口コミを書く 製品を比べる種類から探す・無料
GUIDE / CHILLER

チラー(冷却水循環装置)とは?空冷式・水冷式・オイルクーラーの違いと、冷却能力・温度精度・フロンの点検の見方

工場の工作機械・成形機・レーザー・半導体装置を冷やす産業用のチラーの仕組み、空冷式・水冷式・オイルクーラーの3つの方式、冷却能力と温度精度の見方、電源と循環液の選び方、フロン排出抑制法の点検を、メーカーと国の資料をもとにまとめました。

2026年10月11日更新

この記事の答え

チラーは、冷凍機で冷やした水や油を装置へ送って回し、装置の熱を取って温度を一定に保つ冷却水循環装置です。選ぶときは「冷却水があるか(空冷か水冷か)」「装置が出す熱はどのくらいか(冷却能力)」「どこまで細かく温度を合わせるか(温度精度⁠)」⁠の3つを先に決めます。

チラーとは

チラーの中には、冷凍機(圧縮機・凝縮器・蒸発器⁠)⁠とタンク・ポンプが入っています。蒸発器で水や油を冷やし、ポンプで装置へ送り、装置で温まって戻ってきたものをまた冷やします。同じ水を回すので、水道水を流しっぱなしにせずに冷やせます。

工作機械の主軸、射出成形の金型、レーザーの発振器、半導体や液晶の製造装置の熱源など、温度が変わると加工や製品の精度が変わる所に使います。

比較ページには、工場の装置を冷やす産業用のチラーと、工作機械の油を冷やす冷凍機式のオイルクーラーを、1社1〜2製品に絞って載せています。ビルの空調用の大型冷凍機、工場全体の熱源になる大型のブラインチラー、冷却塔、盤用クーラー、研究室の卓上の恒温水槽は載せていません。

3つの方式

  • 空冷式チラー:凝縮器をファンの風で冷やし、熱を部屋へ出します。冷却水の無い工場や、装置の横に置く小型の冷却に向きます
  • 水冷式チラー:凝縮器を工場の冷却水で冷やし、熱を水で運び出します。冷却塔の水がある工場や、クリーンルームに向きます
  • オイルクーラー:工作機械の主軸・作動油・潤滑油を、水を介さずに直接冷やします。マシニングセンタの主軸や油圧ユニットに使います

このページの例は次のとおりです。

  • 空冷式:オリオン機械のRKE1500B2-V-G1、SMCのHRS012-A-10、アピステのPCU-3310R、レクザムのRCU-20XC、リタールのBlue e+ チラー、カワタのKCA-03L、ステップサイエンスのSCS-1.5A3
  • 水冷式:オリオン機械のRKS402J-MVW、カワタのKCW-05L、松井製作所のMCC5、レクザムのRCU-20WL、ステップサイエンスのSCS-105W
  • オイルクーラー:アピステのVSC-N1500、ダイキン工業のAKZ32A

空冷式は冷却水の配管がいらず、電源をつなげばすぐ使えます。そのかわり、取った熱を部屋へ出すので、置き場所の換気と周囲の温度を見ます。水冷式は熱を冷却水で運び出すので部屋の温度を上げませんが、冷却塔などから冷却水の配管を引きます。

冷却能力の見方

冷却能力(kW・W)は、1時間にどれだけの熱を取れるかを表します。装置が出す熱より大きい能力を選びます。

同じ型でも、能力は条件で変わります。

  • 周囲の温度:オリオン機械のRKE1500B2-V-G1は、周囲25℃で5.8kW、周囲32℃では5.3kWです
  • 電源の周波数:カワタのKCW-05Lは50Hzで15.9kW、60Hzで19.2kWです
  • 冷却水の温度:水冷式は、冷却水の入口・出口の温度を決めた条件で能力を出しています。冷却塔の水温が上がる夏は、能力に余裕を見ます

カタログの能力を比べるときは、どの周囲温度・水温・周波数の値かをそろえて見ます。

温度精度の見方

温度精度(温度安定性)は、設定した温度からどれだけずれずに保てるかです。

  • ±0.05℃:アピステのPCU-3310R(高精度モード)
  • ±0.1℃:オリオン機械のRKE1500B2-V-G1・RKS402J-MVW、SMCのHRS012-A-10、レクザムのRCU-20XC、ステップサイエンスのSCS-105W
  • ±1℃前後:松井製作所のMCC5(±1℃)、ステップサイエンスのSCS-1.5A3(±1.0℃)

