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GUIDE / HOUDEN-KAKOUKI

放電加工機とは?ワイヤ放電加工機(ワイヤカット)・形彫り放電加工機・細穴放電加工機の違いと選び方

金型や精密部品を作る放電加工機の仕組み、ワイヤ放電加工機・微細加工向けの機械・形彫り放電加工機・細穴放電加工機の違い、加工液の水と油の選び方、ワイヤ径とテーパ角の見方を、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月14日更新

この記事の答え

放電加工機は、電気の火花で金属を少しずつ溶かし、焼入れ鋼や超硬合金でも図面どおりの形に仕上げる工作機械です。細いワイヤで切り抜くワイヤ放電加工機(ワイヤカット)、電極の形を写す形彫り(型彫り)放電加工機、穴をあける細穴放電加工機に分かれます。選ぶときは「突き抜けた輪郭か、底のある凹みか、穴か」「加工物の大きさと重さ」「どこまで細かい形が要るか」の3つを先に決めます。

放電加工機とは

放電加工は、電極に電圧をかけて加工物に近づけ、間の加工液の絶縁を破って火花(放電)を飛ばし、その熱で加工物の表面を溶かす加工です。溶けたくずは加工液が流し出し、絶縁が戻ったところでまた放電させます。これを1秒に何千回、何万回と繰り返して形を作ります。

刃物で削るのと違い、電気が通る材料なら硬さに関係なく加工できます。焼入れした鋼、超硬合金、チタンも削れます。刃物が当たらないので、加工物に大きな力がかからず、変形やひずみが出にくいのも特長です。反対に、樹脂のように電気を通さない材料は加工できません。

比較ページには、金型や精密部品の加工で使う放電加工機を、ワイヤ放電加工機・微細加工向けのワイヤ放電加工機・形彫り放電加工機・細穴放電加工機の4つに分けて載せています。マシニングセンタや旋盤などほかの工作機械、レーザー加工機、電極やワイヤだけの消耗品、加工の受託、中古機は載せていません。

4つの種類

  • ワイヤ放電加工機(ワイヤカット):上から下へ走らせた細いワイヤで、糸のこのように輪郭を切り抜きます。プレス金型のダイやパンチ、焼入れした部品の切り抜きに使います。例はソディックのVN400Q、ファナックのROBOCUT α-C600iC、三菱電機のMV4800R、西部電機のMM50UPです
  • 微細加工向けのワイヤ放電加工機:直径0.02〜0.03mmの細いワイヤで、コネクタやリードフレームの小さな部品を切ります。例は牧野フライス製作所のUPN-01、西部電機のMEX15です
  • 形彫り放電加工機:銅やグラファイトの電極の形を、加工物に写して彫ります。樹脂やダイカストの金型のキャビティを彫るのに使います。例は三菱電機のSV12P、牧野フライス製作所のEDAF2、アイトロニクスのAx1601です
  • 細穴放電加工機:回るパイプ電極で細い穴をあけます。ワイヤ放電加工機のワイヤを通すスタート穴をあけるのに使います。例はソディックのK1C、エレニックスのCT300FX、日本放電技術のJEM-25Aです

ワイヤ放電加工機と形彫り放電加工機の違い

ワイヤ放電加工機は、ワイヤが装置の上から下へ張られているので、切った面は加工物の上から下まで突き抜けます。底を残す形は作れません。テーブルがX・Yに動いて輪郭を切り、U・V軸でワイヤを傾けると、テーパや上下で形の違う穴も切れます。

形彫り放電加工機は、電極を加工物に近づけて放電させ、電極の形をそのまま写します。電極が加工物を突き抜けなくてよいので、金型のキャビティのような底のある形を彫れます。電極も火花で少しずつ減るので、電極を作る手間と、減り方を抑える加工条件が仕上がりを決めます。

