この記事の答え
温度センサーは、物の温度を測って電気の信号に変えて送るセンサーです。選ぶときは「何℃から何℃までを測るか」「触れて測れるか」「どれくらいの精度と速さが欲しいか」の3つを先に決めます。熱い所は熱電対、精度を求めるなら測温抵抗体、小さく安くまとめるならサーミスタ、触れられない物や動く物は放射温度計です。
温度センサーとは
温度センサーは、物の温度を測って、温調器・記録計・PLC などへ電気の信号で送る部品です。比較ページでは、メーカーが自社で作るか自社製品として売り、公式サイトで今も案内している温度センサーを並べています。温度調節器や記録計の本体、家庭用の体温計、画像で見るサーモグラフィは入れていません。
方式は大きく4つです。触れて測るのが熱電対・測温抵抗体・サーミスタ、離れて測るのが放射温度計(非接触)です。
| 方式 |
測り方 |
向いている所 |
掲載した製品の例 |
| 熱電対 |
2種類の金属線の接点にできる電圧 |
炉のような熱い所、細い所、物の表面 |
岡崎製作所 AEROPAK、山里産業 シース熱電対、坂口電熱 T-35型、安立計器 A-231K |
| 測温抵抗体 |
白金の抵抗が温度で変わること |
配管やタンクで精度よく測る |
林電工 SRシリーズ、ネツシン UNR-14 |
| サーミスタ |
半導体の素子の抵抗が大きく変わること |
機械の水温・油温、食品、装置の温度検知 |
芝浦電子 NTN1、SEMITEC EF1M493N4、佐藤計量器 SWPⅡ-01M |
| 非接触(放射温度計) |
物から出る赤外線 |
動く物、熱い物、触れると傷む物 |
キーエンス FT-H30、チノー IR-BZN、オプテックス・エフエー CS-30TAC |
熱電対
熱電対は、種類の異なる2本の金属線の両端をつなぎ、両端の接点に温度差ができると電圧(熱起電力)が生まれることを使って温度を測ります(岡崎製作所 AEROPAK)。金属線の組み合わせで K・J・T・N・E などの種類が決まり、温調器や記録計の側でその種類を設定して使います。
細く作れて、熱い所まで使えるのが強みです。岡崎製作所のAEROPAKはシース外径0.08〜22mmを作り分け、-200〜1,260℃で使えます。山里産業のシース熱電対は、特殊なシースを使うと1,500℃までです。ただし使える上限は外径とシースの材質で変わり、坂口電熱のT-35型(K)は外径1.0・1.6mmで650℃、4.8mmで800℃です。
クラスと許容差
熱電対の精度は、JIS C 1602 のクラスで決まります。グラフテックの技術資料にある代表的な値は次のとおりです。
| 種類 |
クラス1 |
クラス2 |
| K |
±1.5℃ |
±2.5℃ |
| J |
±1.5℃ |
±2.5℃ |
| T |
±0.5℃ |
±1.0℃ |
| R |
±1.0℃ |
±1.5℃ |
この値は温度の範囲で変わります(K のクラス1は -40℃以上375℃未満で±1.5℃、それより上は測る温度の0.4%)。ふつうはクラス2が使われ、クラス1は高くなります。常温やわずかなマイナスの温度を細かく測るなら T、広い範囲を測るなら K が選ばれます。
補償導線で延ばす
熱電対を温調器まで延ばすときは、補償導線を使います。補償導線は熱電対の種類に合わせて選びます(グラフテック)。八光電機のHT-20のように、補償導線の先がM4端子になっていて温調器にそのままつなげる製品もあります。
表面を測る熱電対
金型やロールの表面は、表面専用の熱電対プローブで測ります。安立計器のA-231Kは止まっている面用で、平らな金属面なら1.5秒で読みが落ち着きます。U-111Kは回っているロールや流れるシートに当てたまま測れ、250℃まで、平面から直径300mmの曲面に当てられます。
測温抵抗体
測温抵抗体は、白金の抵抗が温度で変わることを使って測ります。このページの2製品はどちらもPt100で、許容差は JIS のクラスA・クラスBで選びます。林電工は「測温抵抗体はより精密な温度測定に向いています」と書いています。
熱電対と比べると、使える温度は低めです。林電工のSRシリーズは-200〜350℃、ネツシンのUNR-14は-200〜250℃です。また、測温抵抗体は熱電対(卑金属)よりやや高く、保護管を小さくしにくい、とグラフテックの資料にあります。ただしネツシンのUNR-14は保護管の外径を0.5mmまで細くしていて、狭いすき間にも差し込めます。
