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GUIDE / 3D-PRINTER

3Dプリンタとは?熱溶解・光造形・粉末・インクジェット・金属の違いと選び方

工場・設計の現場で使う業務用・産業用の3Dプリンタの5つの方式(熱溶解積層、光造形、粉末焼結、インクジェット、金属⁠)⁠の向き不向き、造形サイズと積層の厚さの読み方、材料と後処理、置き場所と電源、値段の出し方、金属の粉と洗浄用アルコール⁠の消防法上の扱いを、各メーカーの公式資料と法令をもとにまとめました。

2026年10月10日更新

この記事の答え

3Dプリンタは、3次元のデータをもとに、材料を1層ずつ積み重ねて形を作る機械です。選ぶときは「何の材料で作るか」「どれくらいの大きさか」「どこまで細かく・きれいに仕上げるか⁠」⁠の3つを先に決めます。丈夫な樹脂の治具なら熱溶解積層(FDM⁠)⁠、表面のきれいなモデルなら光造形、ナイロンの部品をまとめて作るなら粉末焼結、色や柔らかさまで再現する試作ならインクジェット、金属の部品や金型・補修なら金属の機械です。

3Dプリンタとは

3Dプリンタは、型や刃物を使わずに、データから直接形を作る機械です。削って形を出す切削とは逆に、材料を足していくので、付加製造(AM)とも呼びます。比較ページでは、工場・設計・研究の現場で、試作品・治具・金型・部品を作る業務用・産業用の機種のうち、メーカーが公式サイトで今案内しているものを並べています。

家庭用・ホビー用の機種、食品・細胞・建築(⁠コンクリート)・陶芸用の機械、3Dスキャナ、受託造形だけの会社はこのページに入れていません。海外メーカーの機種は、国内の代理店ではなく、メーカー(日本法人があれば日本法人)として載せています。

方式 積み方 向いているもの 掲載した製品の例
熱溶解積層(FDM・FFF) 溶かした樹脂をノズルから押し出す 治具・機能試作・大きなモデル ストラタシス F370、キーエンス GX-1000、武藤工業 MFS-6100
光造形(SLA・MSLA) 液体の樹脂を光で固める 表面のきれいなモデル・細かい部品 シーメット ATOMm-4000Ⅱ、Formlabs Form 4、BMF Japan microArch S240
粉末焼結(SLS・MJF) 樹脂の粉を焼き固める ナイロン部品をまとめて 日本HP Jet Fusion 5600シリーズ、アスペクト AM-E3 300C-HT、Formlabs Fuse 1+ 30W
インクジェット 樹脂のしずくを吹き付けて光で固める 色・質感・はめ合いまで見る試作 ストラタシス J850 Prime、キーエンス AGILISTA-3200、ミマキエンジニアリング 3DUJ-2207
金属(PBF・DED) 金属の粉やワイヤを溶かす 金属部品と金型 EOS M 290、ソディック OPM350L、三菱電機 AZ600-F40

丈夫な樹脂で治具を作る:熱溶解積層(FDM・FFF)

糸状の樹脂(⁠フィラメント)⁠をヘッドで溶かし、ノズルから押し出して積む方式です。ABSやナイロンなどの丈夫な樹脂を使えるので、工場で使う治具や取り付け具、機能を確かめる試作にそのまま使えます。層の筋が表面に残るので、見た目のきれいさは光造形やインクジェット⁠に及びません。

  • 大きさ:武藤工業のMFS-6100⁠は610×610×610mmまで一度に作れます。ノズル径1.0mm⁠のヘッドに替えると0.3〜0.7mm⁠の厚い層で積めるので、大きなモデルも分割せずに出せます
  • 強さ:MarkforgedのFX10は、樹脂の中に連続カーボンファイバー⁠を敷いて補強できます
  • 材料の選び方:キーエンスのGX-1000は専用フィラメント⁠に限られ、剛性・耐熱、難燃、耐衝撃、軟質、静電対策から選びます。UltiMakerのS7は280種類以上の材料に対応しています
  • サポート材:ストラタシス⁠のF370やUltiMakerのS7は、水に溶けるサポート材を使えます。張り出した形を作っても、手で削らずに外せます

きれいな面と細かい形:光造形(SLA・MSLA)

槽に入れた液体の樹脂に、レーザーや光を当てて薄く固めて積む方式です。表面がなめらかで、細かい形まで出せます。

  • 大きさで選ぶ:シーメットのCSLA-9000⁠は900×700×400mm⁠の大型機で、大きな試作モデルを接着せずに一体で作れます。中型のATOMm-4000Ⅱは400×400×400mmで、電源はAC100Vの1回路で動きます
  • 机の上で使う:Formlabs⁠のForm 4は398×367×554mm・18.3kgで、事務所の机の上に置けます
  • とても細かい部品:BMF Japan⁠のmicroArch S240は積層の厚さ10〜40μmで、コネクタやマイクロ流路のような小さな部品を作ります
  • 後処理:造形のあとに、アルコール⁠で洗い、光を当てて固め切ります(二次硬化⁠)⁠。Form 4はForm Wash(洗浄⁠)⁠とForm Cure(二次硬化⁠)⁠を組み合わせます

