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GUIDE / INDUSTRIAL-TRANSMISSION

トランスミッションとは?農業機械・商用車の変速機の種類と選び方

農業機械・芝管理機・作業車・商用車に組み込むトランスミッションの仕組みを解説。HST・トランスアクスル・有段AT・動力分割式CVTの違い、入力回転数・トルク・変速比・質量・潤滑条件の選び方を、メーカー公式資料で整理しました。

2026年10月28日更新

この記事の答え

トランスミッションは、原動機の力を、走行に合わせた回転数とトルクに変えて伝える変速機です。先に「使う車両と速度域」「原動機から入る回転数とトルク」「車軸まで一体にするか」を決めます。入力と出力のトルク、変速比と車軸側の終減速比を分けると、仕様の読み違いを防げます。

トランスミッションとは

農業機械や作業車は、ゆっくり作業する場面と、場所を移動する場面で必要な速度が変わります。その速度や負荷に合わせて、原動機の力を回転数とトルクに変えて伝えるのがトランスミッションです。ユニバンスの基礎講座では、手動変速機のMT、自動変速機のAT、無段変速機のCVTなどに分けています。

比較ページでは、車両へ組み込む変速機本体を型式ごとに載せています。完成車、修理サービス、歯車やクラッチだけの部品は含めません。比率を固定して回転を落とす製品は、減速機の比較で扱います。

変速の仕組みと車軸との組み方

  • 油圧無段変速機のHSTは、ポンプから送る油でモータを回して変速します。ダンフォスのBDUは、可変容量ポンプと固定容量モータを組み合わせる型です。ポンプの斜板を反対へ傾けると油の流れが反転し、出力の回転方向も反転します
  • HST内蔵トランスアクスルは、無段変速機と車軸側の駆動機構を一体にした型です。神崎のK72・K664は乗用芝刈機向けです。業務で使う芝管理機へ組み込む部材として扱います
  • 有段ATは、歯車の段を切り替えて変速します。アイシンのA466は小型商用トラック向け、アリソンの3000 HS・4000 HSはPTOを使わない路上走行車向けです。荷役車両用のZF ERGOPOWERは、全自動・半自動の変速と電子制御インチングを備えています
  • 動力分割式無段変速機は、動力を分けて前後進の速度を連続的に変えます。ZF cPOWERのCP190は油圧で発進する型です。ベルト式CVTと同じ構造ではありません

HSTとATは変速の仕組みを示す言葉で、トランスアクスルは車軸まで一体にした構造を示します。HSTとトランスアクスルが互いに別の変速原理という意味ではありません。

入力回転数は定格と最高を分ける

  • 神崎のK72・K664は、最高入力回転数が3,400min⁻¹です
  • ダンフォスのBDU-10Sは、定格入力回転数が3,000min⁻¹です。BDU-21Hは3,600min⁻¹です
  • アリソンの3000 HSは、全負荷調速回転数の範囲が1,900〜2,800min⁻¹です。4000 HSは1,700〜2,300min⁻¹です

これらは同じ意味の上限値ではありません。ダンフォスの技術資料は、定格回転数を全出力で使う場合の推奨上限、最大回転数を許容する最高値として区別しています。最大値付近の運転には、出力と運転時間の制約があります。原動機の常用回転数だけでなく、下り坂で回される条件もメーカーへ伝えます。

トルクはどの軸の値かを見る

  • 神崎のK72は、定格出力トルクが549N・mです
  • 神崎のK664は、終減速比37.22:1の仕様で定格出力トルク420N・mです。22.19:1の仕様では250N・mです
  • ダンフォスのBDU-10Sは、理論最大出力トルクが23.4N・mです。BDU-21Hは72.1N・mです。車軸の減速機を含む値ではありません
  • アリソンの3000 HSは、トルク管理ありの入力容量が最大1,695N・mです。4000 HSは最大2,508N・mです。最大値の適用は3〜6速です

入力容量、定格出力、理論最大出力を一列の数値として順位付けしません。原動機のピークトルクと常用負荷、車軸側の減速、タイヤとブレーキの条件を分けて照合します。

変速比と終減速比を混ぜない

  • アリソンの3000 HSは、前進比が3.46:1〜0.65:1です。4000 HSは3.51:1〜0.64:1です。資料のギヤ比はトルクコンバータによる増幅を含みません
  • 神崎のK72は、車軸側の減速比が23.37:1です。この値をHSTの無段変速範囲としては扱いません
  • 神崎のK664は、減速比で定格出力トルクが変わります。型式名だけで同じ仕様と判断せず、見積書にも選んだ比率を書きます

質量・取付け・潤滑条件

  • 神崎のK72は30kg、K664は19.8kgです。K664は油圧フロントアクスルのKXHシリーズと組み合わせて油圧4WDを構成できます
  • アリソンの3000 HSは基本型の乾燥質量が243kg、4000 HSは377kgです。PTOやリターダの有無で質量と搭載寸法が変わります
  • 神崎のK72の標準油はSAE 10W-30で、外付けタンクを使います。冷却ファンは入力軸へ追加する仕様です
  • ダンフォスは異なる油種を混合せず、油温と粘度の条件を同時に満たすよう求めています。HSTとは独立した停止・保持用ブレーキも設計します

見積もりを取る前にまとめる条件

  • 車両の用途と、作業中・移動中の速度域を決める
  • 原動機の入力回転数・トルクと、その負荷が続く時間をまとめる
  • 出力側に必要なトルク、変速比、終減速比を分けて書く
  • 取付面・入力軸・出力軸・車軸・ブレーキ・冷却・油の条件を揃える
  • PTOを使うか決める。3000 HS・4000 HSはPTO不要の路上走行車向けなので、作業機へ動力を取り出す用途では別の仕様を照会する
  • 海外向け型式は日本仕様への供給可否を確認する。A466は北米のクラス2〜5トラック向けとして案内されています

掲載資料に公開価格はありません。取付けや制御を含めた仕様を揃えてから、メーカーへ見積もりを依頼します。

出典と確認日

2026年10月28日に次の公式資料を確認しました。用途と入力・出力条件は型式ごとに異なるため、採用時には車両の仕様を伝えて確認してください。

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