ワイヤ放電加工機の選び方

  • 加工物の大きさと重さ:加工物の最大寸法と質量で、機械の大きさが決まります。比較ページでは、三菱電機のMV4800Rが3,000kg、ファナックのROBOCUT α-C600iCが1,000kg、西部電機のMM50UPが800kgまで載せられます
  • ワイヤ径:一般に直径0.05〜0.3mmです。細いワイヤほど小さな角や狭い溝を切れます。標準の機械は0.1〜0.3mmのものが多く、微細加工向けの西部電機MEX15は0.03mm、牧野フライス製作所のUPN-01は0.02mmまで使えます
  • テーパ角:抜き勾配を付けるなら、最大テーパ角とそのときの板厚を見ます。ファナックのROBOCUT α-C600iCは板厚150mmで±30°、ソディックのVN400Qは板厚100mmで±15°、西部電機のMM50UPは標準で板厚300mmまで±10°(オプションで板厚40mmなら±45°)⁠⁠⁠です
  • 無人運転:夜間に回すなら、ワイヤが切れたときの自動結線を見ます。ファナックのROBOCUT α-C600iCは、板厚500mmまで水中で結線し、板厚150mmなら切れた所から結線し直します

加工液は水と油

ワイヤ放電加工機の加工液には、イオンを取り除いた水(純水)と⁠、放電加工用の油があります。

  • 水:油より冷やす力が強く、加工くずを流しやすいので、速く切れます。標準のワイヤ放電加工機の多くは水です
  • 油:絶縁性が高く、放電のすき間を狭くできるので、細かい形ときれいな面を出せます。微細加工向けの機械に多く、超硬合金を電気で傷めにくいという利点もあります
  • 形彫り放電加工機は、灯油系の放電加工油(危険物第4類第3石油類)を使います

油を使う機械は、火災予防の基準に沿って置き場所と消火設備を決めます。

形彫り放電加工機の選び方

  • 加工槽と加工物の重さ:彫りたい金型が加工槽に入り、テーブルに載るかを見ます。三菱電機のSV12Pは工作物1,000kg、牧野フライス製作所のEDAF2は500kg、アイトロニクスのAx1601は80kgまでです
  • 電極の重さと自動交換:大きな電極を使うなら最大電極質量を見ます。SV12Pは80kg、EDAF2は50kgです。何本もの電極を夜通し使うなら、電極の自動交換(ATC)を付けます。EDAF2は特別仕様で8・16・32本です
  • 置き場所と電源:アイトロニクスのAx1601は床の面積650mm角・200kgで、単相AC100Vでも動きます。小物を彫るなら、小さな機械から始められます

細穴放電加工機の選び方

細穴放電加工機は、パイプ状の電極を回しながら、中に加工液を通して放電させ、細い穴を速くあけます。ドリルと違って刃が折れないので、焼入れした後の部品にも穴をあけられます。

  • 電極の太さ:あけたい穴の大きさで決めます。ソディックのK1Cと日本放電技術のJEM-25Aは直径0.2〜3.0mm、エレニックスのFX Ⅲシリーズは30μm〜8mmの穴に対応します
  • 加工液:ソディックのK1Cは水溶性、日本放電技術のJEM-25Aは純水です。純水で使える機械は、特殊な加工液を用意しなくて済みます
  • 移動量:ワイヤカットのスタート穴をあけるだけなら、加工物を載せて位置を合わせられる大きさがあれば足ります

価格

放電加工機の値段を公式に出しているメーカーは少なく、比較ページでは12製品中2製品だけです。ソディックのワイヤ放電加工機VN400Qは、2022年の発表時の標準価格が1,500万円〜(税抜)⁠で⁠し⁠た⁠。三菱電機の形彫放電加工機SV12Pは、2018年の発売時の標準価格が1,750万円(税抜)⁠で⁠し⁠た⁠。どちらも発表時の値段で、今の値段とは違うことがあります。ほかの機種は、加工物の大きさ・重さ・精度と台数を伝えて見積もりを取ります。

出典

  • 株式会社ソディック SurVibes「ワイヤ放電加工機とは?」「形彫り放電加工機とは?」「放電加工時の加工液の重要な役割とは?」
  • 株式会社ソディック 細穴放電加工機・各製品ページ・VN400Q/VN600Q 販売開始のお知らせ(2022年8月)
  • 三菱電機株式会社 SV12P・MV-Rシリーズの仕様、形彫放電加工機 SV-Pシリーズ 発売のお知らせ(2018年6月)
  • ファナック株式会社 ROBOCUT α-CiCシリーズの製品ページ・カタログ
  • 株式会社牧野フライス製作所 UPN-01・EDAF2 の製品ページ
  • 西部電機株式会社 放電加工機の製品情報
  • 株式会社エレニックス・株式会社アイトロニクス・株式会社日本放電技術 の製品ページ
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