ナイロン部品をまとめて作る:粉末焼結(SLS・MJF)

薄く敷いた樹脂の粉に、レーザーや熱を当てて断面の形だけを焼き固める方式です。周りの粉が支えになるのでサポート材が要らず、部品を造形エリアに詰めて一度にまとめて作れます。

  • 量産向けの大型機:日本HP⁠のJet Fusion 5600シリーズは380×284×380mm⁠の造形エリアで、PA 12の部品を作ります。本体は880kgあり、電源は動力です
  • スーパーエンプラ:アスペクトのAM-E3 300C-HTは、PPSやPFAといったスーパーエンプラ⁠の粉まで使えます
  • 床置きの小型機:Formlabs⁠のFuse 1+ 30Wは645×685×1,070mm⁠の大きさで、粉の取り出しと回収には専用のFuse Siftを組み合わせます

色と質感まで試作する:インクジェット

ヘッドの細かい穴から樹脂のしずくを吹き付け、すぐに光で固めて積む方式です。層がとても薄く、表面がなめらかです。

  • 色と硬さを混ぜる:ストラタシス⁠のJ850 Primeは、最大7種類の樹脂を同時に使い、硬い樹脂・ゴムのような樹脂・透明な樹脂を1回の造形で混ぜられます
  • はめ合いまで見る:キーエンスのAGILISTA-3200⁠は積層の厚さ15〜30µmで、サポート材は水に浸けて外します
  • フルカラー:ミマキエンジニアリングの3DUJ-2207⁠はC・M・Y・K・ホワイト・クリアのインクで、色の付いた立体を作ります。値段は4,220,000円(税別⁠)⁠を公開しています

金属の部品・金型・補修:金属の3Dプリンタ

金属の機械は、大きく2つに分かれます。

方式 しくみ 向いているもの 掲載した製品の例
粉末床溶融結合(PBF) 敷いた金属の粉をレーザーや電子ビームで溶かす 細かい形の部品・冷却の通り道を入れた金型 EOS M 290、ソディック OPM350L、松浦機械製作所 LUMEX Avance-25、日本電子 JAM-5200EBM
DED 金属の粉やワイヤを送りながらレーザーで溶かして盛る 大きな部品・補修の肉盛り 三菱電機 AZ600-F40、ニデックマシンツール LAMDA500、ニコン Lasermeister LM300A、DMG森精機 LASERTEC 65 DED hybrid

ソディック⁠のOPM350Lと松浦機械製作所⁠のLUMEX Avance-25は、造形と切削を1台⁠で続けて行うので、造形のあとに別の機械へ載せ替えずに仕上げられます。三菱電機のAZ600-F40は、材料に粉ではなく市販の溶接ワイヤを使います。ニコン⁠のLasermeister LM300Aは、3Dスキャナで形を測ってから欠けた所を盛り直す、補修向けの組み合わせです。

選ぶときに見るところ

  1. 材料:方式で使える材料が決まります。作りたい部品の材料から方式を決め、その方式の中で機種を比べます
  2. 造形サイズ:いちばん大きな部品が入るかを見ます。入らなければ分けて作って貼り合わせることになります
  3. 積層の厚さ:細かさの目安です。薄いほど表面がなめらかになりますが、積む回数が増えて時間がかかります
  4. 後処理の装置:光造形は洗浄と二次硬化、粉末は粉の取り出しが造形のあとに続きます。本体と一緒に、要る装置と置き場所を見積もりに入れます
  5. 置き場所と電源:大型機と金属の機械は数百kgから10t⁠を超えるものまであり、動力の電源や不活性ガスを使う機種もあります。シーメットのATOMm-4000ⅡのようにAC100Vで動く機種もあります
  6. 値段:このページの25製品のうち、値段を出しているのは3製品だけです。機械のほか、材料・保守・後処理の装置の費用もまとめて見積もりを取ります

3Dプリンタと消防法

消防法では、鉄粉と金属粉は第二類(可燃性固体⁠)⁠の危険物に入ります(e-Gov法令検索 消防法 別表第一)⁠。ここでいう金属粉は、アルカリ金属・アルカリ土類金属・鉄・マグネシウム以外の金属の粉で、粒の大きさなどで総務省令が除くものは入りません。

光造形の洗浄に使うイソプロピルアルコールは、炭素の数が3個の飽和一価アルコールなので、第四類(引火性液体⁠)⁠のアルコール類に入ります。どちらも、置く量が多くなると届け出や許可の対象になるので、材料と洗浄液の置き場所と量は、所轄の消防に確かめてから決めます。

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