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GUIDE / HINANJO-MAJIKIRI

避難所間仕切りとは?1人3.5㎡⁠の広さ・高さ・防炎・SG基準と、自治体の備え方

体育館などの避難所で家族ごとの空間を区切る間仕切りについて、内閣府の取組指針とガイドライン⁠が求めること(⁠1人3.5㎡・世帯ごとのエリア・見通しの確保・防炎品⁠)⁠、製品安全協会のSG基準、段ボール・骨組みとカーテン・ワンタッチ・テントの4つの形、組み立ての人数と時間、自治体の備蓄と協定の例、非常用トイレ・防災倉庫との組み合わせを、国と自治体の資料と各メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月9日更新

この記事の答え

避難所間仕切りは、避難所で世帯ごとの居場所を区切る組み立て式の囲いです。国の指針は、避難所ごとに備蓄して開設時に置くことと、1人当たり最低3.5㎡⁠の居住スペースを求めています。選ぶときは「⁠1人3.5㎡⁠で何区画要るか」「座って隠れる高さか、立って隠れる高さか」「誰が何分で出せて、どこにしまうか⁠」⁠の3つを先に決めます。

避難所間仕切りとは

体育館や公民館の床に、家族ごとの居場所を区切って置く、組み立て式の囲いです。パーティション・パーテーション・間仕切りテントとも呼ばれます。

内閣府の「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(令和6年12月改定)は、パーティション⁠や段ボール製のベッドなどの簡易ベッドを各避難所に備蓄し、避難所の開設時に設置するよう求めています。プライバシー⁠を確保する観点から、間仕切りで世帯ごとのエリアを設けることも書いています(内閣府 取組指針)⁠。

比較ページでは、次の4つの形に分けて並べています。

形 どんなものか 高さ(このページの製品)
パネル型(段ボール・樹脂) 段ボールや樹脂の板を立ててつなぐ 1〜1.4m
骨組みとカーテン型 パイプの骨組みに布を掛ける 1.8〜2m
ワンタッチ⁠型(屋根なし) スチールの輪と生地が一体で、広げると立つ 1.2〜1.8m
テント型(屋根付き) 天井まで布で覆う屋内用のテント 1.4〜2.2m

国の指針とガイドライン⁠が求めること

取組指針と、それを市町村の業務に落とし込んだ「避難所運営等避難生活支援のためのガイドライン⁠」(令和6年12月改定)は、間仕切りについて次のように書いています(内閣府 ガイドライン⁠)⁠。

  • 備蓄:パーティション・簡易ベッドなどを各避難所に備蓄し、開設時に設置する
  • 広さ:スフィア基準に沿って、1人当たり最低3.5㎡⁠の居住スペースとする
  • 配る順番:全員に行き渡らないときは、高齢者・障害者・女性など優先する人に先に提供し、足りない分は民間事業者との協定などで調達する
  • 訓練:平時から、地域住民にも使ってもらうなどして設置の訓練をする
  • 見通しの確保:間仕切りで世帯ごとのエリアを設ける際、防犯のため見通しの確保に留意する
  • 種類の比べ方:さまざまな種類のパーティションを、設置の容易さや耐久性などで比べ、時期に応じて使い分ける

スフィア基準は、被災者の支援で最低限満たすべき国際的な基準をまとめた「スフィア・ハンドブック⁠」⁠の基準で、ガイドライン⁠は避難所の質の向上を考えるときの指標と位置づけています。

1人3.5㎡⁠で広さを数える

1区画の広さは、このページの製品では約2m四方(⁠4㎡⁠)⁠か2.1m四方(約4.4㎡⁠)⁠が中心です。1人3.5㎡⁠で数えると、どちらも大人1人分です。

世帯の人数 3.5㎡⁠で数えた広さ 2.1m四方の区画で
1人 3.5㎡ 1区画(約4.4㎡⁠)
2人 7㎡ 2区画(約8.8㎡⁠)
4人 14㎡ 4区画(約17.6㎡⁠)

