この記事の答え
防振ゴムは、機械と床・建物の間に入れて、振動を伝えにくくするゴム部品です。業務用は、ボルトで留める丸形、大荷重の角形と低い振動数に効くくら形、天井から吊る吊り形、置く・敷くだけのマウントとパッドの4つに分かれます。選ぶときは「機械の振動数」「1個に載る重さ」「付け方」の3つを先に決め、防振支持したときの固有振動数が機械の振動数の1/2〜1/3になる型を選びます。
防振ゴムとは
防振ゴムは、ゴムのばねで振動を受けて、機械から床や建物に伝わる揺れと音を減らす部品です。防振マウント・防振パッド・振動防止ゴムとも呼びます。機械の振動が建物の躯体を伝わって、上の階や隣の部屋で音になる「固体伝搬音」を減らすのにも使います。
使い方は2通りあります。機械の振動を床に伝えないために機械を支える場合と、床の振動を機械に伝えないために支える場合です(プロスパイラの防振ゴム標準品カタログ)。
比較ページには、工場・ビルの設備で使う業務用の防振ゴムを、各社の代表シリーズの単位で載せています。家庭用だけの小物(洗濯機・エアコン室外機・オーディオ用)、自動車・鉄道車両用、ばねや空気ばねの防振装置、除振台、建物の免震装置は載せていません。
4つの種類
- 丸形:円柱のゴムの上下に金具を付け、おねじやナットで機械の脚と床に留めます。いちばん基本の形です。例は倉敷化工のKA、TOZENのPTM、ヤクモのYMD、プロスパイラのエバーマウント、昭和サイエンスのR型です
- 角形・くら形:角形は1つで重い荷重を受けます(TOZENのRシリーズ)。くら形は上下をゴムのせん断で受けるのでばね定数が低く、左右は硬く横に安定します(大野ゴム工業のOS)
- 吊り形:天井から下ろした吊りボルトの途中に入れます。天吊りの空調機・ダクト・配管、吊り天井に使います。例はヤクモのYH型、昭和サイエンスのMSF型です
- 置く・敷くタイプ:機械の脚の下に置くレベル調整付きのマウント(倉敷化工のハイマウント)と、敷いて使うパッド(プロスパイラのIP、篠田ゴムのM型)です。アンカーやボルトを打たずに済みます
選定のしかた
防振の効き方は、機械の振動数と、防振ゴムで支えたときの固有振動数の比で決まります。比が1.4を超えると防振効果が出て、ふつうは2〜3に選びます。比が1に近いと共振して、揺れはかえって大きくなります(プロスパイラのカタログ)。
固有振動数は、機械の重さと防振ゴムのばね定数で決まります。計算では、動的ばね定数を静的ばね定数の1.4倍として使います(プロスパイラ)。昭和サイエンスのR型は、動的ばね定数を静的ばね定数の1.6倍としています。
手順は次のとおりです。
- 機械の振動数(回転機械なら回転数)を調べる
- 機械の重さを防振ゴムの数で割って、1個に載る重さを出す
- 許容荷重に収まり、固有振動数が機械の振動数の1/2〜1/3になるばね定数の型を選ぶ
- 付け方(ボルトで留める・吊る・置く)と、場所(屋内・屋外・油)で形と材質を決める
大野ゴム工業のくら形OSは、許容荷重の1/2以下を標準荷重としています。カタログの許容荷重いっぱいで使わず、余裕を見て選びます。
パッドを敷くだけで足りるか
TOZENの技術Q&Aでは、パッドは防振材というより緩衝材で、振動を止める目的の材料としては向かないとしています。負荷荷重は1cm²当たり2〜4kgf/cm²程度が標準です。
敷く場合は、プロスパイラは防振パッドの固有振動数が加振振動数の0.7以下になるように選ぶとしています。篠田ゴムは、パッドを重ねるときは溝の向きを直角に交差させるか間に2mm程度の鉄板を挟み、1枚でたわみが足りないときは2〜4枚重ねるよう案内しています。
材質
標準は天然ゴムです。倉敷化工は、天然ゴムの防振ゴムが使える雰囲気温度を-30〜50℃としています。屋外や水中、油や薬品がかかる所、直射日光・潮風の当たる所では使わないよう案内しています。
切削油が飛ぶ工場では耐油のNBR、屋外ではCRやEPDMを勧めるメーカーもあります(篠田ゴム)。倉敷化工のハイマウントMシリーズは、油やオゾンに強いクロロプレン系ゴムです。
付け方の注意
- 金具の全面で均等に荷重を受けるように付ける
- 引張荷重をかけない
- ねじで締めるときゴムをねじらない。ねじれはゴム高さの20%以下に抑える
- 配管の振動は、ゴムフレキだけでは止まらないことがある。管内の圧力変動による脈動は配管全体に出るので、横引管・竪管も防振支持する(TOZEN)
(付け方の注意は倉敷化工の「防振ゴム使用上の注意」による)
寿命と点検
倉敷化工は、定期点検で次の4つを見るよう案内しています。
- ゴムと金具の剥がれ
- ゴムの割れ
- 金具の腐食・割れ
- 高さが変わって周りの部材に当たっていないか
使い始めの高さより20%低くなったら、メンテナンスを考えます。予備品は冷暗所に置き、納入後5年以内に使います。ゴムの表面に出る白い粉(ブルーム)は配合材料が出てきたもので、特性上の問題はなく、拭き取りません。
値段
掲載した製品で、値段を文字で確かめられたものはありません。TOZENは価格表をPDFで公開しています。ほかは型式と数量、機械の重さを伝えて見積もりを取ります。