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GUIDE / BOUSAI-SOUKO

防災倉庫とは?建築確認が要る大きさ・10㎡⁠の誤解・積雪の型・補助金と、テント倉庫・ユニットハウス・コンテナハウスとの使い分け

自治体・学校・マンション⁠・会社が備蓄品を入れる防災倉庫について、建築物にならない小規模な倉庫の条件(国土交通省の技術的助言と自治体の取扱い⁠)⁠、新築と増築で違う10㎡⁠の扱い、一般型・多雪型・豪雪型、塩害、地震で鍵が開く仕組み、自主防災組織の補助金、テント倉庫・ユニットハウス・コンテナハウスとの使い分けを、法令・自治体の資料と各メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月9日更新

この記事の答え

防災倉庫は、災害のときに使う備蓄品や資機材を入れる屋外の倉庫です。内部に人が入らない小さな倉庫は建築物になりませんが、それより大きければ建築物で、建物のない敷地に置くなら10㎡以内でも確認申請が要ります。選ぶときは「建築物になるか・申請が要るか」「雪と風と塩にどこまで耐えるか」「災害のときに誰でも開けて取り出せるか⁠」⁠の3つを先に確かめます。

防災倉庫とは

災害のときに使う食料・水・携帯トイレ・毛布や、救助・消火の資機材(担架・発電機・投光器・工具など⁠)⁠を入れておく屋外の倉庫です。自治体の指定避難所や学校の校庭、自治会の集会所、マンション⁠の敷地、会社の構内に置かれます。

国土交通省は2015年の技術的助言で、「既製の小規模な鋼製物置等を備蓄倉庫として活用する事例が見られる⁠」⁠と書いています(国土交通省 国住指第4544号)⁠。実際、このページに載せたメーカーの多くは、量産のスチール物置を防災倉庫として案内しています。そのほかに、防災倉庫のために断熱やアルミの外装で作るユニット、置くだけのコンテナ、柱のない大きな倉庫があります。

比較ページでは、次の4つの形に分けて並べています。

形 どんなものか 広さの目安(このページの製品)
スチール物置型 量産のスチール物置を防災倉庫に使う 約1〜24㎡
ユニット倉庫型 断熱パネルの箱を工場で仕上げて運ぶ 約5〜21㎡
コンテナ型 鉄のコンテナを置く 約8㎡
大型倉庫型 建築物として設計して建てる 200㎡ほどまで

建築物にならない「小規模な倉庫」

国土交通省の技術的助言は、土地に自立して置く小規模な倉庫(物置を含む⁠)⁠のうち、外から荷物を出し入れでき、内部に人が立ち入らないものを、建築基準法第2条第1号の「貯蔵槽に類する施設」として、建築物に当たらないとしました。建築確認の手続きも要りません。既製品かどうか、構造の種類は問わないとしています。

この通知には大きさの数値がなく、自治体が取扱いを決めています。たとえば相模原市と藤沢市の取扱いは次のとおりです(相模原市・藤沢市)⁠。

条件 内容
奥行 1m以下
高さ 2.3m以下
床面積 2㎡以内
使い方 内部に人が立ち入らず、外から荷物を出し入れする
置き方 道路内に置かない。藤沢市は同じ土地に複数置かない、基礎に緊結するよう努める

人が中に入って棚から取り出すような大きさの防災倉庫は、ほとんどがこの範囲を超え、建築物として扱われます。

10㎡⁠の誤解:新築と増築

「⁠10㎡以下の物置なら申請は要らない⁠」⁠と言われることがありますが、これは増築などの場合だけです。建築基準法 第6条第2項は、防火地域・準防火地域の外で、増築・改築・移転する部分の床面積の合計が10㎡以内なら、確認申請の規定を適用しないとしています(建築基準法)⁠。

相模原市のリーフレットは、これを次のように説明しています。

置く場所 扱い 10㎡以内なら
建物のある敷地(校舎・集会所・住宅などの敷地) 増築 防火地域・準防火地域の外なら申請は不要
建物のない空き地・公園 新築 申請が要る
防火地域・準防火地域 ― 大きさにかかわらず申請が要る

