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GUIDE / GREASE

工業用グリースとは?リチウム系・ウレア系・フッ素とシリコーン系・食品機械用の違いと選び方

工場の軸受・ギヤ・摺動部に使う工業用グリースの成り立ち、増ちょう剤ごとの違い、ちょう度番号の見方、極圧グリースと食品機械用(NSF H1⁠)⁠の選び方、1kgあたりの値段の比べ方を、業界団体の資料とメーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月12日更新

この記事の答え

工業用グリースは、潤滑油(基油⁠)⁠を増ちょう剤で固めた半固体の潤滑剤です。工場で使うものは、万能のリチウム系(極圧グリースを含む⁠)⁠、熱に強いウレア系、炉まわり・薬品・樹脂ゴム向けのフッ素系とシリコーン系、食品に触れるおそれのある所に使う食品機械用(NSF H1⁠)⁠の4つに分かれます。選ぶときは「何度で使うか」「荷重や衝撃はどうか」「水・薬品・食品に触れるか⁠」⁠の3つを先に決め、ちょう度は2号から考えます。

工業用グリースとは

グリースは、基油に増ちょう剤を分散させて半固体にしたものです。基油・増ちょう剤・添加剤の3つでできています。

  • 基油:グリースの約80%を占める潤滑油です。ふつうは鉱油で、特殊な用途には合成油(エステル油・シリコーン油など⁠)⁠を使います
  • 増ちょう剤:基油をグリース状に固める材料で、5〜20%ほど入っています。石けん系(リチウム・カルシウムなど⁠)⁠と非石けん系(ウレアなど⁠)⁠に分かれます
  • 添加剤:酸化防止剤・さび止め剤・極圧剤・固体潤滑剤など。重い荷重や衝撃に耐える力は、ここで変わります

油と違って流れ落ちにくく、差した所にとどまるので、軸受・ギヤ・摺動部を長く潤滑できます。

比較ページには、工場の機械・軸受・ギヤ・直動案内・建設機械などに使う業務用のグリースを、各社1〜2銘柄ずつ載せています。家庭用・自転車用だけの製品、潤滑油(液体)だけの製品、スプレーだけの製品、真空用・電気接点用などの特殊品は載せていません。

4つの系統

リチウム系・極圧(汎用)

リチウム石けんで鉱油を固めた、いちばん広く使われるグリースです。日本建設機械施工協会の資料では、リチウム石けんグリースは欠点が少なく、万能グリースとして市場で最も多く使われています。

  • 例:シトラックス EP No.2(⁠協同油脂)、エピノックグリースAP(N) 2(⁠ENEOS)、ニグタイト LE‑2(⁠出光NTG)⁠、AFB‑LFグリース(⁠THK)
  • 極圧剤や二硫化モリブデンを入れた極圧グリースもここに入ります。モリリチュームSグリース No.2(⁠住鉱潤滑剤)⁠、ニチモリ ベアリンググリース(⁠ダイゾー)⁠がその例です

ウレア系(耐熱・長寿命)

金属を含まないウレアで固めたグリースです。同じ資料の最高使用可能温度は、リチウム石けんが130℃、ウレア系が180℃です。燃えても灰が残りにくく、炉まわりや製鉄所の軸受に使います。

  • 例:エクセライト No.2(⁠協同油脂。-20〜200℃)、パイロノックグリース ユニバーサル 2(⁠ENEOS。-20〜175℃)、ニグエース U‑2(⁠出光NTG。滴点265℃)、モレスコハイグリース UM‑1(⁠MORESCO)

フッ素系・シリコーン系

合成油を使ったグリースです。

  • フッ素系:フッ素油とPTFEで、熱と薬品に強いグリースです。BARRIERTA JFE 552(⁠NOKクリューバー)は-35〜260℃で使え、多くの薬品・溶剤・燃料に溶けません
  • シリコーン系:ゴムや樹脂を傷めにくいグリースです。JIP シリコーングリース(⁠イチネンケミカルズ)は-40〜180℃、シリコーングリース G‑40M(⁠信越化学工業)は-30〜200℃です

食品機械用(NSF H1)

食品にうっかり触れてしまうおそれのある所でも使える、NSF H1に登録されたグリースです。

  • 例:オーシャン FG No.2(⁠ダイゾー)、フードマシングリース H1(⁠イチネンケミカルズ)、アリビオグリースFGL No.2(⁠住鉱潤滑剤)⁠、Klübersynth UH1 14‑151(⁠NOKクリューバー)⁠、L700グリース(⁠THK)
  • 寒い所なら、アリビオグリースFGL No.2が-50℃から、Klübersynth UH1 14‑151が-45℃から使えます
  • L700グリースは、メーカーが欧州域内では使えない製品としています

ちょう度番号の見方

グリースの硬さはちょう度で表します。25℃に保って60回混ぜた直後に測った値が混和ちょう度で、数値が小さいほど硬くなります。混和ちょう度の範囲で分けたのがちょう度番号で、NLGI(米国潤滑グリース協会⁠)⁠が決め、JIS K 2220もこれに従っています。

  • 000号:445〜475(いちばん軟らかい)
  • 1号:310〜340
  • 2号:265〜295
  • 6号:85〜115(いちばん硬い)

グリース市場の約80%は2号で、1号が20%弱です。迷ったら2号から考え、集中給脂の配管で送るなら、メーカーが集中給脂に使えるとしている銘柄を選びます。

重い荷重・衝撃のかかる所

プレス・粉砕機・建設機械のピンのように、重い荷重や衝撃がかかる所には極圧グリースを使います。

  • 極圧剤:油膜が切れても金属に吸着したり、金属と反応して被膜を作ったりして焼付きを防ぎます
  • 固体潤滑剤(二硫化モリブデンなど):極圧剤でも耐えられない重い荷重の所で、金属の表面にたまって焼付きやかじりを防ぎます

値段の比べ方

掲載した24製品のうち20製品は、通販に値段が出ていました。メーカーの希望小売価格は見つかりませんでした。

  • 容器の大きさがばらばらなので、値段を容量で割って1kgあたりで比べます。16kgのペール缶と80gの容器では、1kgあたりの値段がけた違いに変わります
  • 比べるのは同じ系統の中だけです。フッ素系のBARRIERTA JFE 552は1kgで108,878円で、鉱油系とは比べものになりません
  • フッ素系とシリコーン系は系統が違うので、「安め・高め⁠」⁠の判定はしていません
  • 値段を出していない4製品は、銘柄と容量・数量を決めて販売店に見積もりを頼みます
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