この記事の答え
ろ過装置は、液をろ紙・カートリッジ・砂・金網などのろ材に通して、切粉やスラッジ、濁りをこし取る装置です。選ぶときは「何の液をこすか」「どこまで細かくこすか」「どれだけ流すか」「ろ材を替えるか、自分で洗うか」の4つを先に決めます。ろ過精度の数字はメーカーごとに測り方が違い、カタログの流量は清水で測った値が多いので、自分の液でのテストか、液の条件を伝えた見積もりで決めます。
ろ過装置とは
液をろ材に通し、ろ材より大きな粒をろ材の表面や中に留めて、きれいな液だけを先へ流します。工場で使うろ過装置は、こした液を機械へ戻して使い続けるもの(クーラント・作動油・めっき液・冷却水)と、外へ出す前に濁りを下げるもの(排水)に分かれます。
同じ「こす」でも、汚泥を絞って水を抜くフィルタープレスや脱水機、遠心力で比重の違うものを分ける遠心分離機、磁石で鉄粉を取るマグネットセパレーターは、しくみが違うので比較表には入れていません。
こす液で分かれる4つの型
クーラント用
マシニングセンタや研削盤から戻ったクーラントを、ろ紙や焼結材のフィルターでこしてから機械へ戻します。切粉が多い切削には、切粉を運ぶコンベヤにドラムフィルターを組み込んだ型があり、ブンリのBAL-2は水溶性クーラントを200L/minこします。研削のスラッジにはろ紙を送りながらこす型を使い、ノリタケのNPF-4は平均捕捉粒子5〜40μmの濾紙から選べます。
油用(オイル浄化)
油圧や潤滑のタンクの油をポンプで横に回し、エレメントでこしてタンクへ戻します(オフライン、バイパスろ過)。機械を止めずに油をきれいに保てるのが利点で、アメロイドのCJCフィルタやトリプルアールのOSCAは、ごみと一緒に油の水分も吸わせます。
ただし、油そのものが酸化して傷んでいるときは、こすだけでは戻りません。トリプルアールは、使ったエレメントの表面に黒や茶色の粘りのある汚れが多いときは、油の交換かエレメントの交換を早めるよう勧めています(トリプルアール オイルエレメント)。
用水・排水用
工業用水・冷却水・排水を、配管の途中や塔の中で大量にこします。金網やウェッジワイヤーのスクリーンを自動で洗うストレーナー(いけうちのARSフィルター)と、砂や繊維の層に通して、詰まったら逆向きの水で洗うろ過塔(日本原料のシフォンタンク、トーケミのアクティファイバー)があります。
精密ろ過機
カートリッジ・ろ布・セラミックの筒をハウジングに入れ、ポンプで液を通してこします。こす細かさは入れるろ材と、ろ材の表面に粉の層を付けるプレコートで決まります。めっき液・アルマイト液・洗浄油・製造用の水など、液を選ばずに使えます。
ろ過精度の読み方
カタログの「ろ過精度」は、メーカーごとに書き方がそろっていません。
- 「20μm 90%以上」のように、その大きさの粒を何%取れるかで書くもの
- 「絶対3μ」のように、その大きさ以上をほぼ通さないと書くもの
- 「β3(C)=1000」のように、マルチパステスト(液を何度も回して前後の粒の数を比べる試験)の比で書くもの
- 「平均捕捉粒子25μm」のように、ろ紙の目の細かさで書くもの
ブンリは精度を自社の実験の値で効果を保証するものではないと、濾過精工も保証値ではないと注記しています。数字の大小だけで比べず、同じ書き方どうしで比べるか、自分の液で試してから決めます。日本濾水機工業のように、濾過テストの依頼を公式サイトで受けているメーカーもあります。
流量は「清水」の値かを見る
三進製作所は清水か水の基準、ノリタケは25μmの濾紙に清水を流した値と書いています。クーラントや油は水より流れにくく、汚れが多いほどろ材が早く詰まるので、実際に流せる量はカタログより少なくなります。見積もりのときは、液の種類・温度・汚れの量を伝えます。
ろ材を替えるか、自分で洗うか
| 手入れのしかた |
例 |
気にすること |
| ろ紙を送って替える |
ノリタケ NPF-4 |
使ったろ紙を捨てる手間と費用 |
| カートリッジを替える |
三進製作所 EAX04、濾過精工 RS-1 |
替えるカートリッジの値段と交換の間隔 |
| 自動で洗う(逆洗・シャワー・ジェット) |
ブンリ BAL-2、濾過精工 E4F200D型、いけうち ARS-500 |
洗うための上水や圧縮空気、洗った汚れの出し先 |
| ろ過材を揉み洗いして使い続ける |
日本原料 ST-1000 |
凝集剤や油が混じる排水では入れ替えがいることもある |
排水の濁りの決まり
工場の排水を川や海へ出すときは、水質汚濁防止法の排水基準を守ります。一律排水基準では、濁りの指標の浮遊物質量(SS)は200mg/L(日間平均150mg/L)、鉱油類は5mg/Lで、1日の排水が50m³以上の工場・事業場に当てはまります(環境省 一律排水基準)。府県が条例でこれより厳しい上乗せ排水基準を決めていることがあるので(環境省 せとうちネット「府県別上乗せ排水基準」)、工場のある自治体の基準も確かめます。
見積もりの前に用意するもの
- こす液の種類(水溶性・油性クーラント、作動油の銘柄、めっき液の種類など)と温度
- 流す量(L/min か m³/h)と、タンクや槽の大きさ
- 取りたいごみ(切粉・砥粒・スラッジ・水分)の大きさと量。わかれば液のサンプル
- 置ける場所の大きさ、電源(三相200Vか)、上水や圧縮空気が使えるか
- いま困っていること(加工面の傷、フィルターの交換が多い、排水の濁りなど)