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GUIDE / KOGYO-MAGNET

工業用マグネットの種類と選び方(ネオジム磁石・フェライト磁石・マグネットベース・チャック・リフマ・セパレーターの違い)

工場で使う工業用マグネットの5つの種類、ネオジム磁石とフェライト磁石の違い、吸着力・吊上能力・磁束密度の見方、リフティングマグネットを使うときのクレーン等安全規則の決まりを、メーカーの公式資料と法令をもとにまとめました。

2026年10月12日更新

この記事の答え

工業用マグネットは、磁石の力で鉄を吸い付けて、留める・押さえる・吊る・異物を取るための磁石と道具です。部品として使うネオジム磁石・フェライト磁石と、その磁力を使うマグネットベース、マグネットチャック、リフティングマグネット、マグネットセパレーターの5つに分かれます。選ぶときは「何に使うか」「どのくらいの強さの磁力にするか」「磁力の入り切りをどうするか」の3つを先に決めます。

工業用マグネットとは

工業用マグネットは、工場や物流の現場で使う業務用の磁石と、磁石の力を使う道具・機器のことです。ボルトやワイヤーを使わずに、鉄を吸い付けて留めたり吊ったりでき、外すときもレバーやハンドルですぐに外せます。

比較ページには、磁石(ネオジム・フェライトなど)・マグネットベース・マグネットチャック・リフティングマグネット・マグネットセパレーターの5種類を、各社の代表の型式で載せています。冷蔵庫や文具に使う家庭用だけの磁石、モーターに組み込むだけで単体で売らない部品、マグネットポンプやマグネットスイッチは載せていません。

5つの種類

  • 磁石(ネオジム・フェライト):磁石そのものを部品として買います。例は信越化学工業のN50、プロテリアルのNEOMAX、相模化学金属のNEOFLUX、東京フェライト製造のTHW5B、マグナの標準品です
  • マグネットベース:レバーで磁力を入り切りして、ダイヤルゲージなどを機械に留めます。例はミツトヨの7010‑10、シンワ測定のA‑2微調整付、日機のNM‑KVです
  • マグネットチャック:研削盤やマシニングセンタでワークを吸い付けて押さえます。例はカネテックのRMT、ファーステックのFT‑612E、ナベヤのMTBです
  • リフティングマグネット:クレーンに掛けて鋼板や丸鋼を吊ります。例はカネテックのLPH、キトーのスーパーマグ、テクノプランのCPL、ファーステックのELMです
  • マグネットセパレーター:原料や液体に混ざった鉄粉を吸い取ります。例はカネテックのPCMB、スーパーツールのSMGB、マグテックのMNMB、下西製作所のSMGBです

ネオジム磁石とフェライト磁石の違い

ネオジム磁石は、鉄・ネオジム・ボロンが主成分の希土類(レアアース)の焼結磁石です。マグナの資料では、フェライト磁石の約10倍の強さがあり、小さく軽くできます。相模化学金属の資料では、最大エネルギー積がフェライトの4.5MGOeに対し、ネオジムは48MGOeを超えるものもあります。

  • 錆:ネオジム磁石は錆びやすいので、ニッケルめっきなどの表面処理をして使います(信越化学工業)
  • 熱:一般のネオジム磁石は80℃以下で使います。保磁力を上げた材質なら、相模化学金属のNF‑Hは120℃未満、NF‑EHは200℃未満まで使えます
  • フェライト磁石:酸化鉄が主原料で、値段のわりに使いやすい磁石です。東京フェライト製造のTHW5Bは耐熱200℃です。逆に寒い所では保磁力が下がる低温減磁に気をつけます

強い磁石は、ペースメーカーなどの電子医療機器を着けた人に近づけると大変危険です。磁石どうしや鉄と強く引き合うので、運ぶときや組み立てるときに手指を挟まないようにします(プロテリアルの注意書き)。

マグネットベースとマグネットチャックの選び方

マグネットベースは、レバーで中の磁石の向きを変えて磁力を入り切りします。吸着力は600〜800Nの型式が多く、カネテックのカタログの吸着力はSS400・板厚25mm・研削仕上げ面で測った値です。シンワ測定も、相手の厚さや材質で吸着力が大きく変わると注意しています。

