この記事の答え
耐震シェルターは、家全体の耐震改修ができないときに、1階の寝室やベッドの周りだけを強くして命を守る備えです。寝ている場所に合わせて部屋型・ベッド型・テーブル型から選び、置くだけの型(工期は半日〜2日)にするか、床下に基礎を打つ工事型(7〜10日ほど)にするかを決め、住んでいる自治体の補助の対象製品から選んで、契約の前に申請します。
耐震シェルターの役割
大きな地震で古い木造住宅が倒れると、1階にいる人が下敷きになるおそれがあります。家を丸ごと耐震改修できれば安心ですが、費用や工事の負担で踏み出せない家も少なくありません。耐震シェルターは、そうした家の1階に置いて、家が倒れても中の空間を残すための箱やフレームです。
静岡県は、耐震シェルターを「金属や木材でできた箱状の構造物」、防災ベッドを「金属や木材のフレームにベッドが組み込まれたもの」とし、どちらも住宅内の地震時の緊急避難場所として、国・県・市町が協調して設置の費用を助成しています(静岡県)。東京都は、安価で信頼できる耐震改修の工法と装置を選んで紹介していて、装置部門を部屋型・ベッド型・テーブル型に分けています(東京都)。
このため比較ページでは、部屋型のシェルターに加えて、防災ベッドとテーブル型も同じ表で比べています。
| 形 |
守る場所 |
工事 |
価格の目安(公式) |
| 置く部屋型 |
寝室などの1部屋 |
床の上で組み立てる。半日〜2日 |
45万〜110万円ほど |
| 工事する部屋型 |
1部屋をまるごと作り直す |
床下に基礎を打ち、鉄骨を組む。7〜10日ほど |
145万円〜 |
| 防災ベッド |
ベッドの上 |
組み立てて置く |
40万〜84万円ほど |
| テーブル型 |
テーブルの下 |
置いて床に留める |
27万〜38.5万円(税別) |
価格は、税込・税別や、運搬・組立の費用が入っているかがメーカーごとに違います。比べるときは見積もりで総額を出してもらいます。
耐震改修とどちらを選ぶか
家全体の耐震改修ができるなら、そちらが先です。静岡県は令和8年度から、木造住宅の耐震化のプロジェクトを「TOUKAI-0+」と改め、耐震化を優先しながら、踏み出せない世帯には最低限命を守る減災化の対策として、耐震シェルター・防災ベッドなどの選択肢を示すとしています(静岡県)。
耐震シェルターは、家が倒れるのを防ぐものではありません。倒れたときに、中にいる人の空間を残すものです。日中に過ごす部屋や、2階にいる家族は守れないことも頭に入れて、寝る場所をシェルターの中に移す、と考えます。
置くだけの型と、工事をする型
部屋型には、床の上で組み立てる型と、床下から作り直す型があります。
- 置く部屋型:工場で作ったパネルや軸組を、部屋の中で組み立てます。据え付けの日数は、一条工務店が床の補強がなければ2日、宮田鉄工の剛建が1日としています。床が弱い家では、先に床の補強が要ります。
- 工事する部屋型:床(製品によっては天井も)を外し、床下に基礎を打ってから鉄骨を組み込み、内装を仕上げ直します。ヤマニヤマショウでは、厚さ200mmの鉄筋コンクリートの基礎を打ち、工期は7〜10日です。ハイブリッドハウス販売のセフティルームは、解体・基礎・鉄骨・内装で約10日の工程を示しています。
工事する部屋型は費用と日数がかかりますが、部屋の大きさに合わせて作れ、見た目はふつうの部屋のままです。どちらも、多くは住みながら工事ができ、引越しは要らないとしています。
防災ベッドとテーブル型
防災ベッドは、ベッドを鋼鉄や木のフレームで囲います。ニッケン鋼業の防災ベッドは、静岡県の防災ベッド製作検討委員会で開発業者に選ばれ、県の工業技術センターと共同で実用化したものです(ニッケン鋼業)。介護ベッドにかぶせる型(ニッケン鋼業の介護ベッド用防災フレーム、新光産業のウッドラックの介護ベッド用)もあります。
テーブル型は、鉄骨を入れたテーブルで、揺れたら下にもぐります。関西ポラコンの「構-kamae-」は、居室の床にビスで固定して使います。ふだんは食卓や机として使えるので、日中を過ごす部屋に置けます。
どちらも工事はほとんど要りませんが、重さが50〜220kgほどあるので、床が沈む家は補強を相談します。
「何トンに耐える」の読み方
耐荷重の示し方は、メーカーによってばらばらです。
| 示し方 |
例(比較ページの製品) |
| 上から押して記録した最大の荷重 |
日心製作 131.7t、関西ポラコン 60.6〜130.8t |
| 想定した倒壊の向きごとの力 |
ニッケン鋼業 真上から10.0t・斜め45度から6.0t |
| 構造計算の値 |
ナスラック 8.65トン、ハイブリッドハウス販売 8.64t |
| 落下物や本体を落とす試験 |
宮田鉄工(3mから3t)、扇光(3.5mから1t)、カラフルコンテナ(450kg) |
| 建物を実際に倒す実験 |
一条工務店(数値は公表なし) |
試験の方法が違うので、数字の大きさだけでは比べられません。どんな倒れ方(真上から・斜めから・落下物)を想定し、どの機関の立ち会いで試したかを、公式資料で確かめます。
補助金の受け方
多くの自治体が、耐震シェルターや防災ベッドの費用を補助しています。東京都内では、令和8年度に24の区市町が耐震シェルター等の助成制度を持っています(東京都耐震ポータルサイト)。
| 自治体 |
補助 |
木造住宅の建築時期 |
| 横浜市 |
40万円まで |
平成12年5月以前 |
| 名古屋市 |
2分の1・30万円まで |
昭和56年5月以前 |
| 浜松市 |
3分の2・40万円まで |
昭和56年5月以前 |
| 大田区 |
10分の9・50万円まで |
平成12年5月以前 |
| 世田谷区 |
30万円まで |
昭和56年5月以前 |
横浜市の40万円は耐震シェルターの本体費用で、防災ベッド・テーブルは20万円までです。名古屋市は非課税世帯なら4分の3で45万円まで、浜松市は65歳以上の人だけが住む家などなら50万円まで、大田区は世帯の課税所得が200万円以上なら2分の1で30万円までです。大田区と世田谷区は高齢者や障害のある人の住む家に限り、世田谷区は所得が200万円以下という条件も付けています。浜松市は1階に置くことが条件です。
出典:横浜市・名古屋市・浜松市・大田区・世田谷区
対象の製品は自治体が決めています。東京都の事例紹介の装置部門で選ばれた製品を対象にする所(世田谷区・名古屋市など)や、県が一覧を出している所(静岡県)があります。どの自治体でも、契約や工事の前に申請し、交付の決定を受けてから契約するのが決まりで、先に買った・設置したものは対象になりません。
選び方
- 耐震改修ができないかを先に相談する:自治体の無料の耐震診断を受け、改修の補助と比べる。
- 守る場所を決める:寝室を部屋ごと守るか、ベッドだけか、日中の居間のテーブルか。介護ベッドなら、かぶせる型。
- 工事の大きさを決める:置くだけ(半日〜2日)か、基礎からの工事(7〜10日ほど)か。床の強さと天井の高さを、下見で確かめてもらう。
- 補助の対象製品から選ぶ:住んでいる自治体の一覧に載っている製品か、条件(建てた年・1階・年齢や所得)に合うかを確かめる。
- 契約の前に申請する:見積書をもらい、交付の決定を受けてから契約・設置する。