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GUIDE / GLYCERIN

グリセリンとは?工業用・化粧品原料・試薬の違いと、純度・濃度・荷姿の選び方

樹脂や化粧品の原料、分析試験に使うグリセリン(グリセロール)の選び方。工業用精製品、化粧品原料、一般試薬、分子生物学用の違いを、メーカー公式の純度・水分・不純物規格・荷姿・価格で確認します。

2026年10月28日更新

この記事の答え

グリセリンは、保湿性・吸湿性のある粘りの強い液体です。樹脂や化粧品の原料、試験用の溶剤や調製液原料に使います。選ぶときは、使う工程に合うグレード、純度と水分の規格、使い切れる荷姿を先に決めます。工業用精製品、化粧品原料、試薬特級は規格が違うため、名前だけで置き換えません。

グリセリンとは

グリセリンはグリセロールとも呼ばれ、CAS RNは56-81-5です。植物性グリセリンの製造例として、阪本薬品工業はやし・パームなどの植物油脂を原料とし、保湿性・吸湿性、粘稠性、可塑性・柔軟性などの機能を案内しています。工業用ではアルキッド樹脂、ポリウレタン、インクなど、化粧品ではクリームや化粧水(ローション)⁠な⁠ど⁠に使います(阪本薬品工業 グリセリン部門)⁠。

グリセリンのメーカー比較では、原料用はグレード・濃度・荷姿、試薬は品番・等級・容量の単位で比較しています。グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールは別の物質です。家庭用の完成品、医薬品、サプリ、他社ブランドを扱う販売代理店の製品は対象に含めていません。

グリセリンの使い道とグレードは大きく分けて4つ

  • 工業用精製品は、樹脂・塗料などの製造原料に使います。花王の精製グリセリンは、ポリウレタン樹脂や塗料の配合原料として案内されています
  • 化粧品原料は、保湿などの配合目的で使います。濃グリセリンと希釈品があり、原料規格とグリセリン分をそろえて選びます
  • 一般試薬は、試験研究用の特級や一級です。富士フイルム和光純薬は、特級を汎用試薬・溶剤・調製液原料として案内しています
  • 分子生物学用は、核酸を扱う実験向けの試薬です。関東化学の品番17029-09は、DNase・RNaseを検出しない規格です

阪本薬品工業の工業用精製品はJIS K 3351に適合します。富士フイルム和光純薬の試薬特級はJIS K 8295特級に適合します。同じ「グリセリン」⁠で⁠も⁠、確認する規格番号を分けます(⁠阪本薬品工業 製品規格一覧、和光 試薬特級⁠)⁠。

濃グリセリンと85%品の違い

阪本薬品工業の化粧品用濃グリセリンは、グリセリン分98.5%以上です。化粧品用グリセリン85%は、グリセリン分84〜87%の規格です。「85%」は製品名であり、規格を一点の濃度として扱いません。

  • 濃厚品を使う配合では、グリセリン分と水分の受入条件を先に決めます
  • 希釈品を使う配合では、グリセリンと一緒に持ち込む水分も配合に含めます
  • 同じ荷姿でも、濃度が違う原料は別の製品として発注します

化粧品用グリセリン85%は、医薬部外品原料規格のグリセリンに適合する原料です。日本薬局方の医薬品グリセリンとは区別します。

純度と水分は別の欄で確認する

純度の数字だけで選ぶと、水分や不純物の条件を見落とします。GC面積分率の純度は、水分を含む製品全体の質量純度と同じ意味ではありません。

  • 富士フイルム和光純薬の品番075-00616は、GC面積分率で純度99.5%以上、水分は質量分率1.0%以下です
  • 林純薬工業の特級品番07000475は、GC面積分率で含量99.5%以上、水分は質量分率1.0%以下です
  • 林純薬工業の一級品番07000485は、GCで含量95.0%以上、水分2.0%以下です

特級と一級で、不純物限度も変わります。林純薬工業の特級は強熱残分0.005%以下、一級は0.02%以下です。試験方法や受入規格で等級を指定しているときは、その条件に合わせます(⁠林純薬工業 特級の製品規格、一級の製品規格⁠)⁠。

核酸を扱う実験では、一般の純度規格に加えて酵素検査を見ます。関東化学の分子生物学用品番17029-09は、DNase・RNaseを「検出されず」としています。この検査の意味を、一般の特級や原料用グリセリンへ広げません(関東化学 分子生物学用の規格書)⁠。

代表値・製品規格・SDSを分けて読む

新日本理化の濃グリセリンSは、製品ページのグリセリン分99%以上について「代表例であり、品質保証規格ではない⁠」⁠と明記しています。SDSの組成欄は100%ですが、品質保証の純度として使う数字ではありません。

  • 製品ページの値が代表値なら、受入検査の合否基準にそのまま使いません
  • 保証する水分や不純物限度は、発注前に製品規格書で確認します
  • 納入ロットの値を管理する工程では、検査成績書の入手方法も確認します

新日本理化の濃グリセリンSは、化粧品・化学品原料・樹脂用添加剤を用途として案内し、医療・医薬用途と食品用途への使用を禁止しています。試薬や原料を別用途へ流用する前に、各製品の用途制限を確認します(⁠新日本理化 製品情報、濃グリセリンS SDS⁠)⁠。

荷姿と価格の比較

原料の缶と試薬の小瓶では、使う量も管理する規格も違います。容器単位の価格を比べる前に、容量・グレード・税区分をそろえます。

  • 花王の精製グリセリンは、22kg缶と250kgドラムを案内しています。比較表では22kg缶を掲載単位にしています
  • 阪本薬品工業は、22kg石油缶・250kgドラム・ローリーを案内しています
  • ナカライテスクの特級品番17018-54は、容量22kg、定価35,000円(税抜)⁠で⁠⁠⁠⁠す
  • 500mL特級の公式価格は、林純薬工業が1,800円、富士フイルム和光純薬が2,100円、関東化学が2,200円、純正化学が2,700円です。いずれも税抜で、林純薬工業は希望納入価格を使っています
  • 関東化学の分子生物学用品番17029-09は、500mLで7,400円(税抜)⁠で⁠す⁠。一般の特級とは用途・規格を分けます

米山薬品工業の品番02273は、500mLで2,000円の公開価格があります。取得した製品ページには税区分がないため、税抜価格との高低判定には含めていません。価格は2026年10月28日に公式ページで確認した値です。

グリセリンのデメリットと開封後の保管

阪本薬品工業は、グリセリンの吸湿性が強いとして開封後の扱いに注意を求めています。林純薬工業は常温保管を案内し、長期間放置すると空気酸化でアルデヒド化合物が増えると記載しています。容器を密栓し、製品ごとの保管条件に従います。

  • 少量ずつ使う試験では、開封から使い切るまでの量と期間を考えて容量を決めます
  • 原料用の缶は、容器を開けたままにする時間や小分けの方法も受入時に確認します
  • 保管期限は一律に決めず、ラベルとメーカーの保証条件を確認します

米山薬品工業は、試薬の使用期限・保証期限を原則として設定していないと説明し、期限のある製品はラベルに表示するとしています。開封後の品質保証も別条件です(米山薬品工業 試薬全般FAQ)⁠。

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