧の考え方

止水プラグには、後ろからかかる水の圧力(背圧⁠)⁠の上限が決まっています。0.1MPaは、水頭(水の深さ⁠)⁠でおよそ10mです。

ホーシンの止水ボールは、ショートタイプ⁠で0.10〜0.18MPa、ロングタイプ⁠で0.03〜0.18MPaを最大許容背圧としています。これは、清掃して乾かした管で測った静水の背圧の値です(ホーシン 止水ボール ショートタイプ⁠)⁠。管が汚れていたり、水が流れ込み続けたりすると、実際にかかる力は変わります。

メーカーの注意書きには、共通して次のことが書かれています。

  1. 自然流下の下水管・排水管にだけ使い、圧力のかかる管やガス管には使わない。
  2. 使う前に管を掃除し、管の径を測って合うサイズを選ぶ。
  3. 使っているあいだは注入圧を定期的に確かめる(ホーシンは4時間ごと⁠)⁠。
  4. 外す前に、後ろの水を抜いて背圧を取り除く。

逆流防止弁を付けるときの注意

逆流防止弁は、付ける場所で4つに分かれます。

付ける場所 掲載した製品の例
宅地の中の排水管の途中 アロン化成 逆流抑止継手 GY-DT 75
ますの中の管口(後付け) クボタケミックス〈カンタン君〉、関西化工 逆流防止弁 KV-026
汚水の公共ます(弁を内蔵) アロン化成 逆流抑止マス、前澤化成工業 逆止弁付小型取付マス
排水管の吐け口(水路・側溝側) 中部美化企業 FU型・F1型、鬼頭忠兵衛商店 KMGC型、アロン化成 雨水逆流防止マス

どの製品も、完全には水を止めないとメーカーが書いています。アロン化成は「逆流抑止弁は完全な止水性を有するものではありません⁠」⁠、関西化工は「完全止水製品ではありません」としています。関西化工は、水頭500mmで漏れる量を、100A・125Aで1分あたり0.3L未満と示しています(参考値⁠)⁠。

もう一つ大事なのは、弁が閉じているあいだは、建物の中からも水を流せないことです。クボタケミックスは、弁フタが閉じた状態でトイレや風呂から排水すると宅地内であふれるおそれがあるとして、大雨のときは排水を控えるよう案内しています(⁠クボタケミックス〈カンタン君〉)⁠。アロン化成も、逆流抑止継手 GY-DT 75につなぐ器具を、雑排水の器具だけなら3台まで、トイレを含むなら2台までを目安にしています。

大雨のときも排水を止められない建物では、東京都下水道局が挙げる、逆流防止弁の付いたポンプ施設(汚水用排水ポンプ槽⁠)⁠を検討します。公共ますに手を入れる場合は、先に自治体の下水道の担当に相談してください。

止水板・吸水土のう・排水ポンプとの使い分け

水の入り方は2つあります。道路などから出入口へ流れ込む水と、建物の中の排水口から下水管をさかのぼってくる水です。

対策 止める水 向く場所
止水板 出入口から流れ込む水 守る出入口が決まっている
吸水土のう 出入口から流れ込む水 場所を決めずに備えたい
逆流防止弁・止水プラグ 排水口からさかのぼる下水 下水道管より低い排水口がある
排水用水中ポンプ 入ってしまった水を外へ出す 半地下・地下・ピット

東京都下水道局も、半地下の浸水対策として、逆流防止弁付きのポンプ施設と、土のう・水のう、出入口のかさ上げ、止水板を分けて挙げています。どれも完全には水を止めないので、組み合わせて使います。

すぐにできる逆流の対策は、水のうです。岡山市は、2重にした大きめのビニール袋に水を入れて口を結び、便器の中やお風呂・洗濯場の排水口にかぶせてふさぐよう案内しています。逆流してきたら、宅内の水を流すとさらに逆流するおそれがあるので、下水道が復旧するまで水回りの使用を控えます(岡山市 よくある質問)⁠。

選び方

  1. 目的を決める:工事や点検の一時止水なら止水プラグ、大雨の逆流への備えなら逆流防止弁。
  2. 管を測る:呼び径だけでなく、VP管・VU管・ヒューム管などの種類と実際の内径を確かめる。
  3. 背圧を見積もる:止水プラグは、後ろにたまる水の深さから背圧を出し、最大許容背圧に余裕のある型を選ぶ。
  4. 付ける場所と相談先を決める:宅地の中の排水管・ますか、公共ますか。公共ますなら自治体に先に相談する。
  5. 大雨の日の使い方まで決める:逆流防止弁が閉じたら水回りを使わない、水のうとポンプを用意しておく。