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GUIDE / AIR-FILTER

エアフィルタとは?プレ・中性能・HEPA・ケミカルの違い、捕集効率の測り方とJIS B 9908、圧力損失と交換の時期、選び方

建物・工場・クリーンルームの空調に入れるエアフィルタの区分(プレ・中性能・HEPA/ULPA・ケミカル⁠)⁠、捕集効率の試験方法の違いとJIS B 9908の改正、初期・最終の圧力損失と交換の時期、建築物衛生法の浮遊粉じんの基準、選び方を、規格と法令の公的資料とメーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月11日更新

この記事の答え

エアフィルタは、空調機や換気の入口に入れて、空気の中のほこり・微粒子・ガスを取る交換式のフィルタです。粗いほこりはプレ、細かい粒子は中性能、ほぼ全部の微粒子はHEPA・ULPA、ガスはケミカルで取り、空調機では粗いものから順に重ねます。選ぶときは「何をどこまで取るか(区分と捕集効率)」「圧力損失」「入る寸法と風量⁠」⁠の3つを先に決め、効率の数字は同じ試験方法のものどうしで比べます。

エアフィルタとは

空調機(⁠エアハンドリングユニット)や換気の給気口、クリーンルームの天井の吹出口に入れて、通る空気の中の粒子やガスを取ります。目が詰まってきたら、フィルタごとか、ろ材だけを取り替えます。

このページで扱うのは、建物・工場・クリーンルームの空調に入れる交換式のフィルタです。工場の圧縮空気(空圧機器⁠)⁠に入れるラインフィルタ・ドレンフィルタは、名前は同じ「⁠エアフィルタ」でも、配管の中の高い圧力で水や油を取るもので、比べる数字(最高使用圧力・接続口径など⁠)⁠も違います。こちらは別の比較で扱います。

4つの区分

区分 取るもの 効率の示し方
プレ 粗いほこり・虫・綿ぼこり 質量法
中性能 プレで取れない細かい粒子 比色法・計数法など
HEPA ほぼ全部の微粒子 計数法
ケミカル ガス・におい 取るガスごとの除去率
  • プレ(粗じん用):パネル形・ロール・巻取形。このページでは日本スピンドル製造の30/30形(質量法90〜92%)
  • 中性能:袋形・V形・ミニプリーツ・セパレータ形。このページの4製品は、どれも610×610mmで定格56m³/minの型式がある
  • HEPA・ULPA:セパレータ形・ミニプリーツ形。このページのHEPAは0.3µmで99.97%以上か99.99%以上
  • ケミカル:プリーツ形・ハニカム形。ニッタのGIGAWAVE、ニチアスのケミカルガード TOMBO

空調機の中では、空気の入口からプレ→中性能→HEPAの順に重ねます。前のフィルタが大きいほこりを先に取るので、後ろの目の細かいフィルタが詰まりにくくなります。ケミカルフィルタは、粒子用のフィルタでは取れないガスを取るために、粒子用と組み合わせて使います。ニッタはケミカルフィルタの使い道に、クリーンルームのシステム天井のULPAの上流側を挙げています(⁠ニッタ ケミカルフィルタ カタログ)⁠。

捕集効率の測り方とJIS B 9908

カタログの「効率90%」は、試験方法が違えば同じ意味になりません。日本無機のビル空調用カタログは、HEPAを計数法、中高性能を計数法、粗じんを質量法で測り、それぞれ旧JIS B 9908の形式1・形式2・形式3によるとしています(⁠日本無機 ビル空調用カタログ)⁠。

  • 質量法:試験用の粉じんを流し、フィルタが取った重さの割合で示します。粗じん用のフィルタに使います
  • 比色法:フィルタの前後の空気をろ紙に通し、汚れ具合(色の濃さ⁠)⁠を比べます
  • 計数法:決めた大きさの粒子(0.3µm・0.4µm・0.7µmなど⁠)⁠を数え、前後の数の割合で示します。HEPAはこの方法で示します

