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GUIDE / BOUSUI-TOBIRA

防水扉とは?止水性能の等級・耐える水の高さ・閉め方と、止水板・吸水土のうとの使い分け

地下や電気室・出入口を浸水から守る防水扉(水密扉・止水ドア⁠)⁠の仕組み、JIS A 4716の等級と建材試験センターの評価の読み方、閉め方の4つの型、防火設備との兼用、止水板・吸水土のうとの使い分けを、国・東京都・建材試験センターの資料とメーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月8日更新

この記事の答え

防水扉は、建物の出入口や電気室・機械室の入口に常設して、閉じると浸水を止める扉です。選ぶときは「水がどこまで来るか(耐える水の高さ)」「どこまで漏れを許せるか(Wsの等級)」「ふだんどう使うか(閉めるだけか、ハンドルで締めるか⁠)」⁠の3つを先に決めると、候補が絞れます。

防水扉とは

防水扉は、水密扉・止水ドアとも呼ばれ、ふだんはふつうのドアとして開け閉めし、浸水のときは閉めて水を止める扉です。止水板のように浸水のたびに取り付けるのではなく、扉そのものが建物に付いています。

国土交通省と経済産業省の「建築物における電気設備の浸水対策ガイドライン」は、受変電設備や自家発電設備を浸水しない高さに置けない場合、それらのある部屋を囲む防水区画をつくり、その出入口を水密扉にするよう示しています(国土交通省・経済産業省 ガイドライン事例集)⁠。

止水板・吸水土のうとの使い分け

同じガイドラインは、水密扉を「万が一水が建物内に浸入した場合の備え」とし、その前に止水板などで建物の中に水が入るのを防ぐ、という順で考え方を示しています。外まわりは止水板、内側の大事な部屋は防水扉、という二段構えです。

比べる点 防水扉 止水板 吸水土のう
置き方 扉として常設する 浸水のおそれがあるときに取り付ける(常設の型もある) 水に浸して膨らませ、積んで並べる
止水の等級 JIS A 4716の等級で示す製品が多い JIS A 4716の等級で示す製品が多い 等級はない
耐える水の高さ 0.5m〜30mを超えるものまで 製品で数十cm〜数m 浅い浸水の初期の対策
ふだんの出入り そのまま扉として使える 外して保管する型が中心 備蓄しておく
向く所 電気室・機械室・地下の出入口、毎日使う通用口 玄関・店舗・駐車場の出入口 場所を決めずに備えたい入口

止水板の方式と等級は止水板のメーカー比較⁠、吸水土のうは吸水土のうのメーカー比較⁠で比べられます。

止水性能の読み方(JIS A 4716)

止水性能は、1時間に扉1㎡あたり何Lの水が漏れるかで表します。JIS A 4716の等級は6段階で、数字が大きいほど漏れが少なくなります(東京都「止水板設置事例集」)⁠。

等級 漏水量(L/h・㎡) 使う場所の目安(JISの解説より)
Ws-6 1以下 電気室・ポンプ室など、できる限り浸水を防ぎたい場所
Ws-5 1〜4 ―
Ws-4 4〜10 ―
Ws-3 10〜20 機械室・一般家屋など、最も一般的な性能
Ws-2 20〜50 ―
Ws-1 50〜200 倉庫・駐車場など、多少の浸水を許せる場所

同じ製品でも、片開きと両開き、扉が水に沈むかどうかで等級が変わることがあります。三和シヤッター工業のWタイトドアは、片開きがWs-6(水没あり⁠)⁠、両開きがWs-5(水没なし)・Ws-4(水没あり)です。開き方と、想定する水の高さの両方で等級を確かめます。

メーカーによっては、等級ではなく漏水量の数字そのものを示しています。東洋シヤッターのTSウォータータイト⁠は「20L/h・㎡」のように書いています。東洋シヤッター⁠の仕様表にある「水密性W-4」などは雨風に対する性能で、浸水の等級(Ws)とは別のものです。

建材試験センターの技術評価(HWL・MWL・LWL)

メーカーの社内試験とは別に、一般財団法人建材試験センターの技術評価を取った製品もあります。こちらは漏れる量で5等級(5等級が最も少なく、0.001㎥/(h・㎡)=1L以下⁠)⁠、耐える水の高さで3区分(高水位HWLは2.5m超、中水位MWLは1を超え2.5m以下、低水位LWLは1m以下⁠)⁠を組み合わせ、「HWL(3.0)-5等級」のように書きます(建材試験センター 性能基準及び表示)⁠。括弧の中の数字が、その評価で確かめた水の高さ(m)です。