製品安全協会のSG基準は、避難所用間仕切りテントの床を長辺2,700mm以下・短辺2,500mm以下とし、乳幼児も含めて2〜5名ほどが就寝できる大きさを想定しています(製品安全協会)⁠。メーカーが示す収容の目安(たとえば1部屋に2人)は、3.5㎡⁠で数えた人数より多いことがあります。避難所の床面積から置ける区画の数を出し、想定避難者数と比べておきます。

高さ:座って隠れるか、立って隠れるか

高さは、どの姿勢で目線を隠したいかで決めます。

高さ メーカーの案内 主な製品
1〜1.4m 座った状態で間仕切りになる(シンボ、140cm) 段ボールのパネル、ニードのWT-120・140
1.8〜2m 立ち上がれる(シンボ、180cm) 骨組みとカーテン型、ニードのWT-180、ケンユー
天井まで 体育館のギャラリー(中2階)からの視線も遮る(ニード) 屋根付きのテント

ただし、ガイドライン⁠は防犯のために見通しを確保するよう求めています。高く囲うほど中の様子は外から分かりにくくなります。屋根を半分だけ付ける(ケンユー⁠)⁠、屋根の幕を巻き取れる(シンボのBOXタイプ⁠)⁠、低い型に後から屋根を足せる(ニード)など、開け閉めできる製品もあります。着替えや授乳に使う個室だけを天井まで覆い、家族の区画は低めにする分け方もあります。

4つの形の違い

形 組み立て しまうとき 使った後
パネル型(段ボール) 板をジョイント⁠や柱でつなぐ。工具は要らない 平たい箱・ケースで8.5〜17kgほど 段ボール資源として出せる製品がある
パネル型(樹脂) 板を広げてつなぐ 平らに折りたたむ 繰り返し使える
骨組みとカーテン型 パイプを組んで布を掛ける 4部屋分で1〜2箱、20〜36kgほど 部品を補充して繰り返し使う
ワンタッチ型・テント型 袋から出して広げる 平たい円盤やケースで1.6〜11.5kgほど たたんで収める。繰り返し使えると明記するのはケンユー

段ボールは、森井紙器工業が直射日光・高温多湿・結露を避けた屋内での保管が望ましいとしています。タケナカダンボール⁠は両面に撥水の加工をしています。体育館の床の湿気が気になるなら、床に敷くシートやマットが付属するか(ニード・シンボはアルミの敷物が付属⁠)⁠も見ます。

防炎とSG基準

取組指針は防火対策として、避難所で使う毛布・シーツ等に、状況に応じて燃えにくい素材(不燃性・難燃性のある製品、防炎品など⁠)⁠を使うよう書いています。

製品安全協会の「避難所用間仕切りテントのSG基準」(CPSA 0148)は、次のような項目を定めています。

項目 内容
形の区分 支柱はワイヤー型・ポール型、幕体は密閉型・天面あり床面なし型・床面あり天面なし型・側面のみ型
防炎 幕体を通常型と防炎型に分ける。防炎型でも全く燃えないわけではないことを取扱説明書に書く
構造 表札と郵便受けに当たるものがある。組立・収納に工具を使わない
強度 フレームが丈夫で、組立と収納を繰り返しても使えること
表示 設営・収納を何名で行うかを取扱説明書に書く

基準ができた経緯として、自治体の入札で価格が優先され、強度がない・生地が透けるなどの品質問題が起きていたことが挙げられています。入札の仕様書に、高さ・遮光・防炎・付属品を書いておくと、価格だけで決まるのを防げます。

このページで防炎(難燃⁠)⁠を公式に書いているのは、ナガエ(仕切り布が防炎仕様⁠)⁠、ニードのプライベートルーム(防炎性能 区分3以上⁠)⁠、シンボ(防炎加工⁠)⁠、ケンユー(難燃加工)です。SGマークの取得を製品ページに書いている製品は、確かめた範囲ではありませんでした。

組み立ての人数と時間

避難所を開くのは、市町村の職員や施設の管理者、住民です。組み立ての人数と時間を数字で公表しているのはシンボだけでした。

製品 公式の案内
シンボ BOXタイプ 広げるまで1〜2分、屋根のファスナー接続にさらに3分ほど。2名⁠で行うのを勧める
シンボ 屋根付きタイプ 5〜7分ほど。2名⁠で行うのを勧める
ナガエ 5種類の部品で、少人数で直感的に組み立てられる
ケンユー 少人数、短時間で設営できる
段ボールの各社 道具不要(時間は人数や慣れで変わる、森井紙器工業)