JIS B 9908は2019年2月20日に、ISO 16890をもとにした部ごとの規格に分けて作り直され、JIS B 9908:2011は廃止されました。規格群は、ISO 16890の4部と、JIS独自の換気用電気集じん器(第5部⁠)⁠と超高性能フィルタユニット(第6部⁠)⁠の計6部です。第1部では、0.3〜1µmの粒子に対する捕集率をJ‑ePM1、0.3〜2.5µmをJ‑ePM2.5、0.3〜10µmをJ‑ePM10と表します(日本規格協会 JIS B 9908-1:2019 プレビュー)⁠。

今もカタログには「JIS B 9908形式2」のように旧規格の書き方が残っています。新しい表し方と並んでいるときは、どちらの方法の値かを確かめて、同じ方法どうしで比べます。

HEPAとULPA

HEPAは、0.3µmの粒子を99.97%以上取るフィルタです。このページのHEPAは、日本無機のATMと日本バイリーンのVNタイプが0.3µmで99.97%以上、ニッタのマイクロエミレント EHSが99.99%以上、ケンブリッジのアブソリュート・フィルタは99.97%以上と99.99%以上を選べます。

ULPAは、HEPAよりさらに細かい粒子まで取るフィルタで、日本バイリーンのULPA(VUタイプ⁠)⁠は0.15µmで99.9995%です(⁠日本バイリーン HEPA・ULPAフィルタ カタログ)⁠。どちらを使うかは、クリーンルームに求める清浄度で決めます。

圧力損失と交換の時期

圧力損失は、フィルタを空気が通るときの抵抗です。新品のときの値を初期圧力損失、ここまで上がったら替えるという値を最終圧力損失と呼びます。

製品 初期 最終
日本無機 ATM(HEPA) 245Pa 490Pa
日本無機 EML(中性能) 83Pa 294Pa

圧力損失が上がると、ファンが同じ風量を送れなくなり、電気代も上がります。空調機のフィルタの前後に差圧計を付けておくと、詰まり具合を見ながら替え時を決められます。初期圧力損失の低いフィルタは、ファンの負担を減らせます。同じ610×610mmのHEPAでも、ニッタのEHSは初期60Pa(風速0.5m/s時)、日本無機のATMと日本バイリーンのVNタイプは初期245Paです。

ビルの空調と建築物衛生法

建築物における衛生的環境の確保に関する法律(建築物衛生法⁠)⁠の対象になる建物で空気調和設備を使う場合、施行令第2条は、浮遊粉じんの量を空気1m³につき0.15mg以下に保つよう定めています(e-Gov法令検索 建築物衛生法施行令、仙台市 特定建築物の維持管理基準)⁠。フィルタの種類までは決まっていないので、外気の汚れと建物の使い方に合わせてプレと中性能を組み、空気環境の測定の結果で見直します。

選び方

  1. 何をどこまで取るかを決める:部屋のほこりを減らすだけならプレと中性能、クリーンルームならHEPAかULPAを最後に、ガスや分子状の汚れならケミカルを足します
  2. 入る寸法と風量を確かめる:610×610mmの角形が多く、奥行と定格風量で型式が分かれます。日本スピンドル製造の30/30形のように、呼び寸法610×610で実寸594×594mmの型式もあります。奥行の浅い空調機には、奥行45〜65mmの薄い型式があります
  3. 効率は同じ試験方法どうしで比べる:質量法・比色法・計数法・光散乱積算法の数字は並べて比べられません
  4. 圧力損失を見る:初期の値と最終の値を聞き、ファンに余力があるかを確かめます。圧力損失の高いフィルタに替えると、風量が落ちます
  5. 替えるときのごみを考える:日本スピンドル製造のエコリターンEXはろ材パネルだけ、ケンブリッジのエコ・ウィングはV形のカートリッジパックだけを替える型式です
  6. 値段は見積もりを取る:このページで値段を公開しているのは、日本エアーテックの交換用HEPA(⁠55,550円・税込・公式通販)だけです。ほかは型式と枚数を伝えて見積もりを取ります

エアフィルタのメーカー比較では、8社12製品を区分ごとに、公式資料の捕集効率・初期圧力損失・定格風量・寸法で並べています。

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