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GUIDE / SUIBUNKEI

水分計とは?加熱乾燥式・カールフィッシャー式・電気式・近赤外線式の違いと、試料量・温度・検量線の考え方

工場・品質管理・研究で使う水分計の4つの方式(加熱乾燥式・カールフィッシャー式・電気式・近赤外線式⁠)⁠の仕組みと向き不向き、加熱乾燥式の試料量と温度、電量法と容量法の使い分け、木材・コンクリート・穀物・土の測り方、近赤外線式の検量線を、各メーカーの公式資料と公的資料をもとにまとめました。

2026年10月11日更新

この記事の答え

水分計は、物に含まれる水の量を測って、%などの数字で示す計器です。選ぶときは「何を測るか」「水はどれくらい入っているか」「試験室で測るか、その場やラインで測るか⁠」⁠の3つを先に決めます。粉や食品を試験室で測るなら加熱乾燥式、微量の水ならカールフィッシャー式、木材・コンクリート・穀物・土をその場で測るなら電気式、ラインを止めずに測るなら近赤外線式です。

水分計とは

水分計は、物に含まれる水の割合を測る計器です。比較ページでは、メーカーが自社で作るか自社グループの製品として売り、公式の資料で仕様が確かめられる水分計を並べています。家庭用の肌水分計、空気の湿り気を測る湿度計・露点計、ガス中の水分計は入れていません。

方式は大きく4つです。

  • 加熱乾燥式:試料を温めて、減った重さから水分を出す
  • カールフィッシャー式:水と試薬の反応から水分を出す
  • 電気式:水を含むと電気の通り方が変わることを使う
  • 近赤外線式:水が吸う光を当てて、はね返った光から水分を出す

加熱乾燥式

はかりの皿に試料を載せ、ハロゲンや赤外線のヒーターで温めます。水が抜けて軽くなった分から、水分を%で出します。試薬がいらず、粉・粒・ペースト・樹脂ペレットなどを広く測れます。

試料の量

試料を多く載せるほど、ばらつきは小さくなります。

  • 島津製作所 MOC63u の繰り返し性:2gで0.15%、5gで0.05%、10gで0.02%
  • メトラー・トレド HC103 の繰り返し性:2gで0.10%、10gで0.015%
  • 少ししか取れない試料なら、MOC63u は0.02gから測れる
  • 多く載せたいなら、ケット科学研究所 FD-660 は1〜80g、ザルトリウス MA160-1 は200gまで載る

加熱の温度

上げられる温度は機種で違います。

  • メトラー・トレド HC103、オーハウス MB120:230℃まで
  • 島津製作所 MOC63u、エー・アンド・デイ MX-53A、ザルトリウス MA160-1:200℃まで
  • ケット科学研究所 FD-660:180℃まで

同じ試料でも、温度と止める条件が変わると結果が変わります。試料ごとに温度と時間を決めて、毎回同じ条件で測ります。

低い水分は苦手

加熱乾燥式は、減った重さで測るので、水がとても少ない試料には向きません。メトラー・トレドの HC103 は、水分率1.0%を超える試料を推奨としています。それより少ない水はカールフィッシャー式で測ります。

カールフィッシャー式

水がヨウ素・二酸化硫黄と決まった割合で反応することを使って、水分を測ります。日本薬局方の水分測定法には、ヨウ素の出し方が違う2つの方法があります(PMDA 日本薬局方 2.48)⁠。

容量法と電量法

  • 容量法:ヨウ素を溶かした試液を滴下し、使った量から水分を出す。水分5〜30mgを含む量の試料をとる
  • 電量法:電気分解でヨウ素を作り、かかった電気量から水分を出す。水分0.2〜5mgを含む量の試料をとる。水1mgは10.71Cにあたる

水が少ないなら電量法、多いなら容量法です。比較ページの4製品はすべて電量法で測れます。

  • 京都電子工業 MKC-710S:1μg〜300mg
  • 日東精工アナリテック CA-310:10μgから。検出部を替えると容量法にも使える
  • HIRANUMA MOICO-A19:5μg〜300mg。増設ユニットで容量法と同時に回せる
  • メトロームジャパン Ecoクーロメーター:10µg〜200mg

溶けない試料

固体などで溶けない試料は、試料を温めて出てきた水だけをセルへ送る気化装置を足して測ります。日東精工アナリテックの CA-310 は気化装置をつなぐと固体を測れ、メトロームの Ecoクーロメーターは KFサーモプレップを足して測ります。

電気式

水を含むと、物の電気の通り方や静電容量が変わります。それを使って、当てる・差す・入れるだけでその場ですぐ測ります。測る物ごとに目盛(換算の表⁠)⁠があり、物に合った目盛を選んで使います。

木材

  • 当てるだけの高周波容量式と、針を差す電気抵抗式がある
  • ケット科学研究所 HM-540 は当てるだけで2〜150%を測り、厚さ10〜40mmの補正ができる
  • 高周波式の値は木材の比重に大きく左右されるので、樹種の比重を合わせる(三重県林業研究所)
  • 木材の含水率は乾量基準で求める。15%は製材のJASのD15・SD15の区分にあたる
  • 正確な値は全乾法で、試験片を103±2℃で乾かして求める

コンクリート・モルタル

  • ケット科学研究所 HI-540:コンクリート0〜8%、モルタル0〜15%を±0.5%で測る
  • サンコウ電子研究所 MR-200Ⅱ:プローブを替えて、木材・紙・段ボール・モルタルを測り分ける

穀物

  • 玄米の検査では、水分は15.0%が上限(農林水産省 米の検査規格)
  • 静岡製機 CD-6:手で持てる大きさで、玄米・もみ・麦・大豆などを測る
  • 静岡製機 CTR-500F:一粒ずつ測って、水分のばらつきまで見る卓上機

土

  • 藤原製作所 TDR-341F:20cmのセンサーを土に差して約3秒で測り、60分おきの記録を120日続けられる

近赤外線式

水が吸う波長の近赤外線を当て、はね返った光の弱まり方から水分を出します。触れずに測れるので、ラインを流れる物も止めずに測れます。

  • チノー IRMA1100:ラインの上に付け、200〜400mm離して測る。出力の更新は最速28ms
  • ケット科学研究所 KJT-130:手で持って試料から150mmほど離し、約2秒で測る

測る物ごとに、加熱乾燥式などで測った値と合わせた検量線を先に作ります。物が変わったら、検量線も作り直します。

選ぶ順番

  1. 測る物を決める:粉・食品・樹脂、油・薬品、木材・コンクリート、穀物、土
  2. 水の量を見る:数%以上なら加熱乾燥式、ごく少ないならカールフィッシャー式(電量法)
  3. どこで測るかを決める:試験室か、その場か、ラインの上か
  4. 試料の量と時間を見る:加熱乾燥式は分単位、電気式・近赤外線式は秒単位
  5. 記録の出し方を合わせる:USB・RS-232C・LAN、ラインなら4〜20mA

値段を出しているのは、比較ページの18製品中14製品です。加熱乾燥式は6製品とも値段が出ていて、エー・アンド・デイの MX-53A とケット科学研究所の FD-660 が198,000円(税抜)です。カールフィッシャー式は4製品中3製品が値段を出していないので、測る物と水の量を伝えて見積もりを取ります。

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