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GUIDE / KYOKUSHO-HAIKI

局所排気装置とは?フードの型式と制御風速・排気の出し方・届出と定期自主検査、ドラフトチャンバーから吸引アームまでの選び方

有害なガスや粉じんを発生源で吸い取る局所排気装置の仕組み、囲い式・外付け式・レシーバー式の違い、有機則の制御風速、排気を屋外へ出す決まり、30日前の届出、年1⁠回⁠の定期自主検査、ドラフトチャンバー・塗装ブース・吸引アーム・移動式の選び方を、法令と公的機関の資料、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月10日更新

この記事の答え

局所排気装置は、有害なガスや粉じんを出るその場でフードから吸い込み、ダクトとファンで外へ出す装置です。選ぶときは「囲えるか(フードの型式)」「法令の制御風速を出せるか」「排気をどこへ出すか⁠」⁠の3つを先に決めます。有機溶剤を扱うなら排気は屋外へ出し、付ける30日前までに労働基準監督署へ届け出て、1年以内ごとに1回の定期自主検査をします。

局所排気装置とは

有害物が出る所(発散源⁠)⁠のすぐ近くに、空気を吸い込む口(フード⁠)⁠を置きます。吸い込んだ空気はダクトを通り、ファン(排風機⁠)⁠で外へ出します。途中に、粉じんを取る除じん装置や、ガスを洗うスクラバーなどの空気清浄装置を入れることもあります。

部屋全体の空気を入れ替える全体換気と違い、作業者が吸い込む前に発生源で吸い取ります。有機溶剤中毒予防規則(有機則)第5条は、屋内で第1種・第2種の有機溶剤を使う作業に、発散源を密閉する設備・局所排気装置・プッシュプル型換気装置のどれかを付けるよう定めています(e-Gov法令検索 有機則)⁠。

プッシュプル型換気装置は、片側から空気を吹き出し、反対側で吸い込んで、作業の場所に一方向の流れをつくる装置で、法令では局所排気装置とは別に扱います。同じメーカーの同じシリーズでも、風量の少ない型はプッシュプル型換気装置に分類されることがあります(⁠オリエンタル技研工業 総合カタログ)。比較ページには、局所排気装置として案内されている製品だけを載せています。

フードの型式と制御風速

局所排気装置は、空気を吸い込む口(フード⁠)⁠の形で、法令の求める風の強さが変わります。

型式 形 例
囲い式 発生源をフードの中に入れて、開口面から吸う ドラフトチャンバー、塗装ブース
外付け式 発生源の外にフードを置き、まわりの空気ごと吸い寄せる 吸引アーム、作業台の横や下の吸込口
レシーバー⁠式 熱や回転で飛んでくる流れを、その先で受け止める 炉の上のフード、研削盤のカバー

フードに向かって流れる空気の速さのうち、法令が最低限として決めているものを「制御風速⁠」⁠と呼びます。有機溶剤中毒予防規則(有機則)第16条の値は次のとおりです(e-Gov法令検索 有機則)⁠。

フードの型式 制御風速
囲い式 0.4m/s
外付け式・側方吸引型 0.5m/s
外付け式・下方吸引型 0.5m/s
外付け式・上方吸引型 1.0m/s

囲い式はフードの開口面でいちばん遅い所の風速、外付け式は吸おうとする範囲でフードからいちばん遠い作業位置の風速で見ます。囲い式のほうが低い値で済むのは、発生源を囲っているからです。外付け式は、有機則第14条でも、発生源にできるだけ近い位置に付けるよう求められています。

粉じんは、粉じん障害防止規則(粉じん則)にもとづく告示で決まり、囲い式で0.7m/s以上です。特定化学物質は、特定化学物質障害予防規則(特化則)にもとづく告示で、物質ごとに制御風速かフードの外側の濃度(抑制濃度⁠)⁠が決まっています(和歌山産業保健総合支援センター「局所排気装置の制御風速とは Q&A」)⁠。

排気をどこへ出すか

有機則第15条の2は、局所排気装置の排気口を直接外気に向けて開くよう定めています。空気清浄装置の付いていない屋内の局所排気装置は、排気口を屋根から1.5m以上⁠の高さにします。つまり、有機溶剤を吸って、フィルター⁠を通して部屋に戻すだけの機械は、有機則の局所排気装置にはなりません。

粉じん則第11条も、排出口を屋外に設けるよう定めています。ただし、移動式の局所排気装置などで、ろ過除じん方式か電気除じん方式の除じん装置を付けたものは除かれます。特化則第7条も、排気口を屋外に設けるとしています。

