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GUIDE / POWER-SEMICONDUCTOR

パワー半導体とは?IGBT・ダイオード・サイリスタの種類と耐圧・損失の選び方

産業電源・インバータに使うパワー半導体の役割と、IGBT・パワーダイオード・サイリスタの違いを解説。メーカー公式資料の型式を使い、耐圧・定格電流・導通電圧・パッケージ・放熱条件の読み方をまとめました。

2026年10月28日更新

この記事の答え

パワー半導体は、電力を変換・制御する半導体です。産業電源やインバータの設計では、スイッチング・整流・位相制御のどの役割を担わせるかを先に決めます。次に、耐圧・定格電流・損失に関わる特性を、温度と駆動条件までそろえて確認します。MOSFETは別の比較で扱います。

パワー半導体とは:一般の半導体との違い

パワー半導体は、電源回路で交流を直流に変えたり、モータへ流す電力を制御したりする素子です。サンケン電気の基礎解説では、モータや照明の制御、電力変換を担い、扱う電圧や電流が大きいことを特徴としています。CPUやメモリが担う演算・記憶とは役割が違います。

メーカー比較には、産業電源・インバータ・UPS・溶接などに使う素子とモジュールを、型式単位で載せています。日本の製造企業と、自社グループの製品を扱う海外メーカーの日本法人を対象とし、販売代理店が扱う他社品は除いています。

IGBT・パワーダイオード・サイリスタの違い

  • IGBTは、ゲートで電流を切り替える素子です。三菱電機のCM100DY-24Tは、インバータ装置・サーボアンプ・電源装置向けです。富士電機の2MBI100XAA120-50は、モータ駆動・UPS・溶接機などの用途を案内しています
  • パワーダイオードは、電流を一方向へ流し、整流や還流に使います。新電元工業のD30XB80はブリッジ整流、サンケン電気のFMNS-1106SはPFCとフリーホイールの用途を扱います。同じダイオードでも、入力整流と高速な回路の還流では見る特性が違います
  • サイリスタは、ゲートで導通を始める素子です。ビシェイのVS-40TPS12AL-M3は、中電力のスイッチングと位相制御、モータ制御・UPS・充電回路などの用途を案内しています。IGBTと同じ耐圧でも、同じ駆動回路へそのまま差し替えることはできません

出典は、三菱電機のデータシート、富士電機のデータシート、サンケン電気の製品情報、ビシェイの製品情報です。

次世代パワー半導体のSiC・GaNと、MOSFET・完成インバータとの違い

MOSFETもパワー半導体の一種です。この比較ではIGBT・パワーダイオード・サイリスタを扱い、MOSFETは別の比較へ分けています。

ロームの解説ではSiCを次世代のパワー半導体として紹介し、GaNの製品案内ではGaN(窒化ガリウム)を化合物半導体の材料と説明しています。SiCやGaNは材料の名前で、IGBT・ダイオードなどの素子の種類とは区別します。

ロームのSCS320AMはSiCショットキーバリアダイオードなので、パワーダイオードに入ります。公式資料では、PFC昇圧・二次側整流・データセンター・太陽光発電用パワーコンディショナ向けに案内しています。

完成インバータは、電力変換を行う装置です。このページの素子・モジュールは、その内部の回路を設計するときに選ぶ部材です。

耐圧と定格電流の読み方

  • 耐圧は、IGBTならVCES、ダイオードならVRRMなど、素子ごとの記号と意味を確認します。耐圧の数字を、そのまま装置の入力電圧として使いません
  • 電流は、連続値・平均値・実効値・パルス値を分けます。インフィニオンのIKW40N120H3は、連続コレクタ電流がケース温度25°Cで80A、100°Cで40Aです。同じ型式でも放熱条件で使える電流が変わります
  • 新電元工業のD30XB80の平均順電流30Aは、60Hzの正弦波・抵抗負荷・放熱器あり・ケース温度87°Cでの定格です。基板だけに取り付ける条件の値とは分けて扱います
  • ビシェイのVS-40TPS12AL-M3の平均オン電流は35Aです。ケース温度79°C・180°半波正弦波という条件が付き、製品名や見出しの40Aとは同じ意味ではありません

出典は、IKW40N120H3のデータシート、D30XB80のデータシート、VS-40TPS12AL-M3のデータシートです。

損失は導通とスイッチングに分ける

導通中の電圧降下と、切り替えるときの特性を分けて読みます。IGBTなら飽和電圧VCEsat、ダイオードなら順電圧VFに加え、スイッチングエネルギーや逆回復特性を確認します。定格電流の大きさだけでは、実際の回路の損失を判断できません。

  • 三菱電機のCM100DY-24Tの端子間飽和電圧は、電流100A・ゲート電圧15V・接合温度25°Cで標準1.65V、最大1.95Vです。チップの値とは区別します
  • インフィニオンのIKW40N120H3の飽和電圧は、電流40A・ゲート電圧15V・接合温度25°Cで標準2.05V、最大2.4Vです。三菱電機の値とは試験電流が違うので、数値だけで順位を付けません
  • サンケン電気のFMNS-1106Sの順電圧は、電流10A・接合温度25°Cで最大1.3Vです。逆回復時間も、試験電流と回復点を添えて比べます

許容損失と実動作の損失を混同しない

ロームのSCS320AMには許容損失PDの41Wが記載されています。これは、装置で常に消費する電力や変換効率の値ではありません。放熱条件を確認し、回路で発生する損失と接合部温度を別に検討します。

出典は各製品のデータシートと、サンケン電気のIGBT解説・損失と接合部温度の計算案内、ロームのSCS320AMデータシートです。

パッケージ・放熱・見積もり

  • 単体素子では、端子配置・絶縁・基板への取り付け方を確認します。モジュールでは、内部構造・結線・端子・取り付け面も照合します。外形が似ていても互換と判断しません
  • セミクロンダンフォスのSKKD 100/12はSEMIPACK 1の整流用モジュールです。公式の製品ページには100A・1200Vと記載がありますが、電流の温度条件や損失の値は載っていません。詳細仕様書を取り寄せてから回路の条件と合わせます
  • 掲載資料には購入価格の記載がありません。品番・数量・納期をそろえて見積もりを求めます。代替品を探すときも、耐圧だけでなく、回路構成・駆動条件・熱設計を伝えます

出典:セミクロンダンフォス SKKD 100/12 製品情報。仕様は2026年10月28日に取得した公式資料によります。

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