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GUIDE / YOUSETSUKI

溶接機とは?被覆アーク・半自動・TIG・プラズマ・エンジン溶接機の違いと選び方

工場と建設現場で使う溶接機の5つの方式(被覆アーク、半自動、TIG、プラズマ、エンジン溶接機⁠)⁠の向き不向き、スポット溶接機との違い、定格出力電流・使用率・入力電源の読み方、値段の出し方、労働安全衛生規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則での扱いを、各メーカーの公式資料と法令をもとにまとめました。

2026年10月11日更新

この記事の答え

溶接機は、電気のアークの熱で金属を溶かしてつなぐ機械です。選ぶときは「何の材料を、どれくらいの厚さで溶接するか」「工場か屋外の現場か」「工場にどんな電源があるか⁠」⁠の3つを先に決めます。鉄骨や製缶の軟鋼を速く溶接するなら半自動、ステンレスやアルミの薄板をきれいに仕上げるならTIG、風のある屋外なら被覆アーク、電気の来ていない現場ならエンジン溶接機、自動機のラインならプラズマ溶接機です。

溶接機とは

アーク溶接は、電極と母材のあいだに電気のアークを出し、その熱で母材と溶接材料を溶かしてつなぎます。溶接機はアークを出すための電源で、方式によって、溶接棒・ワイヤ・溶けないタングステンの電極のどれを使うか、ガスで包むかどうかが変わります。比較ページでは、メーカーが公式サイトで定格出力電流と仕様を出している機種を、方式ごとに1社1機種で並べています。

溶接棒・ワイヤ・トーチ・送給装置だけの単体、溶接ロボット本体、レーザー溶接機、プラズマ切断機、中古、代理店が売る他社製品、入力が単相100Vだけの家庭向けの小型機はこのページに入れていません。100Vと200Vの兼用の業務用機は載せています。

方式 向いているもの
被覆アーク 屋外の鉄骨・補修・仮付け
半自動 鉄骨・製缶・板金を速く
TIG ステンレス・アルミの薄板
プラズマ 自動機での突合せ溶接
エンジン 電気の来ていない現場

スポット溶接機との違い

スポット溶接機は、重ねた板を電極ではさんで押さえ、電流を流したときの抵抗の熱で点のようにつなぐ「抵抗溶接⁠」⁠の機械です。アークを出さず、溶接棒もガスも使いません。板金の部品を点でつなぐならスポット溶接機の比較⁠、継ぎ目に沿って線で溶かしてつなぐならこのページの溶接機です。

屋外や補修の手溶接:被覆アーク溶接機

被覆剤を塗った溶接棒をホルダーにはさみ、棒の先と母材のあいだにアークを出します。被覆剤が燃えて出るガスが溶けた所を守るので、ガスのボンベを持たずに使え、風のある屋外にも向きます。

  • 三相でも単相でも:ダイヘンのB TAC 300Ⅱは三相で定格300A、単相の200Vにつないでも200Aを出せます
  • 長いケーブル:パナソニック コネクトのYD-300DS2は、二次側のケーブルを往復100m延ばしても溶接電流が落ちにくい直流機です
  • 軽さ:スズキッドのSIM-200は5.1kgで、肩にかけて運べます。育良精機のISK-LS250S2は単相200Vで定格250A、11kgです
  • 太い溶接棒:日動工業のDIGITAL-300Aは、直径6.0mmまでの溶接棒を使えます

工場で速く溶接する:半自動溶接機

トーチのスイッチを引くと、送給装置からワイヤが自動で出てきて、炭酸ガスやアルゴンを混ぜたガスで包みながら溶接します。棒を替える手間が無く、続けて溶接できるので、鉄骨・製缶・板金の工場で多く使います。電源のほかに、送給装置・トーチ・ガスの調整器をそろえます。

  • CO2・MAG:ダイヘンのWB-M350Sは定格350Aで、継手と板厚を選ぶと電流と電圧が決まる溶接ガイドを持ちます。パナソニック コネクトのYD-350NR1は30〜350Aで、条件を100チャンネル記憶できます
  • 単相200Vのパルス機:スズキッドのSIP-200は単相200Vで定格200A、ダブルパルスでアルミも溶接します
  • 単相・三相の兼用:育良精機のISK-SA250Wは、単相200Vでも三相200Vでも定格250Aです
  • 1台で何でも:リンカーンエレクトリックのFlextec 350Xは、MIG・被覆アーク・TIGなどをこなす電源で、200〜600Vの入力を自動で合わせます

ステンレスやアルミをきれいに:TIG溶接機

溶けないタングステンの電極とアルゴンのガスでアークを出し、もう片方の手で溶加棒を足しながら溶接します。スパッタがほとんど出ず、薄い板もきれいに仕上がります。鉄とステンレスは直流、アルミとマグネシウムは交流で溶接するので、アルミを扱うなら交直両用機を選びます。