2個以上置くなら、床面積は合計で数えます。相模原市は、第一種・第二種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域では、建物のない敷地に物置だけを置くことはできないとしたうえで、自治会などの防災備蓄倉庫は置ける場合もあるので相談するよう書いています。申請が要らない場合でも、建ぺい率や構造などの規定には合わせる必要があります。

メーカーの案内も、この前提で読みます。カガミハウジングは、床面積13.8㎡のKGM-600⁠を「建築確認申請が必要な10㎡⁠を超えた床面積⁠」⁠と書いていますが、建物のない敷地に置くなら、10㎡以下の型でも申請が要ることがあります。稲葉製作所と淀川製鋼所は、申請が要る場合があるので市町村に相談するよう案内し、淀川製鋼所と田窪工業所は申請の代行はしないとしています。

雪と風への強さ

スチール物置型は、屋根が受け止められる雪の重さで型が分かれます。

屋根1㎡あたりの耐荷重は次のとおりです。

メーカー 一般型 多雪型・積雪型 豪雪型
稲葉製作所 1,200N(雪下ろしの目安60cm) 3,100N(100cm) 4,500N(フォルタ大型の一部)
淀川製鋼所(エルモ) 1,200N(積雪約60cm) 3,000N(約100cm) 4,500N(約150cm)
田窪工業所(ND) 1,200N 3,000N ―

ユニット倉庫型では、カガミハウジング⁠が耐積雪100cm・耐風速60m、コスモテック⁠が積雪1m(⁠1㎡あたり300kg)としています。風については、稲葉製作所が耐風圧Vo=34m/s(布基礎とアンカーボルト⁠で緊結することが条件、補強セットが要る機種あり⁠)⁠、淀川製鋼所のヨド倉庫が基準風速34m/s相当と公表しています。そのほかのメーカーは、確かめられる範囲で耐風の値を公表していませんでした。

置く場所の積雪の深さは、特定行政庁が地域ごとに定めています。冬に雪下ろしに行けない場所なら、一段上の型を選びます。

材質と塩害

材質 主な製品 公式の書き方
めっき鋼板に焼付塗装 稲葉製作所・淀川製鋼所・田窪工業所の物置 亜鉛アルミ系めっき鋼板(指定建築材料)、ガルバリウム鋼板、ZAM など
アルミ合金 福助工業・カガミハウジング⁠・不二サッシ 屋根・外壁をアルミ合金、骨組は鉄骨やアルミ
高耐食ステンレス 福助工業・不二サッシ 福助工業は「海辺など塩害のおそれのある地域でも安心」
鉄板 総合車両製作所のオクダケ 鉄道コンテナと同じ造り、厚さ1.6mm

塩害の地域向けと公式に書いているのは、福助工業の高耐食ステンレスタイプだけでした。海に近い場所では、メーカーに設置場所を伝え、保証の扱いも含めて確かめます。

中の温度も、備蓄品の傷みに関わります。断熱材を入れている製品は、稲葉製作所のフォルタプラス(内壁・天井に15mm⁠)⁠、福助工業(30mm)、コスモテック(壁30mm・屋根40mm)、カガミハウジング(50mm)です。

災害のときに開けられるか

防災倉庫はふだん鍵を掛けておくので、災害のときに鍵を持つ人が来られないと開けられません。

  • 淀川製鋼所:震度6弱程度の揺れで鍵が開く、電源の要らない地震時自動解錠装置をエルモに付けられます(54サイズ、税込495,000円・取付費14,300円)
  • 福助工業:扉の鍵を入れた箱を外壁に付け、地震を感知すると箱のロックが外れる「鍵収納箱(地震感知ボックス⁠)」⁠を付けています(⁠2016年製作分から)
  • 田窪工業所:内側から仮施錠を外せるエマージェンシーノブ付きの錠です

こうした仕組みがない場合は、鍵を複数の人で分けて持ち、置き場所を訓練で確かめておきます。中の棚から物を出す手順と、何がどこにあるかの表を扉の内側に貼っておくと、初めての人でも取り出せます。

補助金

自主防災組織が防災倉庫を置くときに補助する自治体があります。

自治体・団体 制度 補助
静岡市 防災倉庫設置費補助金 2分の1、30万円まで(令和7年度)
沼津市 資機材補助金(区分1 防災倉庫) 2分の1、15万円まで(令和8年度)
自治総合センター(全国) コミュニティ助成事業 自主防災組織の育成助成として30万〜200万円⁠。建築物・消耗品は対象外(令和9年度)