導線は3本(3導線式)か4本(4導線式)で、受ける計器に合わせます。林電工のSRシリーズは3導線式が標準で、4導線式も作れます。
サーミスタ
サーミスタは、温度で電気の流れにくさ(抵抗)が大きく変わる半導体の素子です。このページのサーミスタはどれも NTC サーミスタで、温度が高くなると電気が流れやすくなります(芝浦電子)。小さく、衝撃や振動に強く、温度に対する感度が高いのが特長です。芝浦電子は、NTCサーミスタの使用温度範囲を-50〜+500℃としています(技術情報)。
素子の性質は、抵抗値とB定数(感度)で表します。たとえば大泉製作所の高温検知用とSEMITECのEF1M493N4は、どちらも100℃で3.3kΩ、B定数3970Kです。温調器や回路の側は、この特性に合わせて作ります。別のメーカーのサーミスタに替えるときは、特性が同じかを先に確かめます。
値段が出ている製品もあります。SEMITECのEF1M493N4-ASSY-2は、公式のサンプルショップで10個セット17,050円です。佐藤計量器のSWPⅡ-01Mは食品に差し込む防水のセンサで16,000円(税抜)、0.0〜40.0℃で±0.6℃です。
非接触(放射温度計)
放射温度計は、物から出る赤外線をとらえて温度を測ります(チノー)。触れずに測れるので、ラインを流れる物、熱い物、回っている物、触れると傷む物に向いています。応答も速く、チノーのIR-BZNは1ms、キーエンスのFT-H30は代表例10msです。
放射率を合わせる
物から出る赤外線の量は、材質や表面の状態で変わります。その割合が放射率で、放射温度計には測る物の放射率を設定します。堀場製作所の資料では、放射率0.90で300℃の物を、誤って0.95の設定で測ると、291℃と表示されます。光沢のある金属は放射率が低いので、放射率のわかっている塗料を塗るかテープを貼って測ります。
測る範囲と距離
放射温度計は、離れるほど測る範囲(スポット)が広がります。測る物が、その範囲を全部埋めている必要があります。ジャパンセンサーのTMHX-CSE0500は100mm離れて直径1mm、オプテックス・エフエーのCS-30TACは500mm離れて直径30mmです。小さな物を測るなら、近くで狭い範囲を測れる機種を選びます。
波長
放射温度計は機種によって受ける赤外線の波長が違い、金属・ガラス・フィルムなど、測る物で合う波長が変わります(チノー)。このページの製品では、キーエンスのFT-H30とオプテックス・エフエーのCS-30TACが8〜14μm、チノーのIR-BZNとジャパンセンサーのTMHX-CSE0500が2〜6.8μmです。
応答の速さの読み方
温度センサーは、温度が変わってから読みが追いつくまでに時間がかかります。サーミスタや測温抵抗体では、熱時定数(初めの温度差の63.2%まで変わる時間)で書くことが多く、周りの温度に届くのは熱時定数の約7倍たってからです(芝浦電子)。
| 製品(メーカー) |
公式の値 |
条件 |
| NTN1(芝浦電子) |
約5秒 |
撹拌した水の中 |
| 高温検知用(大泉製作所) |
8.0秒以下 |
撹拌した水の中 |
| EF1M493N4(SEMITEC) |
約78秒 |
静止空気中 |
| A-231K(安立計器) |
1.5秒 |
平らな金属面で99%応答 |
| CS-30TAC(オプテックス・エフエー) |
150ms |
90%応答 |
同じ「応答」でも、63.2%・90%・99%のどこまでの時間か、水の中か空気の中かで数字が大きく変わります。比べるときは条件をそろえます。熱電対やシースでは、外径が細いほど早く温度に追いつきます。
選ぶ順番
- 測る温度の上と下を決める:1,000℃を超えるなら熱電対か放射温度計。数百℃までなら4つとも使える
- 触れて測れるかを決める:動く物・触れると傷む物は放射温度計。ロールの表面なら表面用の熱電対もある
- 精度を決める:細かく測るなら測温抵抗体(クラスA)か T 熱電対。熱電対はクラス1・クラス2で選ぶ
- 形と付け方を決める:差し込む深さ・外径・ねじの大きさ。放射温度計は距離と測る範囲
- 出力を受ける側に合わせる:熱電対は種類、測温抵抗体は導線の数、サーミスタは特性、放射温度計は 4〜20mA などの出力
値段を公式に出しているのは、比較ページの17製品中5製品だけです。熱電対や測温抵抗体は外径・長さ・材質を注文に合わせて作るものが多いので、測る場所の図面や寸法を用意して見積もりを取ります。