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GUIDE / DASSHU-SOUCHI

脱臭装置とは?吸着・燃焼・生物・薬液洗浄・オゾンの違いと、悪臭防止法の規制基準・選び方・手入れ

工場・食品工場・排水処理・厨房などで出るにおいを取る業務用の脱臭装置の仕組み、活性炭吸着・燃焼・生物脱臭・薬液洗浄・オゾンや光触媒やプラズマの違い、悪臭防止法の規制地域と3つの規制基準、改善勧告と改善命令、方式の選び方と手入れを、法令と環境省の資料、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月10日更新

この記事の答え

脱臭装置は、工場や店で出るにおいの混じった空気を集め、においの成分を取り除いたり分解したりしてから外へ出す装置です。方式は、活性炭に付けて取る吸着、燃やして分解する燃焼、微生物に分解させる生物脱臭、薬液や水で洗う薬液洗浄、オゾン・光触媒・プラズマで分解する酸化の5つに分かれます。選ぶときは「どんなにおいか(成分)」「濃さ」「風量」「排ガスの温度や湿気・油」「置く場所⁠」⁠の5つを先に調べ、運転費と手入れまで含めて比べます。

脱臭装置とは

工場・食品工場・下水や排水の処理施設・ごみ処理・畜産・飲食店の厨房などでは、作業や設備からにおいが出ます。脱臭装置は、そのにおいをフードやダクトで集め、においの成分を取ってから排気筒などで外へ出す装置です。部屋に置いて、室内の空気から直接においを取る装置もあります。

環境省の「防脱臭技術の適用に関する手引き」(平成15年3月)は、脱臭の方法を洗浄法・吸着法・燃焼法・生物脱臭法・オゾン脱臭法・光触媒脱臭法・プラズマ脱臭法などに分け、それぞれの原理・特徴・向く業種・注意点を表にまとめています(環境省 防脱臭技術の適用に関する手引き)。比較ページでは、メーカーが型式やシリーズとして案内している装置を、この分け方に近い5つの方式で並べています。

消臭剤を噴霧して感じ方をやわらげる方法や、空気で薄めて広げる方法も手引きにはありますが、においの成分そのものを取る装置ではないので、比較ページには載せていません。

悪臭防止法で決まっていること

悪臭防止法は、工場その他の事業場で事業活動にともなって出るにおいを規制する法律です(e-Gov法令検索 悪臭防止法)⁠。

  • 規制地域:都道府県知事(市の区域は市長)が、住民の生活環境を守るために悪臭を防ぐ必要がある地域を指定します(第3条)
  • 何で測るか:アンモニア・メチルメルカプタンなど政令で決めた「特定悪臭物質」(現在22物質⁠)⁠の濃度か、人の鼻でにおいを感じなくなるまで薄めた倍数をもとにした「臭気指数⁠」⁠で決めます。どちらを使うかは自治体ごとに違います(環境省 悪臭防止法の概要)
  • どこで測るか:規制基準は、敷地の境界線、煙突などの気体排出口、排出水の3つについて決めます(第4条)
  • 守れないとき:規制基準に合わず、住民の生活環境が損なわれていると認めるとき、市町村長は設備の改良などを勧告でき、従わなければ命令できます(第8条⁠)⁠。命令に違反すると、一年以下の拘禁刑か百万円以下の罰金です(第24条)
  • 事故のとき:事故で規制基準に合わないおそれが出たら、すぐに応急の措置をとり、市町村長に通報します(第10条)

自分の事業場が規制地域に入っているか、特定悪臭物質と臭気指数のどちらで、いくつの基準になっているかは、事業場のある市区町村の環境部局に聞くのが早道です。脱臭装置のメーカーに見積もりを頼むときも、この基準を目標の値として伝えます。

5つ⁠の方式の違い

方式 しくみ 向くにおい 気をつけること
吸着(活性炭) 活性炭などの表面に、においの成分を付けて取る 薄いにおい。ほかの方式の仕上げにも使う 炭がいっぱいになったら交換か再生する。濃いにおいには向かない
燃焼(直接・触媒・蓄熱) 炉で温めて、においの成分を燃やして分解する 中〜高濃度の溶剤臭や腐敗臭 燃料と電気の費用がかかる。触媒は、触媒をだめにする成分を前で取る
生物脱臭 担体や土に住む微生物に、においの成分を分解させる 下水・し尿・食品工場などの腐敗臭 微生物が働ける温度と水分を保つ。分解されにくい成分には向かない
薬液洗浄 酸・アルカリ・酸化剤の薬液や水と触れさせて、成分を液に移す 水に溶けやすいにおい(⁠アンモニア⁠・硫化水素など) 薬液の補充とpHの管理、出てくる排水の処理がいる
酸化(オゾン・光触媒・プラズマ) オゾンや放電・光でできる物質の力で、においの成分を分解する 比較的薄いにおい。厨房排気や部屋の空気 湿気や油、ほこりを前で取る。オゾンを人のいる所に漏らさない

環境省の手引きによると、直接燃焼法はおよそ650〜800℃、触媒燃焼法はふつう150〜350℃、蓄熱燃焼法はおよそ800〜1000℃で処理します。生物脱臭法は、微生物が働けるよう、充填担体の水分を保つために散水します(環境省 防脱臭技術の適用に関する手引き)⁠。

1つ⁠の方式で目標の値に届かないときは、方式を組み合わせます。手引きは、薬液洗浄の後ろに活性炭の吸着塔を置いて仕上げる例を紹介しています。

選び方の順番

  1. 発生源を調べる:どの工程・設備から、いつ、どのくらいにおいが出ているかを調べます。フードやダクトでにおいを漏らさず集めることが先で、集められていない空気は脱臭装置を付けても取れません
  2. においの性質をつかむ:主な成分(⁠アンモニア⁠・硫化水素・溶剤など⁠)⁠、濃さ、風量、排ガスの温度、湿気・油・ほこりの量を調べます。メーカーに測ってもらえることもあります
  3. 目標の値を決める:悪臭防止法の規制基準と、まわりの住宅との距離から、どこまで下げるかを決めます
  4. 方式を選ぶ:上の表で、成分と濃さに合う方式を選びます。風量が大きく薄いにおいは吸着や生物脱臭、濃い溶剤臭は燃焼、水に溶けるにおいは薬液洗浄、厨房や部屋の空気は酸化の装置が多く使われます
  5. 費用を比べる:本体と工事の費用(⁠イニシャルコスト)⁠に加えて、活性炭や薬液の交換・補充、燃料と電気、手入れの費用(⁠ランニングコスト)を、何年かの合計で比べます。置く場所の広さ・重さと、電気・水・排水のつなぎ先も確かめます

付けたあとの手入れ

脱臭装置は、手入れをしないと性能が落ち、苦情につながります。環境省の手引きは、維持管理の章で、方式ごとの日常・定期の点検の項目を表にしています(環境省 防脱臭技術の適用に関する手引き)⁠。

  • 吸着:差圧を見て、活性炭を交換する時期を決める
  • 燃焼:炉の温度、触媒の状態、蓄熱式は切り替えのダンパーを点検する
  • 生物脱臭:散水の量、担体の目詰まり、循環水のpHを見る
  • 薬液洗浄:薬液の量・pH・薬注ポンプ、循環ポンプが止まっていないかを毎日見る。ポンプが止まると、においが取れないまま出ていく
  • 酸化:オゾンの漏れ、放電部やランプの汚れ、触媒の交換時期を見る

においの強さは、臭気指数や特定悪臭物質の濃度を、半年に1回から年に1回など決めた間隔で測って記録しておくと、性能が落ちたことに早く気づけます。

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