マグネットチャックは、磁力の入り切りのしかたで3つに分かれます。

  • 永磁:ハンドルで切り替え、電気を使いません。ファーステックのFT‑612Eは150×300mmで394,000円(税抜)⁠で⁠⁠⁠⁠す
  • 電磁:通電し続けるので熱が出ます。ファーステックのFT‑ELC‑1530Aは3時間の連続運転で温度上昇を15℃以内にしています
  • 永電磁:切り替えのときだけ通電します。ナベヤのMTB304HD70は磁極1つで6150N、全面で73kNです

ワークが薄いと磁束がはみ出して押さえる力が下がるので、ナベヤのMTBは厚さ19mm以上のワークで使います。切削の力が吸着面と平行にかかるときは、切削の力の3〜10倍の吸着力で押さえるようナベヤは書いています。熱処理したワークは磁気が残りやすいので、脱磁器で取ります。

リフティングマグネットの選び方と決まり

リフティングマグネット(リフマ)⁠は⁠、クレーンのフックに掛けて鋼板や丸鋼を吸い付けて吊るつり具です。長崎労働局の資料では、永磁式・電磁式・バッテリー式に分かれます。

  • 永磁式:ハンドルを倒して磁力を入れ、電気を使わないので停電しても荷を落としません。カネテックのLPH‑1000、テクノプランのCPL‑1000A、キトーのKRD100、ファーステックのELM‑1000は、どれも鋼板で1000kgの型式です
  • 電磁式:電気で吸い付けるので、停電に備えて無停電装置を付けます(日本マグネティックス)
  • 永電磁式:約2秒の通電で吸着と釈放を切り替え、運ぶ間は永久磁石なので停電しても落ちません(日本マグネティックス)

吊上能力は、最大の吸着力の1/2〜1/4で表しています(カネテック)。テクノプランのCPLは、SS400・厚み50mm・全面吸着での最大値の1/3です。薄い板・すき間・錆やゴミで吸着力は大きく下がり、キトーのKRD100は板厚25mm未満で吸着力が下がり、ファーステックのELM‑1000は最大能力を出すには板厚40mm以上の板で使います。

リフティングマグネットを使うときは、クレーン等安全規則(e-Gov法令検索で確認)に沿います。

  • 磁力で吸い付けて吊った荷の下には、人を入れない(第29条)
  • 磁力で吸着させる玉掛用具は、定められた使用荷重等の範囲で使う(第219条の2)
  • つり上げ荷重1t以上のクレーンの玉掛けは、玉掛け技能講習を修了した人などに限る(第221条)。1t未満は安全のための特別の教育を行う(第222条)

長崎労働局の災害事例では、能力400kgのリフマで200kgの製品を吊ったところ、保護シートで吸着力が落ちて外れ、足に当たって休業4か月のけがになりました。

マグネットセパレーターの選び方

マグネットセパレーターは、ステンレスのパイプに磁石を入れたマグネットバーを並べて、流れの中の鉄粉を取ります。磁力は表面の磁束密度で比べ、1Tは10,000Gです。

  • 強さ:カネテックのPCMB‑20とスーパーツールのSMGB820は0.8T、マグテックのMNMB‑B10‑20は1000mT、下西製作所のSMGB‑1025型は1.1Tです。加工で磁性を帯びたステンレスの摩耗粉を取るなら、カネテックは1.0T以上を勧めています
  • 温度:上限の温度を超えると、冷やしても磁力が戻りません。PCMB‑20は80℃、SMGB‑1025型は120℃までです
  • 点検:カネテックは、表面最大磁束密度で評価して年1⁠回点検するよう勧めています

値段の見方

値段を公開していたのは、25製品のうち8製品だけです。

  • マグネットベース:吸着力600〜800Nの3製品を比べました。日機のNM‑KVが3,630円(税込)、シンワ測定のA‑2微調整付が7,180円(税別)、ミツトヨの7010‑10が12,400円(税抜)⁠で⁠⁠⁠⁠す
  • そのほか:1tの永磁リフマはファーステックのELM‑1000が343,000円、マグネットバーはスーパーツールのSMGB820が120,800円、ネオジム磁石はマグナの直径10×5mmが1個770円(税抜)⁠で⁠す⁠。同じ種類で3製品そろわないので、「安め・高め」の判定はしていません

磁石の素材メーカーは、どこも公式に値段を出していません。形・寸法・材質・数量を決めて見積もりを取ります。

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