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GUIDE / SHOUKAKI

消火器とは?粉末・強化液・二酸化炭素・大型の違いと選び方

事業所・工場・倉庫・店舗に置く業務用消火器の4つの方式(粉末、強化液・泡、二酸化炭素、大型⁠)⁠の向き不向き、能力単位(A・B・C⁠)⁠の読み方、置く決まり(延べ面積・歩行距離⁠)⁠、点検と取り替え、捨て方、値段の比べ方を、各メーカーの公式資料と消防法令(e-Gov)・総務省消防庁の資料をもとにまとめました。

2026年10月11日更新

この記事の答え

消火器は、火が小さいうちに、その場にいる人が持ち出して消すための道具です。選ぶときは「何が燃えるか(普通・油・電気)」「どこに置くか(温度・換気・汚したくない物)」「何本いるか(能力単位と歩行距離⁠)」⁠の3つを先に決めます。ふつうの事務所・工場・倉庫は粉末の10型、汚したくない場所や厨房は強化液、電気室は二酸化炭素、指定可燃物を多く扱う所は大型を置きます。

消火器とは

消火器は、粉・液・ガスの消火薬剤を圧力で飛ばし、燃え始めの火を消す道具です。消火器の技術上の規格を定める省令に合い、型式承認と検定に通ったものだけが売られています。比較ページでは、事業所・工場・倉庫・店舗に置く業務用消火器のうち、メーカーが自社の製品として公式サイトで今も案内しているものを並べています。

住宅用消火器だけの製品、エアゾール式簡易消火具(スプレー型⁠)⁠、投げる・貼る・塗るタイプの消火用具、スプリンクラーや自動消火装置、中古品、代理店だけが扱う製品はこのページに入れていません。

4つの方式

  • 粉末消火器:粉で火をおおって消します。普通・油・電気の火事に1本で使えます(⁠モリタ宮田工業 MEA10B、初田製作所 PEP-10N、日本ドライケミカル PAN-10WXe(Ⅰ)、マルヤマエクセル AHF-10P)
  • 水系の消火器(強化液・泡):液を霧のように飛ばします。粉が舞わず、紙や木の火を冷やして消します(⁠三津浜工業 LS3I、ヤマトプロテック YFX-6)
  • 二酸化炭素消火器:ガスで火を包みます。消したあとに何も残らず、電気設備を汚しません(⁠初田製作所 CG-5、マルヤマエクセル CO2A-7H、ヤマトプロテック YC-10XⅡ)
  • 大型消火器(車載式):車輪の付いた台車に大きな容器を載せ、長いホースで離れた所から放射します(⁠モリタ宮田工業 EF50、三津浜工業 AX50C、日本ドライケミカル PAN-50WXe)

能力単位(A・B・C⁠)⁠の読み方

消火器のラベルの「⁠A-3・B-7・C」は、消す力の大きさを表す数字です。

  • A:普通の火事(木・紙・布など⁠)⁠を消す力。数字が大きいほど大きな火を消せます
  • B:油の火事(ガソリン・灯油・食用油など⁠)⁠を消す力
  • C:電気の火事(配電盤・変圧器など⁠)⁠に使えるという印。数字はつきません

消火器の技術上の規格を定める省令 第2条は、住宅用以外の消火器の能力単位を1以上とし、大型消火器はA火災に10以上・B火災に20以上と決めています。このページの10型の粉末は、どれもA-3・B-7・Cです。二酸化炭素消火器はB-1〜B-3・Cで、普通の火事の単位がありません。

「10型」「20型⁠」⁠は薬剤の量の呼び名で、消す力はメーカーと薬剤で変わります。比べるときは能力単位で見ます。

置く決まり:どの建物に、何本

置く建物

消防法施行令 第10条は、消火器を置く建物を用途と延べ面積で決めています。

  • 工場・作業場・倉庫・物販店・飲食店:延べ面積150㎡以上
  • 事務所・学校:延べ面積300㎡以上
  • 地階・無窓階・3階以上の階:床面積50㎡以上
  • 劇場・カラオケボックス・老人ホームなど:面積にかかわらず全部

建物の用途がまざっているときや、火を使う設備があるときは決まりが変わります。所轄の消防署に確かめます。

何本置くか

  • 能力単位の合計:消防法施行規則 第6条は、延べ面積を用途ごとの面積で割った数以上の能力単位をそろえるよう決めています。工場・倉庫・店舗は100㎡、事務所は200㎡で割ります(主要な構造が耐火構造で、壁と天井の仕上げが難燃材料の建物は、割る面積を2倍にできます)
  • 歩行距離:同じ条の第6項で、各階のどこからでも歩いて20m以下で1本に届くように置きます
  • 大型消火器:第7条は、指定可燃物を決まった量の500倍以上扱う所に、歩いて30m以下で届くよう大型消火器を置くと決めています

置き方

  • 通る人や逃げる人のじゃまにならず、すぐ持ち出せる所に置きます(消防法施行令 第10条第2項)
  • 床からの高さは1.5m以下(消防庁の点検要領)
  • 表示された使用温度範囲の中に置きます。外れる所では保温します
  • 二酸化炭素消火器は、地下街や、換気に有効な開口部が床面積の1/30以下で床面積20㎡以下の地階・無窓階・居室には置けません(消防法施行令 第10条第2項、消防法施行規則 第11条)

