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GUIDE / SUISHA

水力発電用水車とは?フランシス・カプラン・バルブ・ペルトン・ポンプ水車の種類と違い、落差と流量・出力での選び方

ダム・中小水力・揚水の発電所に据える水力発電用水車の5つの形式、落差と流量による使い分け、立軸と横軸の違い、ポンプ水車と可変速、一緒に納める機器、更新で出力を上げる考え方を、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年11月2日更新

この記事の答え

水力発電用水車は、水の落ちる力で羽根車(ランナ)を回し、発電機に回転の力を伝える装置です。水力タービンとも呼びます。水の受け方で、フランシス水車・カプラン水車・バルブ水車・ペルトン水車、揚水発電所のポンプ水車に分かれます。選ぶときは「落差は何mか」「流量はどれだけか」「揚水もするか」の3つを先に決めます。

水力発電用水車とは

水力発電用水車は、高い所から落ちる水の力で羽根車を回し、つないだ発電機を回して電気をつくる装置です。ダムの発電所から、川や水路の水を使う中小水力の発電所、電力の需給を合わせる揚水発電所まで使います。

水車は量産品ではなく、発電所の地点ごとに流量と落差の条件を見て形式を決め、1台ずつ設計します。そのため公開価格は無く、メーカーに条件を伝えて見積もりをとります。

水車の種類と違い

  • フランシス水車は、羽根車の周りから水が入り、軸の向きに抜けて回ります。低落差から高落差まで使え、東芝の解説では日本国内の水車の70%を占めます。
  • カプラン水車は、羽根の角度を変えられるプロペラ形の水車です。低い落差で大量の水を流す発電所に使います。
  • バルブ水車は、水が管の中をまっすぐ流れる水車で、カプラン水車よりさらに低い落差に使います。
  • ペルトン水車は、ノズルから吹き出した水をバケットに当てて回します。高い落差で水の少ない発電所に使います。
  • ポンプ水車は、発電と揚水を1台でこなす揚水発電所の水車です。国内のものはほとんどがフランシスポンプ水車です。

立軸と横軸

水車の軸が地面に垂直なものを立軸、水平なものを横軸と呼びます。東芝の解説では、立軸は出力が大きい発電所、横軸は出力が小さい発電所に使います。富士電機の立軸ペルトン水車は68,900kW、立軸バルブ水車は31,400kWの納入実績があります。

ポンプ水車と可変速

揚水発電所では、電力が余るときに下の池から上の池へ水をくみ上げ、足りないときにその水を落として発電します。回転速度を変えられる可変速機なら、くみ上げるときの電力も細かく合わせられます。

  • 東芝は、1990年に世界で初めて可変速揚水発電システムを実用化しました。長翼と短翼を交互に並べたスプリッタランナで、高落差化と高効率化を進めています。
  • 日立三菱水力は、葛野川発電所に412MWのフランシス形ポンプ水車を、奥多々良木発電所に310MWの可変速機を納めています。

一緒に決める機器

水車だけでは発電所は動きません。次の機器をあわせて決めます。

  • 入口弁は、水車の運転と停止のときに水を止める弁です。高落差には球形弁、中・低落差には複葉弁を使います。
  • 調速機は、負荷が変わっても水車の回転速度を一定に保つ装置です。
  • 水車発電機は、水車の回転を電気に変えます。回転速度によって形が1台ずつ変わります。
  • 監視制御装置は、遠方の制御所からの指令で水車と発電機を動かします。日本のほとんどの水力発電所は無人で動いています。

選び方

選ぶときは、次の順に条件をそろえてメーカーに相談します。

  • 落差を確かめます。高い落差で水が少なければペルトン水車、低い落差で水が多ければカプラン水車やバルブ水車、その間ならフランシス水車です。
  • 流量と、季節での変わり方を確かめます。流量が大きく変わる川なら、羽根の角度を変えられるカプラン水車が合います。
  • 出力の大きさで、立軸か横軸かが決まります。
  • 揚水をするなら、ポンプ水車と可変速機を比べます。
  • 小さな出力の発電所なら、富士電機のマイクロチューブラ水車のような小規模向けの水車を相談します。富士電機は数kWから数十万kW級まで水車と発電機をそろえています。

更新と手入れ

水車の羽根車は、水の中の圧力が下がって泡ができるキャビテーションで摩耗します。点検の結果を見て、羽根車の補修や更新の時期を決めます。

  • 古い水車は、今の流況に合わせた羽根車に替えると出力が上がることがあります。富士電機は、水車の更新で合計2,300kWの出力を上げた例を出しています。
  • 日立三菱水力は、発電電動機を定速機から可変速機へ替える更新も手がけています。
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