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GUIDE / ALL-SOLID-STATE-BATTERY

全固体電池とは?酸化物系・硫化物系の違いと、小型セルの容量・温度・選び方

産業用センサーや小型機器に組み込む全固体電池の仕組み、酸化物系・硫化物系の違い、量産とサンプル供給、容量・充電・動作温度の選び方をメーカーの公式資料でまとめました。

2026年10月28日更新

この記事の答え

全固体電池は、電解質を含む構成材料をすべて固体にした電池です。機器へ組み込む小型セルは、回路に合う電圧、必要な電流と容量、充電・放電の温度を先に決めます。量産品と評価用サンプルでは調達条件が違うため、必要数と使用環境を伝えて供給条件を確かめます。

全固体電池とは:仕組みと構造

全固体電池は、液体の電解液を使わず、固体の電解質でイオンを運ぶ電池です。FDKは、電解質を含め、すべての材料が固体で構成された電池と説明しています。ここでは、充電して使う産業用センサーや小型機器のセルを扱います。

全固体電池の比較ページでは、FDK・TDK・マクセルの型式別仕様を並べています。液系のリチウムイオン電池、電解液を含む半固体電池、研究材料の固体電解質、完成した電源モジュールは含めません。

出典:FDK 全固体電池FAQ⁠。

酸化物系と硫化物系の違い

  • 酸化物系は、酸化物系の固体電解質を使います。FDKのSoLiCellとTDKのCeraChargeは、小型の表面実装セルです。RTCやIoT機器の電源、環境発電の蓄電に使います
  • 硫化物系は、硫化物系の固体電解質を使います。マクセルはイオン伝導度を生かした高レート放電を案内しています。PSB401010Hは耐熱性と気密性を持つセラミック外装のセルです
  • 材料名だけで温度や容量を決めず、型式別の電圧・放電電流・充電条件を比べます

出典:FDK FAQ、TDKデータシート、マクセル 全固体電池⁠。

全固体電池は実用化できない?量産とサンプル供給の違い

  • マクセルのPSB401010Hは、現行の仕様表で量産中と案内されています
  • FDKのSCC4532KとSCD4532Kは、サンプル供給品です。SCD4532Kは製品表に開発中とありますが、公式発表では2025年12月からのサンプル出荷を確認できます
  • マクセルのPSB401010Tは、2025年10月の発表で同年11月上旬からのサンプル出荷を案内しています。量産品と同じ条件で発注せず、現在の供給条件を確認します
  • 評価用サンプルでは、数量だけでなく用途・温度・充電回路を伝えます。FDKはサンプル提供時に用途と使用環境を確認すると案内しています

出典:マクセル PSB401010H仕様、FDKのサンプル出荷発表、PSB401010T発表資料⁠。

電圧・容量・大きさで絞る

  • FDKのSCC4532Kは、公称3V・0.15mAhです。SCD4532Kは、公称3V・0.10mAhです。どちらも長さ4.5×幅3.2×高さ1.4mmです
  • TDKのCeraCharge BCT1812M101AGは、公称1.5V・100µAhです。代表寸法は長さ4.4×幅3.0×高さ1.1mmで、公称放電電流は20µAです
  • マクセルのPSB401010Hは、公称2.3V・標準8.0mAhです。外形は縦10.5×横10.5×高さ4.0mmです
  • マクセルのPSB401010Tは、標準6.0mAhです。公称電圧と充電電圧は掲載した発表仕様に記載がなく、PSB401010Hの値を流用しません

容量は数字の大きさだけで比べません。PSB401010Hの標準8.0mAhは放電0.05mA、定格7.0mAhは放電1.4mAで測った値です。SCC4532Kも、公称0.15mAhと最小値を示す定格0.13mAhを分けています。

出典:FDK仕様表、TDKデータシート、マクセルの各型式資料。

充電時間を左右する充電条件と動作温度

  • PSB401010Hの温度範囲は、充電-20〜115℃、放電-50〜125℃です。CCCV充電の定電圧値は2.6V、標準充電電流は4.0mAです
  • PSB401010Tの発表仕様は、充電0〜150℃、放電-20〜150℃です。上限だけを見て低温側の条件を取り違えないようにします
  • SoLiCellの使用温度範囲は、-20〜105℃です。ただし、SCC4532Kのデータシートは15〜25℃を外れる充電についてFDKへの相談を求めています。使用温度範囲すべてで同じ条件の充電ができる、という意味ではありません
  • SCD4532Kは定電圧充電に対応した簡易充電モデルです。製品表の充電電圧は2.8〜3.2Vで、SCC4532Kの3.37〜3.43Vとは違います

出典:マクセル仕様表、FDK SCC4532Kデータシート、FDK仕様表。

メリットとデメリット:寿命・湿度・基板実装の課題

電解液を使わないため液漏れを避けられますが、湿度や充電条件の制限は型式ごとに異なります。材料の違いだけで採用を決めず、機器の使用環境と照合します。

  • 共通の寿命年数は決められません。CeraChargeは1.6Vより高い充電でサイクル寿命への影響があるため、充電電圧と放電条件を揃えて評価します
  • CeraChargeの動作時は、相対湿度60%以下という制限があります。SCC4532Kも、絶対湿度20g/m³を超える使用ではFDKへの相談が必要です
  • PSB401010Hの最大放電電流30.0mAは、25℃の満充電状態で1秒間放電した後に1.8V以上を維持する条件の値です。連続定格として使いません
  • リフローで基板に付ける製品は、温度プロファイルを確認します。PSB401010Hは最大245℃の確認結果を案内していますが、実装条件はメーカーへの問い合わせが必要です

出典:TDKデータシート、FDK SCC4532Kデータシート、マクセルPSB401010H仕様表。

価格と調達の進め方

掲載したセルの公式資料には公開価格がありません。見積もりには必要数、回路の電圧、平均電流と送信時の電流、充放電温度、実装方法を添えます。評価用と量産用の数量・供給時期を分けて伝えます。

液系セルやパックも検討する場合は、リチウムイオン電池の比較⁠で供給形態を確認できます。全固体セルとの違いは、電解質の材料に加え、機器側の充電回路と使用環境で判断します。

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