レーザーや露光機、精密な加工機のように温度で精度が変わる装置は±0.1℃以下を選びます。射出成形の金型の冷却なら、±1℃の型も使われています。

温度の範囲

ほとんどの製品は、5〜35℃や5〜40℃の範囲で使います。氷点下まで冷やしたいときや、温めもしたいときは、ヒーター付きのワイドレンジの型を選びます。

  • レクザムのRCU-20WLは、二元冷凍サイクルとヒーターで-50〜+150℃まで1台で温調します
  • アピステのPCU-3310Rは、-10〜80℃です

氷点下で使うときは、循環液を清水からエチレングリコール水溶液に替えます。

電源の選び方

  • 単相AC100V:SMCのHRS012-A-10。コンセントにつないで使えます
  • 単相200V:オリオン機械のRKS402J-MVW、レクザムのRCU-20XC
  • 三相200V:オリオン機械のRKE1500B2-V-G1、アピステのPCU-3310R・VSC-N1500、レクザムのRCU-20WL
  • 三相380〜480V:リタールのBlue e+ チラー SK 3334.400。マルチ電圧式で、UL・C-ULの認証があり、海外に出す装置に向きます

循環液とオイルクーラーの油

チラーで回すのは、多くが清水かエチレングリコール水溶液です。SMCのHRS012-A-10は清水・15%のエチレングリコール水溶液・脱イオン水(純水⁠)⁠に使えます。オリオン機械のRKEシリーズは、30〜40%のエチレングリコール水溶液を推しています。

オイルクーラーは、決まった種類の油を回します。アピステのVSC-N1500は潤滑油と石油系の油圧作動油(ISO VG2〜68⁠)⁠に使い、切削液・水溶性の液・難燃性の作動油には使えません。

フロン排出抑制法の点検

フロン類を冷媒に使う業務用の冷凍空調機器(第一種特定製品)は、「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律」(フロン排出抑制法)で、持ち主(管理者⁠)⁠が点検をします。チラーもこの対象です。

  • 簡易点検:すべての機器で、3か月に1回以上。だれが行ってもかまいません
  • 定期点検(冷凍冷蔵機器):圧縮機の定格出力が7.5kW以上なら、1年に1回以上
  • 定期点検(⁠エアコンディショナー):50kW以上なら1年に1回以上、7.5kW以上50kW未満なら3年に1回以上

定期点検は、十分な知見を有する者が自ら行うか、立ち会います。チラーは圧縮機の定格出力で判断し、定格出力の書いていないインバーター機は、圧縮機の電動機の最大出力で判断します(環境省の「第一種特定製品の管理者等に関する運用の手引き⁠」)⁠。フロン類を回収済みの機器は、点検しなくてかまいません。

冷媒は製品によって違います。このページでは、R410A(⁠オリオン機械・ダイキン工業・レクザムのRCU-20XC)⁠、R407C(⁠アピステのPCU-3310R・SMC・カワタのKCA-03L・松井製作所)⁠、R404A(⁠レクザムのRCU-20WL)、R-513A(⁠リタール)、ノンフロンのR1234yf(⁠アピステのVSC-N1500)⁠を使っています。

値段の比べ方

値段を出しているのは14製品中3製品で、どれもモノタロウの販売価格(税込)です。

製品 価格 冷却能力 1kWあたり
オリオン機械 RKE1500B2-V-G1 846,780円 5.3kW(周囲32℃) 約16万円
オリオン機械 RKS402J-MVW 439,780円 1.3kW(50Hz) 約34万円
SMC HRS012-A-10 406,780円 1100W(50Hz) 約37万円

小さな型ほど1kWあたりの値段は高くなります。比較ページのコストは、この1kWあたりの値段で「安め・平均的・高め⁠」⁠を付けています。ほかの製品は、冷却能力・温度・電源・循環液を伝えて見積もりを取ります。

選ぶ前に確かめること

  1. 冷却水があるか:冷却塔や工場の冷却水が無いなら空冷式。あるなら水冷式も選べる
  2. 装置の熱の量:装置が出す熱より大きい冷却能力を、周囲温度と周波数をそろえて比べる
  3. 温度精度と温度の範囲:±0.1℃以下がいる装置か、氷点下や温めも使うか
  4. 電源:単相100V・単相200V・三相200V・海外の電圧のどれか
  5. 回す物:清水・エチレングリコール水溶液・純水・油のどれか。オイルクーラーは油の種類まで確かめる
  6. 点検:フロン類の冷媒なら3か月に1回以上の簡易点検、圧縮機の定格出力が7.5kW以上なら定期点検も段取りする
比較記事にしてほしい製品の依頼はこちら👉