出典:静岡市・沼津市・自治総合センター

どの制度も、交付決定の前に買ったものは対象になりません。藤沢市は、補助金で防災倉庫を置く自主防災組織に、建築確認が要るかを先に建築指導課へ相談し、要る場合は交付決定のあとに建築確認申請・設置・完了検査をして、確認済証と検査済証の写しを出すよう求めています。沼津市は、防災倉庫を買う場合に位置図と土地所有者の証明書類を出すよう求めています。

マンションでは、東京都の「東京とどまるマンション普及促進事業⁠」⁠が防災備蓄資器材の購入を補助しますが、令和8年度の手引きの対象品目の表に倉庫は載っていません(東京都)⁠。

建物の中に備蓄倉庫を設ける場合

マンション⁠や会社のビルの中に、防災のための備蓄倉庫を部屋として設ける方法もあります。建築基準法施行令 第2条は、専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分の床面積を、容積率を計算するときの延べ面積に入れないとしています。限度は、敷地内の建物の床面積の合計の50分の1です(建築基準法施行令)⁠。屋外に置く場所がない建物では、この方法も検討します。

テント倉庫・ユニットハウス・コンテナハウスとの使い分け

どんなものか 向いている使い方
防災倉庫 人が入って棚から取り出す、20㎡ほどまでの倉庫 避難所・自治会・マンション・会社の備蓄
テント倉庫 鉄骨に膜を張った、柱のない平屋の倉庫 1,000㎡までの物資の集積所
ユニットハウス 工場で仕上げた鉄骨の箱 避難所の本部・休憩所・更衣室など、人が過ごす部屋
コンテナハウス コンテナの形の鉄骨の箱を、つないだり積んだりする 人が過ごす部屋を、箱の組み合わせで設計したいとき

物資の量が多く、トラックやフォークリフト⁠で出し入れするならテント倉庫⁠、人が中で過ごす部屋が要るならユニットハウスやコンテナハウスを、それぞれの比較ページで見てください。どれも土地に置いて使えば建築物で、確認申請が要ります。防災倉庫に入れる携帯トイレやマンホールトイレは、非常用トイレ⁠のページで比べています。

価格の目安

公的な相場の統計は見つかりませんでした。価格を公開しているのは、スチール物置型のメーカー希望小売価格と、大型倉庫型の参考価格だけです。

製品 公開されている価格
稲葉製作所 フォルタプラス 税抜286,000〜1,053,000円
稲葉製作所 フォルタ大型 税抜605,000〜1,109,000円
淀川製鋼所 エルモ 税込178,200〜1,320,000円(地震時自動解錠装置は別に税込495,000円)
田窪工業所 ND 税込192,500〜974,600円(組立費は別)
STEEL ARCH スチールアーチ 66.40㎡⁠の例が1,000万円〜(税込・建築確認申請を含み、電気・地盤改良・断熱・内装は含まない、岐阜県での概算)

ユニット倉庫型とコンテナ型は、価格を公開していません。田窪工業所は組立費が別と書いています。基礎工事・運搬・組立が価格に入っているかは、見積もりでそれぞれを分けてもらって確かめます。

選び方

  1. 置く場所と手続きを先に確かめる:建物のある敷地か空き地か、防火地域・準防火地域か、用途地域で単独の倉庫を置けるか。土地の持ち主の承諾も要ります。建築指導課に、大きさと置き方を伝えて相談します。
  2. 入れる物の量から広さを決める:備蓄品の箱の数と、担架・発電機など大きな資機材の寸法から、床面積と棚の段数、扉の開口の広さを決めます。
  3. 雪・風・塩で型を決める:積雪の深さに合う一般型・多雪型・豪雪型、海の近くならステンレスなど塩害に強い材質を選びます。
  4. 開け方を決める:地震で鍵が開く装置や鍵の箱を付けるか、鍵を誰が持つかを決めます。
  5. 見積もりの中身をそろえる:本体・基礎工事・運搬・組立・確認申請・オプション(棚・照明・名入れ⁠)⁠を分けて、同じ条件で比べます。補助金を使うなら、交付決定の前に発注しないようにします。
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