ふつうの事務所・工場・倉庫:粉末消火器

いちばん多く置かれている消火器です。1本で普通・油・電気の火事に使え、使用温度も-30〜+40℃と広く取れます。

  • アルミの軽い型:モリタ宮田工業のアルテシモ MEA10Bは容器がアルミの一体成型で、10型で総質量約3.9kgです
  • 鉄の標準の型:初田製作所のPEP-10Nと日本ドライケミカルのPAN-10WXe(Ⅰ)は、薬剤3.0kgで総質量約4.8kg、放射距離3〜7mです
  • 放射距離の短い型:マルヤマエクセルのAHF-10Pは放射距離3〜5mで、火元に近づいて使います

粉末は放射時間が約14〜15秒と短く、一度で決めます。粉が広く舞うので、精密機器や食品のそばでは後の掃除がたいへんになります。

汚したくない場所・厨房:強化液・泡の消火器

液を霧のように飛ばす消火器です。粉が舞わず、紙や木の火を冷やして消すので、再び燃えにくくなります。

  • 三津浜工業のLS3Iは中性の強化液3.0Lで、約51秒放射します
  • ヤマトプロテックのYFX-6はフッ素化合物を含まない中性の強化液6.0Lで、約91秒放射します

どちらも能力単位はA-1・B-1・Cで、普通・油・電気の火事に使えます。使用温度は-20〜+40℃と粉末より狭いので、凍る所には置きません。

電気室・サーバー室:二酸化炭素消火器

二酸化炭素のガスで火を包んで消します。消したあとに粉も液も残らないので、電気設備や精密機器を汚しません。

  • 初田製作所のCG-5は薬剤2.3kgでB-1・C、ヤマトプロテックのYC-10XⅡは4.6kgでB-3・Cです
  • マルヤマエクセルのCO2A-7Hは3.2kgでB-2・Cです

普通の火事(A火災⁠)⁠の能力単位が無いので、紙や木の火に備えるには粉末か強化液を別に置きます。窒息させて消すので、換気の悪い狭い部屋には置けません。

指定可燃物の多い倉庫・危険物の施設:大型消火器

車輪の付いた台車に大きな容器を載せた消火器です。消火器の技術上の規格を定める省令 第9条は、大型消火器の薬剤量を粉末で20kg以上、強化液で60L以上、二酸化炭素で50kg以上などと決めています。

  • このページの3製品(⁠モリタ宮田工業 EF50、三津浜工業 AX50C、日本ドライケミカル PAN-50WXe)は、どれも粉末20.0kgでA-10・B-20・Cです
  • 総質量は約37.1〜38kgで、車輪で押して運びます。置き場所から火元までの通路と段差を確かめます
  • 放射距離は3〜9m、放射時間は約36〜47秒です

点検と取り替え

点検

消防法 第17条の3の3にもとづき、消火器は定期に点検して消防署に報告します。消防庁の点検要領では、次のように確かめます。

  • 蓄圧式は製造年から5年、加圧式の粉末は3年を過ぎたら、中と機能を確かめる
  • 製造年から10年を過ぎたら、水の圧力をかけて容器の強さを確かめる(二酸化炭素消火器は除く)
  • 使用期限の内でも、半年に1回は安全栓・圧力計・容器のへこみやさびを目で見る

取り替え

2011年から、業務用の消火器には設計上の標準の使用期限を表示することになりました。期限を過ぎたものは、見た目がきれいでも取り替えます。古い規格の消火器は、2021年12月31日までに新しい規格のものに取り替えることになっていました(消防庁の通知、2011年12月7日⁠)⁠。

捨て方:特定窓口へ

要らなくなった消火器は、特定窓口(消火器の販売店など⁠)⁠に持ち込みます。消防庁のリーフレットのとおり、近くの窓口は、消火器リサイクル推進センターのホームページか電話で探せます。

値段の比べ方

比較ページのコストは、値段を公開している製品どうしを、同じ方式・同じ能力単位の中で、税抜の値段にそろえて比べています(税込の値段は10%を除いて計算⁠)⁠。

  • 粉末の10型(⁠A-3・B-7・C、3製品):初田製作所のPEP-10Nと日本ドライケミカルのPAN-10WXe(Ⅰ)が24,200円(税込)で税抜22,000円。モリタ宮田工業のアルミ製MEA10Bは25,500円(税抜)で、鉄の10型より約16%高くなります
  • 大型(⁠A-10・B-20・C、3製品):モリタ宮田工業のEF50と三津浜工業のAX50Cが120,000円(税抜)、日本ドライケミカルのPAN-50WXeが133,100円(税込)で税抜121,000円。3製品の差は1%ほどです
  • 強化液:三津浜工業のLS3I(⁠3.0L)が36,000円(税別)、ヤマトプロテックのYFX-6(⁠6.0L)が40,000円(税抜⁠)⁠。量が違うので判定はせず値段だけ出しています
  • 二酸化炭素:初田製作所のCG-5(⁠2.3kg)が45,100円(税込)、ヤマトプロテックのYC-10XⅡ(⁠4.6kg)が72,000円(税抜⁠)⁠。量が違うので判定はせず値段だけ出しています

メーカーによっては、リサイクルシール代が本体の値段に入っていません。値段を出していないマルヤマエクセルの製品は、型式と本数を伝えて見積もりを取ります。

出典

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