建材試験センターは、1時間⁠に漏れる量を床に溜まる水の高さに置き換える目安も示しています。たとえば1時間に1㎡あたり20L漏れる扉は、扉と同じ広さの床に、1時間⁠で2cmの水を溜める計算です。扉の大きさと部屋の広さから、どれくらいの時間なら持つかを見積もれます。

このページの製品では、豊和工業のスイング式防水扉がHWL(3.0)-5等級、三基工業の防水扉(⁠スイングゲート⁠)⁠がHWL(15)-5等級です(建材試験センター「技術評価案件のご紹介」)⁠。

閉め方の4つの型

  1. 閉めるだけ型:閉めておけば、水圧やドアクローザー⁠の力で扉が枠に密着する。三和シヤッター工業のSタイトドア⁠、クマヒラのセルフタイト防水ドア3、東洋シヤッターのTSウォータータイトSLタイプ、鈴木シャッター⁠のアピアS型ドアがこの型です。
  2. ハンドル型:グレモンハンドルなどを回して、扉を枠のゴムに押し付ける。文化シヤッター⁠のアクアード、三和シヤッター工業のWタイトドア⁠、豊和工業のスイング式防水扉、宇根鉄工所のアクアシャッターSDがこの型です。
  3. 引き戸型:横に引いて閉め、ハンドルで押し付ける。豊和工業のスライド式防水扉。
  4. 自動ドア兼用型:ふだんは自動ドア。浸水のときは電源を切り、専用のハンドルを差して回す。豊和工業の防水自動ドア アルティマ⁠。

閉めるだけ型は、夜間や休日に人がいなくても、ドアが閉まっていれば働きます。ただし、扉が開いたまま止めてあると止水しません。ハンドル型は漏れが少なく深い水に耐える製品が多い一方、浸水の前に誰かが閉めて締める段取りが要ります。

防火設備との兼用

通用口や機械室の扉は、防火設備であることを求められる場合があります。三和シヤッター工業のSタイトドア⁠は特定防火設備(例示仕様⁠)⁠、クマヒラのセルフタイト防水ドア3は常時閉鎖式の特定防火設備(例示仕様⁠)⁠に対応し、文化シヤッター⁠のアクアード⁠も特定防火設備に対応可能としています。三和シヤッター工業のWタイトドア⁠は防火設備としては使えないと書いています。防火と防水の両方が要る出入口では、この点から先に絞ります。

完全には止まらない

文化シヤッター・三和シヤッター工業・クマヒラは、完全に止水する製品ではないと明記しています。性能の数字は試験や実験の値で、保証値ではありません。クマヒラは、浸水が0.3m未満の浅いときに漏れが増えること、扉のまわりの配線や配管には別に止水処理が要ることも書いています。

国土交通省と経済産業省のガイドラインは、長く浸水するおそれがあれば、水密扉の性能に見合う排水ポンプを置き、防水区画の外へ水を出すよう示しています。扉から漏れて溜まった水は、排水用水中ポンプ⁠で出します。

地下の浸水対策の決まり

水防法第15条の2により、市町村の地域防災計画に名前と所在地を定められた地下街等の所有者・管理者は、利用者の避難の確保と浸水の防止のための訓練その他の措置に関する計画を作らなければなりません(水防法)⁠。

東京都は「地下空間浸水対策ガイドライン⁠」⁠を平成20年に作り、令和7年に改定しました。地下街・地下鉄・大規模ビルだけでなく、中小ビルや共同住宅の地下室・半地下室、個人住宅の地下室も対象にしています。改定の背景として、令和6年8月21日の時間約100mmの豪雨で、市ヶ谷駅・麻布十番駅など4駅が浸水したことを挙げています(東京都地下空間浸水対策ガイドライン 概要版)⁠。

選び方

  1. 水の高さを決める:ハザードマップ⁠の想定浸水深、地下なら水が溜まりきったときの高さを確かめ、それを超える製品に絞る。
  2. 等級を決める:電気室・ポンプ室ならWs-6⁠、機械室ならWs-3以上が目安。開き方(片開き・両開き⁠)⁠と水没するかどうかで等級が変わるので、その条件の値を見る。
  3. ふだんの使い方で型を選ぶ:毎日使う通用口なら閉めるだけで止水する型、浸水のときだけ閉める部屋ならハンドルで締める型、通路が狭ければ引き戸の型、エントランスなら自動ドアを兼ねる型。
  4. 防火・寸法・保守を確かめる:防火設備が要るか、開口の幅と高さが製作範囲に入るか、止水ゴムなど消耗品の交換をどうするかを、見積もりの前にメーカーへ伝える。
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