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GUIDE / DENSHI-KENBIKYO

電子顕微鏡とは?仕組みと原理、SEMとTEMの違い、光学顕微鏡との違い、分解能の見方と選び方

研究開発・品質管理・故障解析で使う電子顕微鏡(走査型SEM・透過型TEM)の仕組みと原理、光学顕微鏡との違い、卓上SEM・汎用SEM・FE‑SEM・TEMの違い、分解能と倍率の見方、低真空とEDS、価格の出し方を、日本電子の解説と各メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月14日更新

この記事の答え

電子顕微鏡は、光の代わりに波長の短い電子線を当てて、光学顕微鏡では見えない数nmの構造まで拡大して見る装置です。選ぶときは「表面を見るSEMか、薄い試料の中を見るTEMか」「どこまで細かく見たいか(分解能と、そのときの加速電圧)」「電気を通さない試料や大きな部品をそのまま入れたいか」の3つを先に決めます。

電子顕微鏡とは

電子顕微鏡は、光の代わりに電子線を使う顕微鏡です。光を使う光学顕微鏡は、光の波長より小さい物を見られません。電子は光より波長が短いので、もっと細かい物まで見えます。日本電子の解説では、見分けられる細かさ(分解能)は⁠、走査型(SEM)で0.5〜4nm、透過型(TEM)で0.1〜0.3nmです。人の目で見分けられるのは0.2mmといわれています。

研究開発・品質管理・故障解析では、異物の正体を調べる、破断面や粒子の形を見る、めっきや塗膜の断面を見る、細胞やナノ粒子の中を見る、といった使い方をします。比較ページには、装置の本体を載せています。

仕組みと原理

  • SEMは、細く絞った電子線で試料の表面をなぞり、表面から出てくる電子(二次電子・反射電子)を検出器で拾って像にします
  • TEMは、薄くした試料に電子線を通し、通り抜けた電子で中の構造を映します
  • 試料室は真空にします。電気を通さない試料は電子がたまって(帯電)像が乱れるので、金や白金パラジウムで表面を薄く覆うか、低真空モードで見ます
  • 加速電圧が高いほど分解能は上がりますが、試料のダメージも増えます。表面のごく浅い所を傷めずに見るなら、数kVの低い電圧を使います

光学顕微鏡との違い

  • 見える細かさ:光学顕微鏡は光の波長が限界。電子顕微鏡は数nm以下まで見分けます
  • 立体感:SEMは焦点深度が深く、凹凸のある表面を立体的に見られます
  • 色:電子顕微鏡の像は白黒です。元素の違いは、反射電子像の明暗やEDSで見ます
  • 試料:電子顕微鏡は真空に入れるので、水を含む試料は乾かすか、低真空・冷却で見ます

光学顕微鏡やデジタルマイクロスコープで見えない所を、電子顕微鏡で確かめる、という順で使うことが多い装置です。

4つの種類

卓上SEM

机に置ける小型のSEMです。電子銃はタングステンかCeB6で、分解能は数nm〜10nm程度。試料を入れて短い時間で像が出るので、品質管理の異物確認や研究室での確認に使います。サーモフィッシャーのPhenom XL G3は100×100mmの試料が入り、テクネックス工房のTinySEMは100Vのコンセントだけで動きます。

汎用SEM(タングステン・LaB6)

床に置く据え置きのSEMで、電子源にタングステンのフィラメントを使います。ツァイスのEVOはLaB6も選べます。試料室が大きく、EDSなど分析の検出器を付けて、材料や異物を調べる分析室の中心になります。

FE‑SEM・FIB‑SEM

電界放出形の電子銃で電子線を細く絞り、1kV前後の低い電圧でも1nm前後まで見分けます。電子線に弱い樹脂や生物の試料、表面のごく浅い所を見るのに向きます。FIB‑SEMは、イオンビームで削るFIBとFE‑SEMを1台にした装置で、断面を作りながら見たり、TEMで見る薄い試料を作ったりします。

TEM(透過型)

電子線を薄い試料に通して、中の構造を見ます。120kVの機種は生物・高分子に多く使われ、細胞や組織の観察、クライオ電子顕微鏡の入門機にもなります。試料を薄くする前処理と、置く部屋の広さを先に決めます。

分解能と倍率の見方

  • 倍率は画面や写真の大きさで変わるので、比べるのは分解能です
  • 分解能は「15kVで0.9nm」「1kVで1.3nm」のように、加速電圧と検出器の条件つきで書かれます。条件をそろえて比べます
  • 低い電圧での分解能は、電子線に弱い試料や表面を見るときに効きます。ツァイスのSigma 360は500Vで1.9nmです
  • TEMは点分解能・線分解能で書かれることがあります(サーモフィッシャー⁠のTalos 12は線分解能0.204nm)

低真空とEDS

  • 低真空モード:試料室を数十〜数百Paにして帯電を減らし、樹脂・ガラス・セラミックスをコーティングなしで見ます。標準で付く機種と、オプションの機種があります
  • EDS:電子線を当てたときに出るX線で元素を調べます。BからUまで同時に分析でき、異物の正体や材料の判別に使います
  • EDSを自社で作っているメーカー(日本電子)は⁠、観察の画面で元素を表示できます

選ぶときに見るところ

  1. 表面を見るならSEM、中の構造を見るならTEM
  2. 見たい細かさと、そのときの加速電圧(低い電圧で見たいならFE‑SEM)
  3. 試料室に入る大きさ(直径・高さ・⁠⁠⁠重さ)
  4. 電気を通さない試料の多さ(低真空モードの有無)
  5. EDSなど分析の検出器を付けるか
  6. 置き場所・電源・床の振動、保守の体制

価格

値段を公式に出しているメーカーは少数です。島津製作所は、汎用SEMのSS‑2000 LMSを3,890万円から、FE‑SEMのSS‑4000 LMHを1億1,000万円から(税込)と公開しています。日本電子の卓上SEM JCM‑7000は、2019年の発売時に本体標準価格6,500,000円からでした。ほかは、試料と使い方を伝えて見積もりを取り、試料を送ってデモで確かめます。

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