  • 交直両用:パナソニック コネクトのYC-300BP4は、交流の周波数を30〜400Hzで変えられます。やまびこのSTW202Aは単相200Vで動く交直両用機です
  • 100Vと200Vの兼用:スズキッドのSTG-200ACDCは交直両用、育良精機のISK-LT201F2は直流パルスで、どちらも200V入力で定格200Aです
  • 直流専用:フロニウスのArtis 300は直流TIGで、パルスを最大990Hzまで設定できます

自動機のラインに組む:プラズマ溶接機

TIGと同じくタングステンの電極を使いますが、まわりのノズルでアークを細くしぼり、強い熱をまっすぐ当てます。深く溶け込むので、ステンレスの突合せを自動機やロボットで溶接するラインに組みます。日鉄溶接工業のNW-350AH-Vは定格350A・使用率70%で、トーチケーブルの断線や冷却水の流量不足を検知します。

このページに載せたプラズマ溶接機は1機種だけです。ダイヘンもプラズマ溶接機を出していますが、公式の資料から定格出力電流を確かめられなかったので載せていません。

電気の来ていない現場:エンジン溶接機

ディーゼルエンジンで発電して溶接する機械で、溶接のほかに照明や電動工具に使う単相・三相の電気もとれます。

  • デンヨーのDLW-300LSEは定格使用率100%で、河川や港湾の工事に向けた機種です。乾燥質量は420kgです
  • やまびこ(新ダイワ⁠)⁠のDGW300Mは乾燥質量270kgで、軽トラックに載せて運べます。発電と溶接を同時に使えます
  • 定格出力電流は、どちらも50Hzで260A、60Hzで280Aです。東日本と西日本で出せる電流が変わります

仕様の読み方

  • 定格出力電流(A):決まった使用率で出せる電流です。工場で使う機種は200〜350Aが多く、厚い板ほど大きな電流を使います
  • 使用率(%):決めた時間のうち、定格の電流でアークを出し続けられる時間の割合です。軽い機種は25〜30%、エンジン溶接機のDLW-300LSEは100%です。長く続ける溶接では、使用率に余裕のある機種を選びます
  • 入力電源:三相200Vか単相200Vかを確かめます。単相では定格が下がる機種があります(B TAC 300Ⅱ、YD-300DS2)
  • 定格入力(kVA):工場の受電の容量とブレーカーの大きさを、この数字で見ます

値段の出し方

公式に値段を出しているのは、このページの18製品中7製品です。

製品(方式・定格出力電流) 値段
スズキッド SIM-200(被覆アーク・200A) 公式通販 44,800円(税込)
日動工業 DIGITAL-300A(被覆アーク・300A) 標準価格 424,800円(税別)
スズキッド SIP-200(半自動・200A) 公式通販 318,000円(税込)
スズキッド STG-200ACDC(TIG・200A) 公式通販 359,000円(税込)
やまびこ STW202A(TIG・200A) 希望小売価格 913,000円(税込)
デンヨー DLW-300LSE(エンジン・280A) 定価 2,440,000円(税別)
やまびこ DGW300M(エンジン・280A) 希望小売価格 1,991,000円(税込)

同じ方式の中で値段を出している製品が2つ以下なので、このページでは安い・高いの判定をしていません。比べるときは、税込か税抜かをそろえ、定格出力電流で割って1Aあたりの値段にします。ほかの機種は、型式・台数と、送給装置やトーチなど一緒にそろえる物を伝えて見積もりを取ります。

法令で気をつけること

  • 特別教育:労働安全衛生規則 第36条第3号は、「アーク溶接機を用いて行う金属の溶接、溶断等⁠」⁠の業務を、特別教育を受けた人が行う業務にしています
  • 強い光:同じ規則の第325条で、アーク溶接のアークのように強い光を出す場所は区画します
  • 電撃防止:同じ規則の第332条で、狭い所や、高さ2メートル以上の鉄骨の上などで交流アーク溶接をするときは、交流アーク溶接機用の自動電撃防止装置を使います
  • 溶接ヒューム:特定化学物質障害予防規則 第38条の21で、屋内で金属アーク溶接等作業をするときは全体換気などで溶接ヒュームを減らし、働く人に有効な呼吸用保護具を使わせます
  • 粉じん:粉じん障害防止規則の別表第一 第20号の2で、「金属をアーク溶接する作業⁠」⁠は粉じん作業に入っています

法令は e-Gov法令検索の労働安全衛生規則・特定化学物質障害予防規則・粉じん障害防止規則で確かめました(⁠2026年10月11日)⁠。社内のルールを決めるときは、所轄の労働基準監督署にも確かめます。

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