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GUIDE / PPS-RESIN

PPS樹脂とは?ガラス繊維強化・フィラー強化・板丸棒の違いと、耐熱温度・融点・難燃性・架橋型とリニア型の選び方

車の電装部品・ポンプ・電気電子部品に使うPPS樹脂(ポリフェニレンサルファイド)の3つの種類、架橋型とリニア型の違い、耐熱温度と融点、難燃性(UL94)、耐薬品性、成形前の乾燥と成形条件、PEEKとの違い、削って使う板・丸棒を、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月28日更新

この記事の答え

PPS樹脂は、ポリフェニレンサルファイドという結晶性の耐熱樹脂で、熱と薬品と火に強いのが特長です。売られる形は、ガラス繊維で強化した成形材料、ガラス繊維にフィラーを足した成形材料、削って使う板・丸棒の3つです。選ぶときは「硬さとクリープを取るか(架橋型)、粘り強さを取るか(リニア型)⁠」「寸法と反りをどこまで抑えるか」「型を作って成形するか、削って作るか」の3つを先に決めます。

PPS樹脂とは

PPSは、ベンゼンと硫黄から成る簡単な構造の、結晶性の耐熱性ポリマーです(DIC)。DICの資料では、ガラス転移温度は約90℃、融点は約280℃です。難燃剤を入れなくても燃え広がりにくく、酸やアルカリ・有機溶剤にも強いので、車の電装部品、ポンプや給湯器の水回り部品、コネクタなどの電気部品に使います。ポリフェニレンスルフィドとも呼びます。

比較ページには、日本の会社が自社で作るか自社グループの製品として売るPPS樹脂を、品番の単位で載せています。フィルム・繊維・成形品、商社が売る製品は載せていません。

3つの種類

  • ガラス繊維強化は、いちばん広く使う形です。例はDICのDIC.PPS FZ-1140と、東レのトレリナ A604、東ソーのサスティール GS-40で、どれもガラス繊維を40%入れています
  • ガラス繊維+フィラー強化は、ガラス繊維に無機フィラーを足して、硬さと寸法の安定を上げた形です。例はDICのFZ-3600と、東レのA310MX04、東ソーのG-10です
  • 板・丸棒は、PPSを押出成形した切削用の素材です。例は三菱ケミカルグループのテクトロン 1000 PPSと、エンズィンガーのTECATRON GF40 naturalです

架橋型とリニア型の違い

  • 架橋型は、高温でも高い剛性を保ち、クリープ変形に強いタイプです(DIC)
  • リニア型は、伸びと靭性に特長があり、純度が高いので高温多湿でも水を吸いにくいタイプです(DIC)
  • 東レのGF40%品では、引張強さは架橋型のA504X90が190MPa、リニア型のA604が195MPaです
  • クレハは、1987年に直鎖状のPPS樹脂の生産を始め、PPSの欠点とされていた脆さを大きく改善したと案内しています

耐熱温度と融点

  • 東レは、トレリナの連続使用温度を200〜240℃、短時間なら260℃以上と案内しています
  • 連続使用温度は、40,000時間熱処理しても強度を50%以上保てる上限の温度です⁠(東レ)
  • 荷重たわみ温度は、DICのFZ-1140で270℃、FZ-3600で275℃です。東レと東ソーの強化品も260℃を超えます
  • 融点は、東レのトレリナで278℃、東ソーのサスティールで281℃です
  • 強化していないPPSは、ガラス転移温度の近くで熱変形温度を示します。高温での硬さがいるなら、アニールで結晶化度を上げます⁠(東レ)

難燃性と耐薬品性

  • 東ソーは、難燃剤を入れずにUL94 V-0と案内しています。サスティール GS-40は0.38mmの厚さでV-0です
  • ガラス繊維強化PPSの限界酸素指数は47です⁠(東レ)
  • 耐薬品性は、酸やアルカリ、各種有機溶剤に対してフッ素樹脂に次ぎます⁠(東レ)
  • ガソリンや軽油に含まれる芳香族の成分とはなじみやすいので、燃料に触れる部品は実際の条件で先に試します⁠(東レ)

成形前の乾燥と成形条件

  • DICは、予備乾燥を120℃なら4〜6時間、130℃なら3〜5時間、140℃なら2〜3時間としています
  • シリンダ温度は一般に300〜340℃で、350℃以上には加熱しません(DIC)
  • 金型温度は130〜150℃です。低いと結晶化が進まず、耐熱性が落ちます(DIC)
  • 溶融粘度が低く、バリが出やすい材料です。シリンダとスクリューは耐摩耗仕様にします(DIC)

PEEKとの違い

  • エンズィンガーの資料では、引張強度はPEEKが166MPa、PPSが103MPaで、強さと粘りはPEEKが上です
  • そのかわりPPSは値段が安く、耐薬品性ではPEEKより優れます(エンズィンガー)
  • PPSの長期の使用温度は、最高230℃です(エンズィンガー)

削って使う板・丸棒

  • テクトロン 1000 PPSは、直鎖状のPPSを押出成形した素材で、連続使用温度は220℃です
  • TECATRON GF40 naturalは、ガラス繊維40%入りの板・丸棒で、剛性とクリープ強度が高くなっています
  • エンズィンガーによると、半導体製造では無添加のPPS、一般の産業ではGF40の強化品が多く使われます

値段

  • このページの製品で、値段を公式に出しているものはありません。成形材料は品番と使う量を、板・丸棒は厚さや径を決めて見積もりを取ります
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