森井紙器工業は、初回は避難訓練とあわせて組立から片付けまで試しておくよう勧めています。取組指針も平時からの設置訓練を求めています。訓練で、何人で何分かかったかを記録しておくと、開設時の段取りを組めます。

自治体の備え方の例

  • 東京都文京区:令和2年度に避難所用パーテーション(幅2,100×奥行2,100×高さ1,400mm)1,720張と福祉避難所用515張を買い入れ、避難所34か所などに配った
  • 東京都港区:令和6年度に福祉避難所24施設(受入可能1,609人⁠)⁠のため間仕切りテント493張を1張35,000円(消費税は別⁠)⁠で購入し、3施設の倉庫に分けて置いた
  • 奈良県奈良市:平成30年に、紙管と布の「避難所用・紙の簡易間仕切りシステム⁠」⁠を供給するNPO法人と協定を結んだ

出典:文京区・港区・奈良市

奈良市の資料は、紙の間仕切りの設置までに、協定のあった大阪北部地震では発生後4日、協定のなかった熊本地震と北海道胆振東部地震では9日かかったと書いています。自前の備蓄と協定による調達を組み合わせ、最初の数日を自前で賄えるかを数えておきます。紙管と布の間仕切りは、このNPOが協定で提供するもので、メーカーとして販売する製品ではないため、比較表には載せていません。

非常用トイレ・防災倉庫との組み合わせ

取組指針は、携帯トイレ・簡易トイレ・パーティション・簡易ベッド・毛布などを、災害が起きたら直ちに出せるよう、避難所や物資拠点に確保するよう求めています。間仕切りは1区画ごとに箱や袋があり、数百張になると置き場所が要ります。

  • 間仕切りの収納寸法と数から、避難所の倉庫や防災倉庫⁠の棚の広さを決める
  • 着替えや授乳に使う屋根付きのテントは、トイレの近くに置く場合もある。トイレの備蓄は非常用トイレ⁠で比べている
  • 間仕切りの配置図を、トイレ・通路・物資の配布場所とあわせて平時に作っておく

価格の目安

公的な相場の統計は見つかりませんでした。価格を公開している製品と、自治体の購入の例は次のとおりです。

製品・例 価格
ナガエ避難所間仕切り 税込148,500円(4部屋分)
イーストアイ 4部屋セット(⁠PT-P4⁠) 税込77,550円(4部屋分)
シンボ 避難所テント BOXタイプ 税込26,290〜31,240円
シンボ 避難所テント 屋根付きタイプ 税込11,880〜14,850円
タケナカダンボール 間仕切りⅡ 税別19,000円(送料別)
港区の購入(間仕切りテント) 1張35,000円(消費税は別)

森井紙器工業はオープン価格、ほかは問い合わせでした。ニードは、自社の間仕切りなどを個人向けやネットでは販売せず、備蓄状況は自治体に問い合わせるよう案内しています。

選び方

  1. 何区画要るかを数える:想定避難者数と1人3.5㎡から、要る床面積と区画の数を出します。避難所の床面積で置ける数と比べ、足りない分は協定でまかなうかを決めます。
  2. 高さと屋根を決める:家族の区画は座って隠れる高さか、立って隠れる高さか。着替え・授乳・要配慮者の個室は天井まで覆う型にするか。見通しと巡回もあわせて考えます。
  3. 出し方を決める:誰が何人で組み立てるか。訓練で時間を測り、組み立て説明の紙を箱に入れておきます。
  4. しまい方を決める:収納時の大きさ・重さと数から置き場所を決めます。段ボールは湿気を避け、使った後に資源ごみに出すか、布の型はたたんで繰り返し使うかで更新の計画も変わります。
  5. 仕様をそろえて見積もる:1区画の広さ・高さ・屋根・防炎・付属品(敷物・表札⁠)⁠を書いた同じ条件で、複数のメーカーから見積もりを取ります。