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GUIDE / PIPETTE

ピペットとは?マイクロピペット・電動ピペット・ピペッターの種類と選び方、正確度・精度の見方

研究所・品質管理・臨床検査で使うピペットについて、手動のマイクロピペット・電動ピペット・ピペットコントローラー(電動ピペッター)の違い、ISO 8655の正確度と精度の読み方、マルチチャンネル、オートクレーブ、チップと校正の考え方を、メーカーの公式資料をもとにまとめました。

2026年10月14日更新

この記事の答え

ピペットは、液を決まった量だけ吸って別の容器へ移す器具です。µL単位で量るならチップを付けるマイクロピペット(手動か電動)、mL単位で培地や試薬を移すならメスピペットに付けるピペットコントローラーを選びます。比べるときは「量る容量」「チャンネル数」「同じ容量での正確度と精度」「オートクレーブのかけ方」「使うチップ」の5つを先に決めます。

ピペットとは

ピペットは、液を吸い上げて決まった量を別の容器へ移す器具です。試薬の調製、検体の分注、PCRやELISAのプレートへの分注、培地の交換などに使います。

研究室で「ピペット」と言うと、ふつうは先に使い捨てのチップを付けて使うマイクロピペット(ピペッター、ピペットマンとも呼ばれます⁠)⁠を指します。液がチップの中にとどまり本体に触れないので、チップを替えるだけで次の液へ移れます。

比較ページには、日本法人のある8社の代表の型式を、方式ごとに載せています。

3つの方式

手動マイクロピペット

  • 親指でプッシュボタンを押して吸い、もう一度押して吐く
  • ダイヤルで容量を決める容量可変のものが多い。0.1µLから10mLまで機種を分けてそろえる
  • 電池がいらず、本体ごとオートクレーブにかけられる型もある(ニチリョーのEXⅢ、ザルトリウス⁠のTacta)

電動ピペット

  • 画面とボタンで容量を決め、モーターでピストンを動かす
  • 吸った液を同じ量ずつ何回にも分ける連続分注、吸って吐いてをくり返す混合をボタン1つで回せる
  • 押す速さの個人差が出にくく、親指で押し続ける負担がなくなる

ピペットコントローラー(電動ピペッター・ピペットエイド⁠)

  • ガラスやプラスチックのメスピペット(セロロジカルピペット)を差し込んで、ポンプで吸い上げる
  • 1〜100mLのピペットに使え、指の引き加減で吸うスピードを変える
  • 量るのはメスピペットの目盛り。昔のゴム球(安全ピペッター)や口で吸うやり方の代わりに使う

ガラスのピペット・スポイトとの違い

  • 駒込ピペット・ホールピペット・メスピペットは、ガラスの管の目盛りや標線で量る器具です。ゴム球やピペットコントローラーで吸って使います
  • スポイトやトランスファーピペット(使い捨てのポリエチレン製)は⁠、おおよその量を移す道具で、決まった量を量るものではありません
  • このページは、チップを付けて量るマイクロピペット・電動ピペットと、メスピペットに付けるピペットコントローラーの本体だけを比べています

正確度と精度の見方(ISO 8655)

  • 正確度(系統誤差)は⁠、設定した量に対して平均がどれだけずれるか。精度(ランダム誤差・CV)は⁠、くり返したときのばらつき
  • メーカーの多くは、ISO 8655に沿って呼び容量の10%・50%・100%で測った値を出しています(エッペンドルフ)
  • 容量が小さいほど%の数字は大きくなるので、比べるときは同じ容量の値どうしで見ます。比較表は、100〜250µLの機種の最大容量での値を、どの容量の値かを添えて載せています
  • ISO 8655は、呼び容量の10%未満での使用を認めていません(ザルトリウス)。量りたい容量が最大容量の1〜2割しかないなら、ひとつ小さい機種を使います

選ぶときに見るところ

量る容量とチャンネル数

  • よく使う容量が、機種の最大容量の半分〜最大に入るようにそろえる
  • 96ウェルのプレートに何列も分注するなら、8・12チャンネルのマルチチャンネルを選ぶ。エッペンドルフは手動・電動とも24チャンネルまである

オートクレーブと薬品

  • 丸ごとかけられるのか、下の部分だけかを確かめる。このページの電動(PAシリーズ・Xplorer plus)は下の部分だけ
  • 有機溶剤を多く使うなら、耐薬品の部品やガラスチップを使える型を選ぶ(エー・アンド・デイのPAシリーズ)

チップ

  • メーカーは決まったチップで校正しているので、ほかのチップでは誤差が少し出ることがある(ワトソン)
  • サーモフィッシャーのF1‑ClipTip・E1‑ClipTipは専用のClipTipチップをロックして使う
  • 他社製のチップに合う型もある(アイカムス・ラボのpipetty)

手の負担

  • 長い時間続けるなら、電動やペン型(約75gのpipetty)を考える
  • 手の熱で本体が温まると、分注の量が変わる。アイカムス・ラボの測定では、約20分で本体の外側が5.8℃上がり、精度が1.8%変わった

校正と手入れ

  • 天びんで水を量り、正確度と精度を確かめる。ずれていれば、メーカーの手順で調整するか、預けて校正する
  • ニチリョーのEXⅢは専用治具で目盛を合わせるだけで調整できる。エッペンドルフのResearch plusは、液に合わせて±2%まで一時的に合わせ、元に戻せる
  • 液が吸えない・量が合わないときは、ノズルのゆるみやOリング・シールリングの摩耗を疑う(ニチリョーのよくあるご質問)

まとめ

  • µL単位はマイクロピペット(手動か電動)、mL単位はピペットコントローラー
  • 正確度と精度は、同じ容量の値どうしで比べる。最大容量の10%未満では使わない
  • オートクレーブのかけ方、使うチップ、チャンネル数を先に決めてから機種を選ぶ
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