付ける前の届出

有機則・特化則・粉じん則などで付けることが決まっている局所排気装置は、付ける前に計画を労働基準監督署へ届け出ます。労働安全衛生法第88条は、工事を始める日の30日前までに出すよう定めていて、有機則の局所排気装置は移動式のものを除いて届出の対象です(労働安全衛生規則 第86条・別表第七⁠)⁠。届出には「局所排気装置摘要書(様式第二十五号⁠)」⁠を付けます。

フードを増やす、開口を広げるといった改造も、主要な部分の変更なので、同じように届け出ます。ファンをそのままにしてフードを足すと、1つあたりの風速が落ちて制御風速に届かなくなります(和歌山産業保健総合支援センター)⁠。

付けたあとの点検と測定

  • 定期自主検査:1年以内ごとに1回。フード・ダクト・ファンの傷みや腐食、ダクトにたまった汚れ、ベルトの具合、吸気と排気の能力を見ます(有機則第20条、粉じん則第17条、特化則第30条)
  • 記録:検査の日付・方法・場所・結果などを3年間しまっておきます(有機則第21条、粉じん則第18条)
  • 初めて使うときと、分解して直したときは点検をします(粉じん則第19条)
  • 作業環境測定:有機溶剤を扱う屋内の作業場は、6月以内ごとに1回、濃度を測ります(有機則第28条)

風速は風速計で測ります。囲い式は開口面を一辺30〜50cmほどのマスに分けて、各マスの中央で測ります。外付け式は、作業者とフードの間で有害物が飛んでいるいちばん遠い位置で、2点以上測ります。作業中ににおいがする、まわりに粉がたまる、というときは風速が足りないことが多く、原因の多くはダクトやフィルター⁠の詰まりです(和歌山産業保健総合支援センター)⁠。

溶接ヒュームの場合

金属アーク溶接の溶接ヒュームは特化則の対象ですが、屋内の作業場では全体換気装置による換気か、それと同じ以上の対策を求めていて、局所排気装置を付けることまでは求めていません(特化則第38条の21⁠)⁠。そのかわり、作業のやり方を変えるときに溶接ヒュームの濃度を測り、結果に応じて風量を増やすことや、有効な呼吸用保護具を使わせることを求めています。吸引アームで溶接ヒュームを吸うのは、この濃度を下げるための手段の一つです。

製品の4つの型

型 吸い方 このページの製品
ドラフトチャンバー・卓上フード 実験台を箱で囲い、前の窓の開口から吸う(囲い式) 排気4〜24m³/min、風速0.4〜0.5m/s
塗装・作業ブース 前が開いた箱の奥の面から吸い、ミストを取って出す 排気25〜80m³/min、風速0.4〜0.65m/s
吸引アーム アームの先のフードを発生源に寄せて吸う(外付け式) アームだけの型と、ファン・フィルター付きの本体の型
移動式の排気ユニット ファンとフィルターを1台⁠にまとめ、作業する場所へ動かす 粉じん用の作業台、HEPAフィルター付きのユニット

ドラフトチャンバーは、排気ファンが付かない製品が多くあります。オリエンタル技研工業⁠のLOG-ST型とCrystallineは排気ファンが付属せず、ヤマト科学⁠のGF1M型は排風機を本体の上に載せられないと書いています。ダクトとファンの費用も、見積もりに入れて比べます。

吸引アームには、今あるダクトや集じん機につなぐアームだけの型(⁠ヤマダコーポレーションのEX-3000)と、ファンとフィルター⁠を車輪付きの本体にまとめた型(⁠アマノのFD-10など⁠)⁠があります。本体のフィルター⁠でこして室内へ戻す型は、有機溶剤の局所排気装置には使えません。

選び方

  1. 何を吸うかを決める:有機溶剤のガス、塗料のミスト、粉じん、溶接ヒュームで、使う規則と制御風速が変わる。
  2. 囲えるかを決める:囲える作業はドラフトチャンバー⁠やブース(囲い式⁠)⁠。囲えない作業は、フードを発生源のすぐ近くまで寄せられるアーム(外付け式⁠)⁠。
  3. 風量を見る:フードの開口の面積と制御風速から、足りる排気風量の製品を選ぶ。窓を開ける高さで開口の面積が変わる。
  4. 排気の出し先を決める:有機溶剤は屋外へ。屋根から1.5m以上⁠の高さに出す決まりもある(空気清浄装置が無い場合⁠)⁠。
  5. 届出と点検を段取りする:付ける30日前までに届出、使い始めたら1年以内ごとに定期自主検査。届出の書類づくりから請け負うメーカーもある。
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