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GUIDE / FELT

工業用フェルトとは?羊毛・ニードル・耐熱フェルトの違いと、材質・厚さ・密度の選び方

機械・車両・工場設備に使うフェルトの種類、羊毛プレスと合繊ニードルの違い、防振・研磨・シール・耐熱用途の選び方を整理しました。メーカー公式の品番別仕様から、厚さ・密度・目付・使用温度と見積もりの確認点を解説します。

2026年10月27日更新

この記事の答え

工業用フェルトは、繊維を絡めて作る緩衝・防振・シール・研磨・断熱用の材料です。選ぶときは、先に「何を抑えるか」「何に触れるか」「どの温度で使うか」を決めます。そのうえで材質・品番・厚さ・密度を指定し、参考値と保証値を分けて発注します。

工業用フェルトとは

フェルトは、繊維を絡めて厚みを持たせた材料です。羊毛プレスフェルトは、羊毛の縮絨性を使い、水分と熱を与えて力を加えることで繊維を絡めます。ニードルフェルトは、針を使って繊維を絡めます。同じニードル加工でも、ポリエステルの緩衝材と、炭素繊維やガラス繊維の耐熱材では用途が異なります。

FANSの製法解説では、羊毛プレスの用途にパッキン類や研磨材を含めています。ただし、羊毛であればどの品番でも同じ用途に使えるわけではありません。比較表のSP30Bは、擦れ音・打音対策に使うシリーズの製品です。

フェルトのメーカー比較では、工業用途を明記した原反を品番ごとに比べています。手芸用だけのシート、完成した研磨ホイールや交換用フィルター、家具の脚に貼るシールは対象から外しました。

フェルトと不織布の違い

ニードルフェルトは、不織布の一種です。フェルトと不織布を、互いに重ならない材料として扱うことはできません。ドナカーボも、メーカーは炭素繊維をニードルパンチで絡めた不織布と説明しています。

不織布の比較は、包装・衛生・建築などにも使う汎用原反を製法から比べるページです。フェルトの比較は、機械部材の緩衝・摩擦音対策や、高温部の断熱など、工業用途を明記した材料に絞っています。

材質・製法による違い

  • 羊毛プレスフェルトは、羊毛を主原料に圧縮して作ります。ヒメロンSPシリーズは圧縮回復性を生かし、擦れ音・打音対策に使います。ただし染色品のため、他のヒメロンシリーズより耐光性が劣ります
  • 合繊ニードルフェルトは、合成繊維を針で絡めます。ヒメロンSNシリーズはポリエステル原着糸を使い、発泡ビーズの摩擦音対策に採用されています。一般SNと難燃SNは別の製品です
  • 炭素繊維フェルトは、炉内断熱などに使う材料です。ドナカーボには炭素質と黒鉛質があり、カーボロンは柔らかなソフトフェルトとして案内されています。炭素繊維には導電性があるため、電気部品との接触も確認します
  • ガラス繊維耐熱フェルトは、高温部の断熱・吸音・緩衝などに使います。SGM・HGMと耐熱グラスフェルト7740は、バインダーを使わずに針で絡めた材料です

出典:FANS ヒメロン、大阪ガスケミカル ドナカーボ、日本カーボン ソフトフェルト⁠。

厚さ・密度・目付を分けて読む

厚さはシートの厚み、密度は体積あたりの重さ、目付は面積あたりの重さです。同じ目付でも厚さと密度は変わります。

  • ドナカーボのS-221は、厚さ10mm、目付500g/m²、かさ密度50kg/m³です
  • ドナカーボのLFP-105は、厚さ5mm、目付500g/m²、かさ密度100kg/m³です
  • ヒメロンのSP30Bは、厚さの参考値が3.0mm、目付が720g/m²です。羊毛の混用率と密度は今回の規格書に記載がありません
  • ヒメロンのSN20Bは、厚さの参考値が2.0mm、目付が300g/m²です。目付から計算した密度を、メーカーの公表値として扱わないでください

ドナカーボの数値は代表値です。ヒメロンの規格書では、括弧内の数値は管理上でも参考値としています。必要な厚さの許容差と、測定時にかける圧力も、発注前に取り決めます。

出典:ドナカーボの品番別仕様、ヒメロンSP規格、ヒメロンSN規格⁠。

耐熱温度は、条件と一緒に確認する

  • 大和理研工業のSGMは、安全使用温度650℃以下です。ガス機器のシール材や、ボイラー・マフラー周りの断熱にも使います
  • 同社のHGMは、安全使用温度800℃以下です。特殊なグラスファイバーを使い、高温緩衝材としても案内しています
  • エーアンドエーマテリアルの7740のAタイプは、使用温度が参考値で800℃以下です。Bタイプは700℃以下で、メーカーは用途・使用条件によって変わるとしています
  • カーボロンGF-20の熱伝導率には1000℃などの測定温度が書かれています。この温度を、そのまま空気中での使用上限に読み替えてはいけません

難燃性と使用温度は分ける

燃え広がりにくさを示す難燃性と、使用中に性能を保つ温度は別です。一般SNに難燃SNの性能を当てはめず、使用温度が書かれていない品番はメーカーへ照会します。加熱される時間、接触する相手、空気中か炉内かを伝えて確認してください。

出典:SGM、HGM、耐熱グラスフェルト7740⁠。

研磨・給油・シール・防振で伝える条件

  • 研磨は、相手の材質、加工面、研磨剤、接触する速さと荷重を伝えます。羊毛プレスという分類だけで、仕上がりは決められません
  • 給油は、油の種類、相手部品、油を保持・供給する条件を伝えます。今回の掲載品には品番別の給油量が書かれていないため、同じ厚さの羊毛材で代用しないでください
  • シールは、防塵なのか、液体や気体の漏れを止めるのかを分けます。SGMにはガス機器のパッキン用途がありますが、完成したガスケットの耐圧仕様を示すものではありません
  • 防振・異音対策は、擦れる音、ぶつかる音、設備から伝わる振動を分けて伝えます。SPシリーズやSNシリーズの異音対策の説明を、設備全体の遮音性能として扱わないでください

同じ厚さで置き換える前に、接触部を想定した試験で圧縮・摩耗・脱落などを確かめます。フェルト原反ではなく完成した密封部品を選ぶときは、ガスケットの比較⁠で用途と仕様を確認してください。

見積もりと発注でそろえること

今回確認した資料には、掲載した品番別の販売価格がありません。材質・品番・厚さ・密度・幅・長さ・数量に加え、裁断や打ち抜きの有無を伝えて見積もりを取ります。

  • 品番固定の仕様と、その品番内で選べる規格範囲を分けます。SGMやHGMの厚さ・密度の範囲から、すべての組合せを注文できると判断しません
  • 参考値・代表値を受入検査の保証値に使うときは、許容差と測定方法をメーカーと取り決めます
  • 難燃認定は、被覆や貼り合わせを含む条件も確認します。被覆材を含む認定を、裸のフェルトへ読み替えないでください
  • 耐熱グラスフェルト7740は厚さによって密度が変わります。厚さだけを決めて、別の厚さの密度を図面へ写さないでください

資料の確認日は2026年10月27日です。品番別の仕様と出典は、メーカー比較表⁠にまとめています。

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